今日は、昨日の自分を超える

皆さんは、ワクワクするような目標を設定し、「今回は、必ずこの目標を達成するぞ!」と思いながら、いつの間にか、その目標を忘れてしまっているということがありませんか?

または、達成に向けて行動を開始したのは良いですが、思うような結果が出せず、挫折することもあると思います。

このようなことはどうして起こるのでしょうか?

その原因の一つは、「目標に囚われてしまった事」にあります。例えば、減量を目指してダイエットを始めた人が、体重計の数字が思うように減らない事で、諦めてしまうようなことはありませんか。

ビジネスで例えるのなら、年初かかげた、高い営業目標に向かって進み始めても、思うようには数字が伸びてこないと、この市場環境では無理なんだと、言い訳を交えて、諦めてしまう。

では、どうすればこのような挫折を避け、目標を達成できるのか?その答えは、「今日は、昨日の自分を超える」という考え方にあります。

今日は、昨日の自分を超えるとは?

「今日は、昨日の自分を超える」という目標設定は、シンプルでありながら強力なアプローチです。 これは、大きな目標に向かって一歩前進するための方法です。 日々、自分と自分自身を見据えて、昨日の自分よりとりあえずでも前進することを目指します。

昨日は、営業の為の顧客のアポイントを、リストをもとにひたすら電話をかけまくった。でも今日は、電話をかけた相手に、警戒心を持たせないように工夫した。というように、日々の行動に意識を向ける。

この方法の利点は、結果に対するプレッシャーから解放されることです。私たちは、自分自身と比べて、自分にしかコントロールできない目標を設定することができます。

目に見えなくても、昨日より今日、少しでも成長している自分を認識することができるため、モチベーションも維持しやすくなります。

目標よりも行動に焦点を当てる

多くの人が大きな目標を立て、それを達成することを夢見ます。 新しいスキルを習得する、昇進する、体重を減らすなど、目標自体はとてもポジティブなものです。

しかし、目標が高く、直ぐに成果が望めないような場合には、日々の行動をむなしく思えてくることもあります。

そうではなく、「自分を超える」という目標を掲げて、日々の行動に意識を向けることができるようになることで、目標に向かう途中のプロセスを楽しむことができるようになります。

成功への近道:「目標を忘れ、行動に集中する」

「昨日の自分を超える」ことを目標にするという考え方は、一見遠回りに感じられるかもしれません。 しかし、実際にはこれが成功への最も近い道となります。

その理由は、当たり前の話ですが、行動しなければ目標は達成できません。しかも、目標が達成できる行動でなければ、目標は達成できません。

結果だけに囚われ、結果を出す行動が出来ているか、出来ていないかに意識が向かず、行動から生み出される結果に意識が向き、行動の改善ができない。

日々の行動を変えていくことに集中することで、目標に縛られすぎず、柔軟に対応する力を育むことができます。

例えば、ビジネス面でも同じことが言えます。 大きな収益目標を立てたとしても、日々の営業活動や顧客対応に力を入れることが結果を生む鍵です。

もし目標達成にこだわりすぎると、数字に一喜一憂するだけで、いわゆるPDCAがおろそかになる。

しかし、「昨日の自分を上回る」ことに集中すれば、常に小さな改善を繰り返しながら、結果的に大きな成功を手にできることができます。

終わり

成功への道のりは決して平たんな道のりではありません。目標を設定して、それに向かって前進する中で、思い通りにいかないことも多々あるでしょう。

でも、思い通りにいかないことを、ほんの少し改善させる行動そのものを楽しむことで、日々の充実感とともに、確実に前進することができます。

大きな目標を目指しながらも、今日の自分が昨日の自分よりも少しだけ成長しているかどうかを見つめながら進む。その積み重ねこそが、戦略設定した目標を超えるような成果をもたらします。

目標を忘れるわけではなく、それに縛られない自由な心で、日々の行動を大切にすることが成功への近道となるのです。

この方法を実践することで、あなたもきっと目標を超える成果を手に入れることができるでしょう。 そして、その時には、目標を達成する喜び以上に、自分自身が成長したことへの達成感を感じる、それこそが、人生における真の成功と言えると思います。

あなたの目的や目標は、本当に「自分のもの」ですか?

目的や目標を設定している人の、多くは、自分自身がつくった、目的や目標を持っていると思っています。

しかし、その目標が本当に「自分自身のもの」なのかを考えたことはあるでしょうか?実は、その目標の多くが、無意識のうちに他者の影響を受けたものであり、自分の意志から湧き出たものではないことがしばしばです。

この記事では、自分自身の目的や目標を見つけることの重要性について考えてみたいと思います。

他人に影響された目標の問題点

まず、人は多かれ少なかれ、他人の意見や評価に影響される生き物です。社会の中で生きる以上、他者との関係性や評価を無視することはできません。

例えば、子供の頃に親から「医者になりなさい」「一流大学に行きなさい」と言われ、その言葉を目標にして努力した人も多いでしょう。しかし、実際に医者や一流大学を目指すことが本当に自分の望みだったのでしょうか?

「7つの習慣」でスティーブン・R・コヴィー氏は、「主体性を発揮すること」が人生の成功の第一歩であると説いています​。主体性を発揮するとは、自分自身の人生に対して責任を持ち、自分の意志で目標を設定し行動することです。

しかし、多くの人は、自分が「主体的」であると思い込んでいても、実際には周囲の期待や社会的な価値観に縛られた目標を持っていることが少なくありません。

このように、自分自身の意志ではなく、他者の影響を受けて作られた目標にはいくつかの問題点があります。まず、目標を忘れやすくなったり、行動に移すことができなくなったりすることです。

これは、自分の内面から湧き出たものではないため、モチベーションが長続きしないからです。また、目標が達成されたとしても、その達成感が乏しく、さらなる成長意欲を持てなくなることもあります。

なぜ他人の影響を受けてしまうのか?

それでは、なぜ多くの人が他者の影響を受けて目標を設定してしまうのでしょうか?その理由は、人間が社会的な生き物であり、本能的に、他者からの承認欲求や評価を求める傾向が強いことにあります。

人は、1人では生きていけない生き物です。それ故に、個人が持つ価値観や信念、行動が他者の影響を受けやすいのは当然だと言えます。

自分の価値観を形成する上で、周囲の人々や環境が大きな役割を果たすため、完全に他者からの影響を排除することは不可能です。

また、親や教師、友人、同僚など、身近な人々の意見を尊重しすぎることで、自分の価値観と他者の価値観が混同され、結果的に自分の本来の目標を見失ってしまうこともあるのです。

さらに、家族を導く、親であったり、組織を率いる経営者であったり、規模の大小を問わず、リーダーの方々は、様々な困難に直面し、それを乗り越えていかなければなりません。

その中で他者の期待やプレッシャーがどれほど人の行動を制限し、間違った判断をさせるかということも、目的や目標に影響を与える要素として大事なポイントです。

このように、他者からの影響は個人の行動や意思決定に大きく関わり、目標設定の段階でも大きな影響を及ぼしていることがわかります。

自分の目標を見つけるために

他人の影響を受けやすいことを理解した上で、どうすれば自分自身の目標を見つけられるのでしょうか?ここで重要になるのが、自分の内面と向き合い、自分が本当に何を望んでいるのかを深く考えることです。

自分の内面と向き合うのは、決して簡単な事では無いことは承知しています。ただ、人生の目的を持つということは、自分の人生の軸を持ち、その軸に従って行動することです。

この軸を見つけるためには、自分自身に問いかけることが必要です。「自分は何のために生きているのか?」「どのような人生を歩みたいのか?」といった問いを繰り返し、自分の内面を掘り下げていくことで、自分の本当の目標が見えてくるはずです​。

昔から「急がば回れ」と言います。当初はやる気に満ちて始めたプロジェクトや目標が失敗する要因の一つとして、目的が不明確であり、「行動が目的化」されてしまうことが挙げられています​。

自分の目標を見つけるためには、その目的を明確にし、行動が目的を達成するための手段であることを常に意識することが大切です。

目的と手段を混同しないようにすることで、目標設定の段階からぶれずに、自分自身の本当の望みを見つけられるでしょう。

自分の心から湧き出る目標の力

自分の心の底から湧き出てくる目標は、他者の期待や社会的な価値観とは異なり、自分の感情や思考、行動すべてに深く根付いています。

これらの目標は、自分の本質と強く結びついているため、たとえ達成が困難なものであっても、強いモチベーションを持って取り組むことができます。

理性的な人は、感情的であることを好まないかもしれません。しかし、感情は行動の選択や質に大きな影響を与えます​。

自分の心から湧き出る目標は、その目標に向かって行動する際にポジティブな感情を引き出し、行動の質を向上させる効果があります。

また、自分の内なる目標を追求することで、たとえ困難な状況に直面しても、その目的を達成するために行動を続ける力が湧いてくるのです。

まとめ

多くの人が自分自身の目標を持っていると思い込んでいますが、その多くは実は他者の影響を受けたものであり、本当に自分の望みから生まれた目標ではないことがしばしばです。

他者の影響を受けやすいことを理解し、自分の内面と向き合い、自分自身の本当の望みを見つけることがこれからの時代に求められるスキルです。

自分の心の底から湧き出てくる目標を見つけることができれば、その目標は強力な原動力となり、行動の質を高め、結果を出すための力となるでしょう。

自分自身の目標を見つけ、その目標を達成するために行動を続けることで、真の意味で「自分の人生」を歩むことができるのです。

君は何のために今を生きているのか?

子供の頃、誰もが純粋で無邪気な夢を持っていたはずです。「サッカー選手になりたい」「宇宙飛行士になりたい」「世界一周したい」──そんな夢や目標を思い描きながら、日々を過ごしていたのではないでしょうか。

しかし、成長する過程で、周りの大人たちや、ちょっと年上の先輩たちが「現実を見ろ」と言い、夢を諦めるように仕向けてきたことはありませんか?

大人たちは決して悪気があってそう言うのではなく、自分たちが経験した失敗や挫折を繰り返してほしくないという思いから、忠告してくれているのかもしれません。

そういった善意の反対者がいなくとも、年を重ね、様々な経験をすることによって、当初描いていた夢が非現実的に思えて諦めるというよりも、自然と消えていくことも多いのかもしれません。

そうして、消えていってしまうのは、当初描いていた夢だけでなく、夢を描く行為そのものが、生きていくうえで邪魔者かのように扱われるかもしれません。

幸せとは何か

それでも、人は「幸せになりたくない」と思うことはありません。どんな境遇や状況にあっても、私たちは少なからず「幸せ」を求めて生きているはずです。では、その幸せとは何でしょうか?人によってその定義は様々です。

ある人にとっては家族との平穏な時間かもしれませんし、ある人にとっては仕事での成功、または経済的な安定かもしれません。

ここで重要なのは、どんな「幸せ」を掴みたいのかをはっきりさせることです。具体的な「幸せの形」を持つことによって、人生の方向性が定まり、日々の行動が明確になります。もし自分の目指す幸せが漠然としていると、日々の行動もまた迷いやすくなります。

例えば、ごくごく日常的な望みかもしれない、「家族との平穏な時間を持つ」というように思っても、具体的に、どんな時間の過ごし方をすれば「幸せ」と感じるのかを設定しないと、漠然として、何をすれば良いかが分からず、望む平穏な時間とは、違った方向に進むかもしれません。

平穏な時間を過ごすはずが、家族の為と思い、仕事に1日のほとんどの時間を取られ、たまの休みは疲れて何もする気にならなくなったり。

「幸せ」を感じるどころか、家庭内での会話が無くなり、子供たちの成長に合わせて、各々がバラバラに離れていくということになっては、「家族との平穏な時間を過ごす」ということから遠く離れてしまう事にもなりかねません。

幸せを具体化することの重要性

幸福感というのは、人生において目指すべき北極星のようなものです。その北極星がどこにあるのか分からないと、人生の航路も定まりません。

北極星が明確であればあるほど、私たちはその光を頼りに自分の進むべき道を見つけられるのです。これが、目的や目標を具体化することの重要性です。

先人たちの教えに、、「主体性を発揮する」ことの大切さがあります。これは、まさに自分自身の人生の舵を自分で取ることを意味しています。

他人に流されるのではなく、自分が望む方向に進む。つまり、自分の「幸せ」が何であるかを知り、それを追求するために行動を選択し続けることです。

今を生きるとは

では、私たちは何のために「今」を生きているのでしょうか?それは、まさに「自分の幸せ」を掴むために今を生きるのです。

人生は「過去」「現在」「未来」という3つの時間軸で成り立っていますが、唯一コントロールできるのは「現在」だけです。「今」をどう生きるかで、未来は大きく変わります。逆に言えば、「今」を無駄にすれば、未来もまた無駄になりかねません。

しかし、注意して欲しいのは、「今が楽しければ良い」ということでは無いということです。生きていれば必ず、困難な局面に立たされることもあります。そんな時も、未来を見据えながらも「今、何をすべきか」を常に考え抜いて行動し続けることが、最終的な成功につながります。

逆境や困難に直面しても、未来に向かって「今」をどう過ごすかが、自分の求める結果や幸せに近づく唯一の道であるということを知って欲しいです。

では、どうすれば自分らしい生き方を見つけることができるのでしょうか?それは、まず「自分が何を望んでいるのか」を見つめ直すことです。

他人の価値観や社会の常識に囚われず、自分自身の心の声を聞くことが大切です。たとえ世間の評価が低くても、自分にとって価値があり、幸せを感じるのであれば、それを大切にするべきです。

自分の人生を生きることの大切さ

人生を通じて「自分の人生を生きる」ことができる人は幸せです。いくら経済的に豊かであっても、自分の望む生き方をしていなければ、心のどこかで不満が残るでしょう。

ビジネス書『ビジョナリーカンパニー』では、企業が成功を続けるためには、自分たちが本来持っている価値や目的を見失わないことが重要だと述べられています​。

これは個人にも言えることです。自分が大切にしている価値や生き方を守り続け、それに向かって今を生きることが、真の意味での成功であり、幸せだと言えるでしょう。

まとめ

「君は何のために今を生きているのか」。それは、自分の求める「幸せ」を掴むためです。そのためには、具体的な目標を設定し、日々の行動を積み重ねることが大切です。

他人の価値観や社会の常識に流されることなく、自分の人生を自分の力で切り開いていくことが、真の幸福を手にする唯一の方法ではないでしょうか。今この瞬間の積み重ねが、未来の自分を創り出すのです。

格差社会の問題は貧富の差だけではない、「生き方」の問題にある

現代社会において、経済格差が広がっていることは広く認識されています。例えば、富裕層の資産はますます増大し、一方で低所得層の生活は厳しさを増している現状があります。

しかし、驚くべきことに、このような格差の拡大に対して、社会全体が大きな問題意識を持っているとは言い難い状況です。

特に、社会の中で「普通」と認識される層の多くは、自らを格差の下位層にいると自覚していません。

これは一見矛盾しているように思えますが、理由は複数あります。一つは、経済的な格差が目に見えにくくなっている点です。

近年、教育機会が拡大し、高校までは授業料が無償化され、大学進学のハードルも下がりました。大学を卒業することも以前に比べて容易になり、職業選択の幅が広がったと感じられる社会になっています。

また、低賃金であっても生活自体には困らない制度的なセーフティネットが整っているため、低層にいることを自覚しづらいのです。

仕事の面においても、考えることを止めて、会社に従い、一定の成果を出している限り、大きな問題なく社会生活を送れることが、多くの人々にとっての現実です。

これにより、経済的には低層に属していても、日常生活の中で大きな不便を感じることが少なく、結果として格差を意識しづらくなっているのです。

そして、主体的に生きるという視点を持たずに、指示に従い保護される形での生活を送ることに慣れてしまうと、現状に対する不満や違和感が薄れてしまいます。

ようするに、こうした社会構造の中で、真の問題は単なる経済的な格差ではなく、「主体的に生きるか、他者や社会の指示・保護のもとで生きるか」という生き方の選択にあると考えられます。

『7つの習慣』の著書である、フランクリン・コーヴィー博士は、「主体性を発揮すること」が最も重要な習慣として挙げています。

主体性とは、自らの人生に責任を持ち、自らの意思で行動を選択し、その結果に対しても責任を持つことです​。

加えて、主体性を発揮するがゆえに他者と摩擦を生むのではなく、自分自身の道に向かって、他者のサポートを得られるように動くことも、主体性を発揮することの重要な行動として示しています。

つまり、主体的に生きる事と、自己中心的なエゴとを明確に区別しています。

しかし、多くの人々は、日々の生活や仕事に追われる中で、この主体性を発揮することが難しいと感じ、他者の指示に従うことで安定を求めてしまいがちです。

主体性を発揮せず、誰かの指示に従い、保護される形で生きることを続けると、人は次第に自分の可能性や成長機会を見失ってしまいます。

この状態は、企業組織の衰退過程でも見られる現象です。『ビジョナリーカンパニー衰退の五段階』の中で、ジム・コリンズは、企業が成功から生まれる傲慢さに陥り、成長の本質的な要素を見失うことで、衰退の道をたどる様子が描かれています​。

この中で強調されるのは、組織としての主体性を失い、外部環境や上層部の指示に盲従する形になってしまうと、組織の柔軟性と活力が失われ、やがて企業は没落してしまうということです。

かつて、ビジョナリーカンパニーとして称えられた企業であっても、主体的な組織づくりに失敗すると、そこから衰退への道がはじまることが示されています。

しかし、主体的に生き、自らが自分の道を進む中では、選択を迷い、不安になることもあります。そういった場面でのヒントが、『HARD THINGS』の中にあります。

著者である、起業家ベン・ホロウィッツが語るように、困難な状況に直面した際に、自らの信念をもって行動することの重要性が示されています​。

これにより、困難を乗り越え、新たなチャンスを見出す力が生まれます。しかし、主体性を失い、困難な状況に対して他者の指示を待っていると、自己成長の機会を逃してしまいます。

結局のところ、格差社会において重要なのは、単に経済的な豊かさを追求することではなく、自らの人生を自らの手で切り開くという生き方そのものにあります。

多くの人が「自分は格差の低層にいる」という認識を持たないのは、彼らが経済的格差の中にあっても、そこに主体性を発揮して生きる姿勢が欠けているからです。

主体性を持たず、誰かの指示に従い、他者や社会の保護のもとで生き続けることは、表面的には安定をもたらすかもしれませんが、長期的には本当の意味での豊かさや幸せを失うことにつながるのです。

このように見ていくと、格差社会における本当の課題は、経済的な格差の是正だけでなく、人々がどのように生き方を選択するのか、どのように主体性を持って行動するのかにかかっているといえます。

経済的な状況がいかに困難であっても、自らの意志を持って行動する人は、外部の環境に左右されずに真の豊かさを得ることができます。

それこそが、格差社会を超えて人が真に成長し、幸福を手にするための鍵であると言えるでしょう。

リーダーの期待が人材を潰してしまう

新たなチャレンジとして未経験のプロジェクトを担当させる際に、成長を期待しているにもかかわらず、その人材をダメにしてしまうという「悲劇的」な状況が発生することがあります。

これは、思い通りの成果が得られず、自信を失い、行動が委縮するという悪循環に陥るためです。その結果、プロジェクトだけでなく、他の業務にも影響し、全体のパフォーマンスが低下してしまうことがあります。このような事態を避けるためには、適切なサポートやプロセスが必要です。

なぜこのようなことが起こるのか?

未経験のプロジェクトは、通常よりも大きなプレッシャーを伴い、失敗のリスクも高くなります。この際、次のような原因が考えられます。

  1. 自信の喪失: 期待に応えられず、結果が出ないことで自己評価が低下し、徐々に自信を喪失します。この状態が長く続くと、行動が委縮し、新たなチャレンジに対する恐怖感が増してしまいます​
  2. 悪循環の発生: 自信を失った状態での行動は、さらに悪い結果を招くことが多く、それがまた自信を削ぎ、悪循環に陥ります​。
  3. サポートの不足: プロジェクトの進行において、適切なフィードバックやサポートが欠けると、人材は自分自身の力で解決しようとしますが、うまくいかない場合、孤立感やストレスが増加します​​

この問題を避ける方法

  1. スモールステップの導入: 大きなプロジェクトではなく、段階的に成長できるタスクや目標を設定することで、成功体験を積み重ねていくことが重要です。小さな成功体験が自信を回復させ、次の挑戦に向けたモチベーションとなります​。
  2. サポート体制の確立: 定期的なフィードバックを提供し、適切な指導者やメンターを配置することが、孤立感を減少させます。特に、外部環境の変化や困難に直面した際には、冷静なアドバイスが欠かせません​。
  3. リーダーシップの発揮: チャレンジの過程で、失敗を学びとする文化をリーダーが率先して育むことが大切です。失敗を恐れるのではなく、そこから得られる教訓を次のステップに活かすことを強調する姿勢が、チーム全体のパフォーマンスを向上させます​。
  4. 現実的な目標設定: ビジョンや目標は、ワクワクするものであっても、現実的でなければなりません。適切な行動計画を立て、その計画を継続的に見直しながら進めることで、成功率を高めます​。
  5. 適切なリスク管理: 失敗のリスクが大きいプロジェクトでは、適切なリスク評価とそれに基づく計画が不可欠です。リスクを事前に想定し、それに対処する準備を怠らないようにします​​。

これらの対策を組み合わせることで、未経験のプロジェクトでも成功体験を積み重ね、人材を成長させることが可能です。成功への鍵は、適切なサポートと現実的な目標設定、そして失敗を許容する健全な文化の構築にあります。

まとめ

このようなことは、転職のタイミングでも起こります。特に、マネジメント層や実務経験を期待されて転職した場合に起こりがちです。

同じ仕事であっても、組織が変わればその場のやり方や、評価の考え方も変わってきます。もちろん、組織文化も違い、それに慣れず、期待された成果が出せない事は、当然起こります。そうして、優秀な人材が潰れていく。

リーダーは、人材を育てるという意識を持つことと同時に、新しいプロジェクト(仕事)、新しい組織文化が、その人材に与える影響を十分に考えて、サポートすることが求められます。なぜならば、人材を潰すのではなく、人材を育てたいからです。

リーダーの皆さんへ、「知識のマネジメント」出来ていますか?

AIの時代は「人の時代」と言われています。私も記事でこのことは書いてきました。

ところが、分かった気になって、実のところ「人の時代」と言われても、よく分からないというのが本当のところではないでしょうか。

この、分かった気になっていて、よく分かっていないのは、これまでもずっと続いていたように思います。

「知識の時代」「ナレッジマネジメント」です。ここが分かっていないと、AIの時代は「人の時代」の意味や意義は分からないと思います。

そこで、今回の記事では、「知識の時代」の本質はどこにあるのかを考えてみました。

「知識の時代」の本質とは:30年後のドラッカーの洞察を再考する

ピーター・ドラッカーが1980年代に「資本主義の終焉と知識の時代の到来」を予見したことは、今なお多くの人々にとって十分に理解されていません。

彼が唱えた「知識労働者」の重要性と、その時代の変化がどのように私たちの生活や仕事に影響を与えるか、改めて考えることが必要です。

そこでまずは、ドラッカーが示唆した変革の本質を再検討し、特にリーダーシップと企業運営における「知識のマネジメント」の重要性に焦点を当て、現在でも残るマネジメントの失敗要因に着目します。

資本主義の終焉と知識の時代の到来

ドラッカーは、伝統的な資本主義がもはや経済の中心ではなく、「知識」こそが新たな資本となる時代の到来を強調しました。

しかし、多くの企業や経営者が、この知識の時代への移行を十分に理解していないのが現状です。物質的な資源や製品が経済の中心だった時代から、知識が中心となる時代へと移行しているにもかかわらず、いまだに多くの組織が旧来の「労働力中心」のマネジメント手法に囚われています。

今日、すべての職業において「知識」を活用することが求められています。農業や製造業といった従来の肉体労働中心の業種でさえ、データを活用した生産効率の最適化や市場予測を行うことが成功の鍵となっています。

知識は、もはや専門職に限られたものではなく、すべての労働者が、求められるスキルとなっているのです​。

マネジメントの失敗:社員を「物的労働者」として捉える問題

知識の時代に移行した今でも、いまだに多くのマネジメントが失敗している要因のひとつは、社員を「物的労働者」として捉え、彼らに考える機会を与えず、指示命令に基づく管理手法を続けていることです。

このようなマネジメントスタイルでは、社員が持つ創造的な能力や知識を十分に引き出せず、むしろそれを抑え込んでしまうことになります。

全ての人は考える能力を持っており、経験を通じて学び、知識を蓄え、それをノウハウに変える力を持っています。しかし、従来型の指示命令型のマネジメントは、こうした社員の能力を奪い、彼らをただの「機械の一部」として扱ってしまうことがあります。この結果、社員は受動的になり、自ら考える力や意欲を失いがちです。

知識の時代においては、社員の能力を最大限に引き出し、彼らが自ら考え、学び、成長することをサポートするマネジメントが不可欠です。つまり、リーダーは社員に命令するだけでなく、彼らが自らの知識を活用し、意思決定に参加できる環境を提供することが求められます​。

すべての職業に求められる知識の活用

現代のすべての職業において、知識の活用が不可欠です。農業や工場労働においても、単純作業だけでなく、データ分析や効率的な作業方法を考える力が重要視されています。このような変化は、従来の「労働力」から「知識労働」への移行を象徴しています。

しかし、多くの企業は依然として、マネジメント層が意思決定を行い、現場の社員には指示を出すという旧来のトップダウン型の管理手法を続けています。

このようなアプローチは、社員が持つ知識や経験を十分に活かせず、組織全体の生産性を低下させる要因となっています。

今後、企業が成長するためには、社員が持つ知識を組織全体で共有し、迅速な意思決定を行うことが必要です​。

リーダーの仕事は「知識のマネジメント」

この時代におけるリーダーシップの本質は、人の管理ではなく、知識のマネジメントにあります。リーダーは、社員が持つ知識を最大限に引き出し、それを組織全体で活用できるようにする役割を担うべきです。

従来のようなトップダウンの指示命令ではなく、社員の知識を集約し、意思決定に反映させることが、今後のリーダーに求められる重要なスキルとなります。

社員を「物的な労働者」としてではなく、「知識を創出する存在」として捉えることが、リーダーの役割です。リーダーは社員一人ひとりの知識や経験を尊重し、それを組織の成長に活かす方法を見つけるべきです。

このようなアプローチにより、社員は自らの力を発揮し、組織全体が知識を基盤にした強力な競争力を持つことが可能になります​​。

AI時代における知識の創出とマネジメント

AI時代に突入した現代では、人間の知識の価値はますます高まっています。AIは膨大なデータを処理し、分析を行うことができますが、そこから価値を生み出すには人間の洞察力や創造力が必要です。

AIの進化により、単純作業は自動化されますが、創造的な問題解決や高度な意思決定は依然として人間の知識に依存しています。

このため、リーダーはAIを導入するだけでなく、社員の知識をさらに深め、その知識をいかにAIと連携させて活用するかを考えなければなりません。

社員一人ひとりの知識を無視することなく、彼らの能力を最大限に引き出すマネジメントこそが、AI時代においても企業を成長させるための鍵となるのです​。

結論:人を中心とした時代の到来

ドラッカーが提唱した「知識の時代」は、まさに今、AI技術の進化とともに現実のものとなっています。

企業の成功は、いかに知識を創出し、それをマネジメントできるかにかかっています。しかし、依然として旧来の管理手法に囚われたマネジメントは、社員を「物的労働者」として扱い、彼らの知識や創造力を抑圧しています。

リーダーは、社員を「知識労働者」として尊重し、彼らが持つ知識を最大限に活かせる環境を整えるべきです。このように、物理的な資源ではなく、知識という無形資産をどれだけ効果的に活用できるかが、これからの企業の競争優位を決定づけるのです。

知識の時代におけるリーダーの責任は、社員の知識を集約し、組織全体の成長に結びつけることにあります​​。

無意識を探る物語の力とは? 〜あなたの心の奥底にある言葉の意味を見つける方法〜

私たちの心の奥深くには、普段は気づかない無意識の思考や感情が隠れています。

それは、私たちの日常生活や行動に大きな影響を与えているにもかかわらず、自分では簡単には見つけることができません。

しかし、その無意識を探り、理解することで、私たち自身の本当の欲求や悩み、考え方を知ることができるのです。そんな無意識を探る効果的な方法の一つが「物語を使った自己探求」です。

物語で無意識を引き出すプロセス

まずは、誰かを想定して、その人の物語を自由に創造してみてください。この物語は、事実に縛られる必要はありません。

むしろ、現実を忘れて、思うままにストーリーを紡いでいきましょう。例えば、その人がどのような状況にいて、何を考え、どのように行動しているのかを描き出すのです。

物語を書き進めるうちに、あなたの頭の中に浮かんだ言葉やフレーズに注目してください。それらは、無意識のうちに選ばれた言葉であり、あなた自身が本当に考えていることや感じていることが反映されている可能性があります。

言葉に込められた意味を探る

次に、その言葉の中から何となく気になるものを一つ選び出します。その言葉が何を意味しているのかをじっくり考えてみてください。

例えば、あなたが「自由」という言葉を選んだとしましょう。それは、あなたが今、自由を渇望している、あるいは束縛を感じているという無意識のサインかもしれません。

ここで重要なのは、言葉に込められた意味を深く掘り下げることです。その言葉があなたの人生や現在の状況にどのように関連しているのかを考え、その背後にある無意識の思考や感情を探るのです。

もしかしたら、それはあなたが今まで意識していなかった、本当に求めているものや不安に感じていることかもしれません。

物語がもたらす自己理解の深まり

このようにして、物語を通じて自分の無意識にアクセスし、言葉に込められた意味を探ることで、自己理解が深まります。普段は気づかない心の奥底にある感情や考えを知ることで、日常の選択や行動がどのように影響を受けているかを理解することができるでしょう。

この方法は、自己探求の旅の一部として、非常に有効です。物語という創造的なプロセスを通じて、自分の無意識を知り、その中に隠されたメッセージを解読することで、より深い自己認識に到達できるのです。

もしあなたが、自己理解を深めたい、自分の無意識と向き合いたいと感じているなら、この物語を使った方法を試してみてください。きっと、新しい発見が待っています。

人の最大の強みは、無意識にあります

感情のマネジメントは、ビジネスや個人の成長において極めて重要な要素です。特にネガティブな感情のコントロールは、個人の行動や意思決定に直接影響を与えます。

そして、無意識の世界を理解し、活用することは、未来を創造するための強力なツールとなり得ます。

私たちは普段、無意識の思考や感情に直接触れることは難しく、そのために無意識の存在を自覚しづらい傾向があります。

しかし、その無意識のメッセージを顕在化させる方法が「物語の創造」です。架空の物語を描くことによって、自分自身の無意識の思考や感情を可視化することが可能となり、それが自己理解や未来のビジョン形成に役立つのです。

物語による無意識の顕在化

物語を描く行為は、一見単純に思えるかもしれませんが、その中には描いた本人の無意識のメッセージが隠されています。

このアプローチは、心理学的な技法としても用いられ、創造されたキャラクターやストーリー展開は、描き手の内なる感情や無意識の願望、恐れなどを反映することがあります。

例えば、ストーリーの中で困難を乗り越えるキャラクターを描くとき、そのキャラクターが直面する問題は、自分自身が内心抱えている課題を象徴しているかもしれません。

物語の中で解決策が見つかれば、それは現実の自分にとっても有用な解決策となり得ます。このように、物語は自己探求と問題解決のツールとなるのです。

さらに、ビジネスのシーンにおいても、この手法は応用可能です。物語を使って組織やプロジェクトの未来を描くことは、単なる戦略策定ではなく、無意識の欲求や目標を具体化する手段となります。

世界的なベストセラーである、「ビジョナリーカンパニー​」や他のリーダーシップ論でも強調されるように、成功の背後には、ビジョンや目標を共有することの重要性が存在します。

このビジョンの多くは、リーダーやメンバーの無意識に眠る理想や価値観が反映されていることが多いのです。

ビジネスにおける無意識の活用

企業やチームが対立や混乱に直面する際、対立の根本原因は、価値観や目標の違い、さらには無意識の領域での認識のズレによることが多いです​。

そのため、物語を使って無意識を顕在化させることで、潜在的な対立の原因を洗い出し、それを解決に導くための共通のゴールを見つけることができます。

また、リーダーシップにおいては、無意識における自己認識が非常に重要です。シリコンバレーの投資家で有名なベン・ホロヴィッツ氏の著書「HARD THINGS」の中でも描かれていますが、リーダーシップの課題は、調子の良い時ではなく、困難に立ち向かうときです。

困難に向き合ったとき、リーダーはしばしば自身の無意識の信念や恐怖に支配されることがあります​。

しかし、無意識の影響を自覚し、それをストーリーとして描くことで、現実的かつ冷静な判断ができるようになるのです。

特に、長期的なビジョンを持つことが重要なプロジェクトや企業運営では、無意識の力を活用することで、成功に導くための道筋が見えてくることがあります。

例えば、コビー博士著「7つの習慣」では、主体的に生きるために自己の感情や行動を管理することが強調されていますが、その根底には無意識の理解が必要不可欠です​。

未来を創造する物語の力

物語は、未来を描くための強力なツールです。物語を通じて無意識を顕在化させ、現在の課題や潜在的な問題を見つけ出し、それに対する解決策を描くことが可能です。

このプロセスは、単に創造的な思考を促進するだけでなく、具体的なビジョンや戦略の形成にも役立ちます。ビジネスのさまざまなシーンにおいて、この手法を使うことで、無意識のメッセージを活用し、真に望む方向へと進むことができるでしょう。

未来を創造するために、無意識の力を活用し、物語を通じてそのメッセージを読み取ること。このアプローチは、感情のマネジメントだけでなく、ビジネスにおける意思決定や組織の方向性にも大きな影響を与えるでしょう。

じっくり考え、すばやく行動「BIG THINGS」

今回は、皆さんにビジネス書「BIG THINGS」を紹介したいと思います。著者はオックスフォード大学第一BT教授であり学科長である、ベント・フリウビヤ教授です。

BTというのは、Bayesian Thinking(ベイズ思考)の略で、確率論の一つであるベイズ統計学のことです。

つまり、著者は、このベイズ統計学をもとに様々なビッグプロジェクトを数字によって定量的に分析し、プロジェクトが陥る失敗の理由を示しています。もちろん、失敗の理由だけでなく、成功するための方法も示しています。

今回、この本を取り上げたのは、ビッグプロジェクトの失敗要因を知ることではなく、大小様々なプロジェクトに我々は日々、取り組んでいると思います。

営業活動に、開発そして採用プロセスなども一つのプロジェクトだと捉えると、日々の業務がそもそもプロジェクトだと考えられます。

この本から、我々が目標に向かって進み、成果を確実なものにする為の、メッセージを掴み取ることができます。

行動計画が曖昧では、行動も曖昧

この本の重要なメッセージは、ビジョンや目標がどれだけ、ワクワクし心を躍らせても、行動が伴わなければ、失敗する。

この本の中では、オリンピックや万博そして大規模なトンネル工事など、社会的に意義があり、やりがいのあるプロジェクトを分析していますが、その結果はことごとく失敗です。

失敗の定義は、大幅な計画延長とそれに伴う大幅な予算超過、そして最悪はプロジェクトの中止です。

我々のような小さな企業においては、大幅な計画延長や予算超過などは不可能な話なので、プロジェクトの中止又は、うやむやになり、いつのまにかビジョンが忘れ去られることになります。

そして、その失敗の要因は、行動計画が不適切だという事です。国の威信をかけた国家プロジェクトにおいて、どうして行動計画が不適切になるのか、不思議ですが、それを当事者は何度も繰り返しているということです。

大きな国家プロジェクトだけではありません。日常の我々の、目標やビジョンに向けた行動も多くが失敗に終わり、その失敗を何度も繰り返します。

なぜ、行動計画が適切に設計できないのでしょうか?そして、なぜ同じ失敗を繰り返すのでしょうか?

これは、どうも人の能力ではなく、本能と言っても良い特長にあるようです。そのプロジェクトの目的、何のためにそれを実施するということが、プロジェクトの実施が決定された瞬間にどこかに消えてしまい、プロジェクトそのものが目的になってしまう。

本来の目的ではなく、行動が目的化されている

目的ではなく、プロジェクトの実行が目的化されてしまうことで、多くのブレが表出してきます。

その一つが、「まず実行在りき」です。様々なリスクの想定やその解決の為のシミュレーションなどの準備が、

「先んじれば人を制す」「チャンスを逃がすな」「やってみなければ分からん」などといった、言い訳と共に、置き去りになる。当然です、行動が目的なのですから。

そして二つ目が、プライドです。国の威信をかけている。自社の存在を知らしめる。自分の力を試すチャンスだ!などという感情と共に、経験豊富な専門家に頼ることを拒絶する。

世界で誰もやったことが無いプロジェクトだから専門家などいないということもあると思います。例えば宇宙開発などはその例かもしれないです。

しかし、そのプロジェクトのプロセスを細分化すれば、専門家は現れてきます。目的を見失わず、メンバーの行動を一致させるリーダーシップの専門家もいれば、宇宙開発であれば、ロケット工学の専門家、部品の専門家など多数存在します。

専門家の存在を知っていながらも、自国の企業を育てる。自社の人材を育てる。自分の力を伸ばすという言い訳も、行動が目的化されているから出てくることだと思います。

これら2つに、3つ目の「楽観主義」が加わります。「やれば、なんとかなる」と言わんばかりに、プロジェクトが成功することだけを考えて行動する。

プロジェクトメンバーの中には、リスクを示すメンバーもいるかもしれませんが、リーダーが筆頭に、そのリスクを否定、または無視する。

そもそも、成功するための行動が曖昧な状況では、成果がでるのは奇跡でしかない、そして偶然起きる、この奇跡的な成果が、成功事例として、これまでの3つの失敗の理由を推し進めることになる。

成功に導く3つの原則

これら3つの失敗理由をふまえて、プロジェクトを成功に導く為に重要なことは、次の3つです。

  1. 目的からの検証
  2. 専門家をパートナーにする
  3. リスクの想定と解決策

目的からの検証

行動が目的化するのは、人の能力の問題ではなく、本能の問題です。だとすれば、仕組みとして、目的を忘れず、目的から行動を検証することが必要になります。

プロジェクトの進捗を見る時には、必ず「目的」から検証することを日常にすることが必要かと思います。

専門家をパートナーにする

ここでも、目的が専門家の選定に重要です。オリンピックなどの国家プロジェクトの場合も目的が必ずあります。開催が目的ではないはずです。ならば、他にはないスタジアムが必要なのか?他にはない運営方法が必要なのか?などを目的から検証することからはじまります。

目的からはじまり、何が必要なのか、どんな活動が必要なのかを想定した後に、専門家の養成に入ります。

プロジェクトの内容によっては、目的の選定から専門家の参加を求めることも考えられます。しかし、専門家がいない、見つからないという場合もあると思います。その場合は、行動を進めながら、専門家の選定を同時進行で進めることが必要です。

リスクの想定と解決策

リスクを想定し、その解決策を持って行動することで、行動の内容と質のレベルを高める事にもつながります。起きうるリスクが分かっているのですから、それが起きないように行動できるので、内容も質もあがります。

そして、想定しなかったリスクが起きた場合の対応策も設定していくと、想定外のことが起きても、動揺せず、冷静に次の対策を考えられる状態をつくれます。

さらに加えて、思うように行動が進まない時や、想定外のことが起きた時の感情のマネジメントもリスク対策に入れておくとより安定した行動がとれるとうに思います。

まとめ

これまで、BIG THINGSという本の解釈をもとに、ビジョンや目標達成に向けたプロジェクトの失敗の原因から、成功に導く方法を考えてきました。

理念経営やビジョン経営が上手くいかない事例が多く、理念やビジョンが絵に描いた餅になっていることを数多く見受けます。

目標が大きければ大きいほど、これも絵に描いた餅になっていることも多くみます。これらは、みな行動計画が曖昧になっているように思います。

目標達成の為の行動が分からないという事もあると思いますが、この場合も、「分からない」ことを自覚して、現状の行動を進めながら、成果を生む行動を、専門家などの他者の力を借りながら見つけることが大切だと思います。

皆さん、是非この機会に、今の行動の検証をしてみてはいかがでしょうか!

答えのない難問にどう立ち向かう!

「答えがない難問と困難に、きみはどう立ち向かうか」

ベン・ホロウィッツ著 HARD THINGSの紹介と解釈を独断と偏見で書きたいと思います。

この本は、ベン・ホロウィッツ氏が、ITベンチャーを創業し、幾多の困難に立ち向かいながら最終的にはヒューレット・パッカード(HP)に16億ドルで売却することができた、いわゆるヒーローズジャーニーの物語です。

「そうか、おきまりの成功者の物語か」と、簡単に片づけられない物語がここにはあります。本人が体験したからこそ語れる心情、行動そして葛藤が描かれています。

そもそもベンチャー企業を立ち上げる為には、創業者のアイディアはもちろん、それに賛同する投資家が存在します。

つまり、創業者だけではなく、賛同する優秀な社員、投資家の全員が、大成功を確信するからスタートできます。

ベン・ホロウィッツ氏が創業した、ラウドクラウド社も他社に無い、ユニークな製品、サービスを市場に投入し、意気揚々とスタートしました。

ところが、創業まもなく、ITバブルの崩壊そして9.11のテロがシリコンバレーのIT市場を一気に不況へと落とし込みました。

当然、ラウドクラウド社も巻き込まれ、倒産の危機に追い込まれます。自分が招いたわけでもない、どうしようもない外部環境の変化に巻き込まれ、危機に追い込まれることはあると思いますが、この時に経営者、リーダーはこの困難にどう立ち向かうがその先の未来を決めていくと思います。

この答えがない難問と困難にどう立ち向かうかのメッセージがこの本の中にはあります。

まず一つ目は、「クソを食らわば一口で」です。

悪い情報はいずれは知られるので、一気にすべてを知らせる。ここで情報を小出しにするメリットよりも、デメリットの方が大きいということです。

まして、隠すこともできません。隠せば、現実が遠くに去っていくことは決してありません。

冷静に考えれば、当たり前なことのように思いますが、なかなかできないことかもしれません。しかし、ここに成功要因の一つがあると思います。

この当たり前を実行するために要素が二つ目のメッセージです。

1人で抱え込まない、誰かに相談することがあげられます。相談するということは、もちろん経営者、リーダーが気づかない対策のアイディアもありますが、

一番大切なことは、経営者、リーダーが冷静に客観的になることです。先ほどの悪い情報はいずれは知れるということは、誰もが分かっていることです。既に、知っていることです。

誰かに聞いたり、本で学んだりしたこともあるかもしれませんが、最善の方法だと分かっていることを実行するためにも、誰かに相談することが大切です。もちろん誰でも良いということは無く、日ごろからコーチやメンターを持つことが必要になります。このコーチ、メンターを持っていることがシリコン・バレーの企業の強さかもしれません。

また、三つめは、社員を尊重するです。

情報を隠すということは、社員を信頼してないからでありませんか、それが余計な心配をかけてはいけないという善意からだとしても、信頼が無いから情報を隠すのだと思います。

そうすると、隠された社員の方も、経営者、リーダーを信頼しません。情報を知らせることは、信頼を得る必要条件になります。

経営者、リーダーの中には、余計な情報は社員に伝えると、外に情報が漏れたり、反発したりなどと、ネガティブな反応を恐れる方々がいます。

それは、社員との信頼関係ができていないことの証明のように思います。また、社員からの反発を恐れるよりも、そこに正面から向き合うことが、社員からの信頼を得て、組織を強くする重要な要素であると思います。

そして、情報を開示することで、経営者、リーダーが一人で対策を考えるのではなく、社員の頭脳、経験も使え、問題解決に繋がります。

また、社員を尊重するということは、ヴィジョンを伝えたり、社員の評価にも大切な要素です。この本の中では、何度か社員をレイオフ(解雇)しています。

会社の業績悪化による、製品戦略の転換によるレイオフもあれば、社員の業績不振による配置転換やレイオフもあります。

そんな場合も、解雇の理由を、本人の人間性を尊重(気づつけない)し、能力や経験の違いをしっかりと伝える。そして製品戦略の転換などによる大規模なレイオフ等の場合などは特に、会社に残って一緒に働く社員に対して、今後のビジョンや目標をしっかり伝えて、安心して働く環境をつくることも大事です。

さらに、この本の中では、経営においての優先順位を、社員(人)、製品・サービス、利益の順番だと明確に示しています。

かつて、稲盛氏はJAL再生の時に掲げた理念は、「全従業員の物心両面の幸福を追求し、お客様に最高のサービスを提供する」でした。

顧客満足第一をかかげる企業も多いですが、顧客満足を届けるのは社員です。社員が幸せであってこそ、最高の顧客満足を提供できるという考え方は、世界中の共通した組織づくりの成功ノウハウかもしれません。

そして、四つ目は社員教育です。

この本の中では、社員教育をする理由として、生産性向上、業績を高める、品質向上そして社員をつなぎとめる、これら4つがあげられています。

最初の3つは、社員教育の理由として当然だと思う方が多いと思います。しかし、この最初の3つを行うことで、社員は成長します。会社に入社することによって、経験を積み、学び、それまで無かった能力も身についていきます。

このような成長を実感することで、人はその組織への帰属意識が高まります。つまり会社を簡単には止めないことになるということになります。

つまり、「成長したら、もっと条件の良い会社に転職してしまう」ということは考えず、社員の成長を促進させることを大切にするということです。

もちろん、中には、もっと良い条件の良い会社に転職しようと思う社員もいますが、それは一部であり、転職理由は、人間関係であったり、望む仕事が無かったりなどといった、他にあるということです。

以上の4つの他にも、経営者、リーダーとしての考え方も示されています。その中でも大切なことは、「そもそも、自分は何をしたいのか」を明確にもつことです。

本の中では、倒産の危機に向き合ったときに、「起こりうる最悪な状態とは、どんな状態なのか?」「もし倒産したら私は何をするのか?」という問いを自分自身に投げかけています。

何かを守ろうとした時に、人は意識が「守る」ことに向き、そもそも、何を守り、なぜ守る必要があるかなどと言った、本質的なことが抜け落ちることがあります。

それを、最悪なことが起きたと仮定することで、今、向いている意識を拡げてみることを示しているように思います。

以上、HARD THINGSを独断と偏見で紹介し、解説してみました。

どうしてよいか解決の道が見えない、困難においても、考える道はあるように思います。その道程のなかで、最良の解決策が見つかると思います。

例え、その解決策で思い通りの成果が得られなかったとしても、考える道を外して進むのではなく、最善の道を歩むことの大切さを教えてくれている名著だと思います。

これからは、誰も経験してこなかった社会の中で、経営をし、組織づくりが必要になってきます。その中で、結果に心を奪われるのではなく、行動を起こす、最善の道を歩むことが、最も大切なことだと思います。