戦略は現場にある!本の中には無い!

先生、質問があります。

山田さん、何度言ったら分かりますか!先生と呼ぶのではなく「キャプテン」と呼んでください。

(呼び名なんてどうでもいいのにな・・・)

何か言いましたか、山田さん。まあ、それはいいとして、質問は何ですか?

今、会社で戦略作りをやっているのですが、うまくいかないんです。いろいろとマーケティングや戦略について調べているのですが、なかなかしっくりこなくって。戦略の重要性は分かるのですが、どう作っていけばよいのか、何かさっと早く、簡単に戦略を作るコツを教えてください。

山田さん、相変わらずバカなことを言っていますね。戦略がさっと早く、簡単にできるんだったら、世の中の会社はもっと成長していますよ。今頃、日本は世界のトップを走っています。

でも、戦略を考えるポイントはあります。これを間違えるといい戦略は出来ないので、このポイントを説明しましょう。

戦略とは?

ところで、山田さん、戦略の定義をしてみてください。

それくらいは調べていますよ。戦略とは、「ライバルに勝つ為に会社の資源をどこに投入するかを決めたものです。」または「勝つ方程式」とも定義できますね。

なるほど、勉強していますね。でも、その定義だと、なるほどと理解はできても、いざ戦略を作ろうと思うとどうしてよいか分からなくなりそうですね。

特に低成長市場にいる企業にとっては、「それが分かれば苦労しないよ」という言葉が聞こえてきそうですね。

戦略とは「戦いを略(はぶく)こと」とも言われます。

つまり、戦わずして勝つのがベストであり、そこまでいかなくても勝つことに苦労しないことを考えるのが戦略。その観点から、「自社が必ず勝てる土俵を決めて、そこで戦うこと」と定義します。どうですか、さっきの山田さんの定義より次の行動に移しやすくなっていませんか?

分かってきました!キャプテン。つまり、「勝つ方程式」というのは自社の有利な土俵にお客様を連れてきて、そこでビジネスをするということですね。

でも、まだしっくりこないというか、分からないのは。その土俵にお客様をいかにして連れてくるかが分からないです。低成長市場にいるので、その土俵がみつからなくてどこの会社も苦労しているんじゃないですか?

だから言ってるでしょう、山田さん。ささっと簡単にできる戦略なんてありません。経営者、経営幹部や社員全員が知恵を出してつくり上げていきます。ただ、そのつくりあげるプロセスをすっ飛ばして、戦略を作ろうとするから、よけいに難しくなるんです。

分かりました、キャプテン。早くそのプロセスを教えてください。

自社の棚卸で自社の強みを知る

「自社が必ず勝てる土俵を決める」といっても漠然と考えていては、出てこない、仮に出てきたとしても事実と違っていたら効果がでないどころか逆に負けてしまうこともある。

だからこそ、まず一番初めに行うことは、自社の強みを見つけること。といってもこれも分かるけれど、なかなか自社の強みを見つけ出すことが難しい。

しかし、山田さんを含め、低成長市場の中にいる企業の多くの人に知ってもらいたいことは、「強みがあるから、今こうして会社が存在できている」という事実が目の前にあるということです。

長年続いている企業には何らかの強みがある。お客様が他社から買わずにあなたの会社から買う理由が必ずある。

このような前提をしっかり腹に落とし込むことからはじめる。「うちの会社に強みなんて無いよ。」と思い込んで強みを探そうなんてできないことを肝に銘じておいてください。

そして、強みがある前提で、自社の棚卸を行う。あなたの会社お創業期はどんな製品やサービスをお客様に提供していましたか?どんな気持ちでお客様と接していましたか?そんな中で、製品やサービスの変更などがあったら、そのタイミングはどんなタイミングでしたか

他にも、お客様に対する気持ちに変化はありましたか?あったとしたらそれは時間とともにどのように推移してきましたか・・・・・などなど

棚卸の為に多くの質問を用意し、それに客観的に、他社を評価するように応えていきましょう。そうするとそこに自社お強みが見えてきます。必ず見えてきます。それが無ければとうにあなたの会社は存在しません!

キャプテン、気づいたことがあります。自分の会社は、創業期からお客様が必要なことは自社にない商品であっても用意する。新幹線の切符を代わりに買って持っていくということもやっていたそうです。そうすることで取り扱い商品が増えてきて、喜んでくれたお客様が他のお客様を紹介してくれていました。

「お客様のすべてによりそっていく」これって、強みになりますか?

山田さん、いいところに気づきましたね。それは強みです。だからといって、過去と同じような活動はできませんよ。今の時代に合った方法で、お客様のすべてによりそっていく方法を実践しなければなりません。

そこで、「お客様のすべてによりそう」ですが、お客様のどんなことのすべてによりそっていくのか?自社の製品やサービスとの関連を考えながら、他社にはない、自社の強みを最大限に活かす、戦う土俵を決めていきます。

ポジショニングを決め、土俵を決める

先生!いやキャプテン!ありがとうございます。なんか分かったような気がします。自分の会社は事務用品を扱っていますが、お客様のすべてによりそうのであれば、事務用品にこだわってライバルと競争する必要な無いということですよね。

私達が訪問する会社は、事務用品しか使わないということはありません。工場などの原材料などは、今は考えないとしても、会社のオフィスにあるのは、事務用品だけではありません。

けっこう色々な物があります。そして、それぞれ違う会社に発注したりしています。それがけっこう面倒という話も聞いたことがあります。

そうそう、いい感じで発想が進んでいますね。もう少し、その視点で考えを進めていきましょう。進めると、山田さんの会社が他社と明らかに違う土俵を設定するための軸が見えてきます。少なくとも2つの軸が見えると、勝つ土俵が表れてくるでしょう。

表れてくれればいいんですが・・・?でも見えてきた一つの軸があります。それは、これまで私が思い込んでいた「自社は事務用品の会社」というのを軸の一方とすると、反対がオフィスで扱うすべてとなりすです。

山田さん、だんだん頭がさえてきましたね、それでもう一つの軸は思いつきそうですか?

う~ん!もう一つの軸ですが、一方が「オフィスのコーディネーター」でその反対が小売店というのはどうでしょうか?

山田さん、いい感じです。この2つの軸から見て取れる、会社の土俵は、あらゆるオフィスに関わるコーディネーターということになそうです。

キャプテン!事務用品の小売店からあらゆるオフィスに関わるコーディネーターへの変身ですね。なんか未来が明るく、バラ色に見えてきました。

喜ぶのはまだ早いです山田さん。今はまだ仮説の段階です。会社に持ち帰って、しっかり社長や他の社員とこのプロセスをみんなで歩んで、この仮説を検証しましょう。そして、これで行けるとなったら、次に取らなければならないプロセスが待っています。

それは、次に合う時に話すとして、まずはこの仮説を検証し、しっかり戦略を作っていきましょう。

ありがとうございます。次までに会社で戦略を完成させてきます。次が楽しみです。