企業のリーダー不足と変革が進まない本当の理由

企業の課題として、毎年のように必ず上位に来るのがリーダー不足です。中小企業で、そもそも人材不足に悩んでいる企業なら分からないでもないのですが、大企業においてもリーダー不足が課題となっている。

しかも毎年上位にランク付けされるということは、リーダー育成が上手くいっていないと考えられます。

そして、社会が大きく変革している現在において、このリーダー不足はますます大きな課題となっているように思います。

でも、考えてみてください。世の中にはリーダー育成の研修やコーチング、そして、ノウハウが詰まったベストセラーになるような本もたくさんあります。

では、なぜリーダーが育たないのか?

私たちが知っている、リーダー育成の方法が間違っているのか?

私の答えは。そもそも企業はリーダーを求めていないからだと思います。

企業が求めているのはリーダーではなく、マネジャーです。

企業が求めているのは、継続した安定にあります。そしてそれを実現する役割があるのはリーダーではなくマネジャーです。

従って、研修やコーチングでリーダー育成を進めたとしても、現実の現場では実践できない。

実践しようとすれば、反発や無視という耐えられない現実に心が折れてしまうようなことが起きてしまう。

今回のブログでは、リーダーが育たない本当の理由を掘り下げていきたいと思います。

リーダーとマネジャーの違い

リーダーとマネジャー、この二つの役割は企業の成長という点で重要な役割を果たしていますが、その違いは明確です。

リーダーはビジョンを持ち、イノベーションを追求し、組織やメンバーを鼓舞します。つまり社会の変化を見据えて、変革を推進するのがリーダーです。

一方で、マネジャーは現状を把握し、効率的に業務を遂行し、目標達成を管理します。

つまり、リーダーシップとマネジメントは異なるスキルセットと思考を必要としています。

企業が求めているのは継続的な安定

企業が求めている。というよりはそこに所属する大多数の社員、取締役や場合によっては社長が、本質的に求めているのは、継続的な安定です。

一方で、企業は競争力を維持し、市場の変化に対応するためには、効率的な業務の管理や目標達成の実現が求められます。

したがって、組織の安定と継続的な成長を実現するためには、マネジャーの存在が不可欠です。

そして、社会の変化によって、競争力、効率的な業務、目標達成、そして成長が維持できないから変革が求められます。

ところが、企業を構成するのは人です。大多数の社員(経営陣も含む)が、本質的の望むのは安定であって、不安定になる変革は敵です。

人は、変革の前は、変革を待望していても、いざ始まりそうになれば何かしらの理由を付けて反対する。

そうして、変革は進まず、その変革を推進しようとしたリーダーは挫折することになる。

リーダーが育たない本当の理由

リーダーが育たない本当の理由は、企業自体、そこにいる大多数の社員がリーダーを求めていないことです。

安定性を重視し、変化やリスクを避けながら、その中で効率を高め、何とか現状を維持する優秀なマネジャーを求めています。

しかし、その中でも企業の未来を考え、変革を追求するリーダー候補もたくさん存在すると思います。

そして、優秀なリーダー候補は、独りでは変革を推進できない事を承知し、まずは優秀なマネジャーとして多くの人の信頼を得ることに努めます。

本来ならば、この信頼を得たのちに、変革を推進していきたいところですが、ここにも人の本質が邪魔をします。

一度得た、信頼を変革という、人が望まない不安定(カオス状態)状態をつくることで失いたくないという感情が芽生えます。

ここで多くのリーダー候補(まだリーダーになっていないので)は、優秀なマネジャーの位置から変革を推進するリーダーの位置に動くことを断念します。

もちろん、変革を進めるリーダー候補もいますが、その多くは途中で多くの反対から挫折することになり、リーダー候補から下りることになります。

これが、リーダーが育たない理由であると考えます。

変革を成功させるリーダーになる方法

リーダー候補者が変革を推進する為には、「人は感情の生き物である」という大原則を理解することが必要です。理屈ではなく感情で動くということです。

そして以下のプロセスで変革を進めていきます。

  1. リーダー候補者自身の利己的目的・目標を確信する。

人は、本来、変革を求めていない。だからこそ、リーダー候補自身の心が揺らいでしまったら、人はついてきません。

そして、はじまりは利己的に自分自身が真に望む姿を持つのが自然であると思います。

 2.仲間を集める

社会が大きく変化している中で、現状を憂いている人は必ずいます。利己的ではじまるヴィジョンであるからこそ、そこには感情が入り、人の共感を得られることに繋がります。

なので、やりたいことをアウトプットし共感する仲間を集めます。

 3.小さな結果を積み重ねる

実は、変革が成功している状態は誰にも分かりません。売上数字や利益数字などは目標として出せるかもしれません。

しかし、どんな状態が、その目標を達成させるかは、イメージできてもやってみなければ分からない。

なので、小さくはじめ、小さな結果を、小さな失敗を重ねながら、同時に賛同者を増やしていきます。

 4.一気に変革を加速させる

小さな結果、小さな失敗を重ねることで、変革のゴールが具体的になり、賛同者も増えていきます。

このタイミングで全社を挙げての変革を進めます。問答無用の勢いで推進しても良いと思います。なぜならば、これまでのプロセスで推進するリスクは限りなく小さくなっているからです。

まとめ

企業がリーダー不足に悩む本当の理由は、企業自体がリーダーを求めていないことにあります。しかし、現在の社会は大きく変革しており、変革をリードするリーダーの必要性が増しています。

ここで、企業が崖っぷちに追い込まれて変革をせざる負えなくなってから変革を進めると、実は多くは失敗に終わってしまいます。余裕がなくなれば思考も鈍り、打てる活動も制限がかかり、時に間違った行動をとりがちだからです。

ところが、余裕がある時に、未来を見据えて変革を推進すれば、大きな抵抗に会い、失敗のリスクが拡がります。優秀な人材を失うことにもつながります。

そこで、今回示したプロセスにより、変革推進とリーダー育成を同時に行うことが必要になります。

リーダーを育てるためには、企業文化の変革やリーダーシップの育成プログラムの導入が重要だと言われますが、実は人の感情と変革推進のプロセスが最も大切であると思います。

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