責任を持って選択することができていますか?~選ぶことは同時に捨てること~

あなたは、今日どんな選択をしましたか?
朝の目覚めから、何を食べるか、どの服を着るか、どの仕事を優先するか。
私たちは日々、多くの「選択」を繰り返しています。

しかし、その選択の裏には、必ず「選ばなかった何か」が存在しています。
この“何かを得るには、何かを手放さなければならない”という現実を、**トレードオフ(Trade-off)**と呼びます。

例えば、仕事に集中するためにプライベートの時間を減らす。
あるいは、成長できる部署に異動するために、気心の知れた仲間と離れる。
どちらも、「何かを得るために、何かを犠牲にする」決断です。

この当たり前のようで見落とされがちな原則こそ、リーダーとして成長するための土台になるものです。

トレードオフを避ける人は、リーダーになれない

若いビジネスパーソンと話していて感じるのは、
「できるだけ多くを手に入れたい」「バランスよく、すべてを得たい」という思考が強いということです。
もちろん、その思い自体は自然です。誰だって、仕事もプライベートも、安定も挑戦も、全部欲しい。

しかし、現実は残酷です。
「すべてを得る」ことは、基本的にできません。

だからこそ、「自分にとって本当に必要なものは何か?」を見極め、選ぶ力が必要です。

ここで問題なのは、トレードオフから目をそらし、曖昧な姿勢をとることです。
意思決定を他人に任せたり、保留にしたり、結論を先延ばしにすることで、
「選ばなかった」という責任から逃れようとする。

しかし、それは裏を返せば、自分の人生の舵を他人に預けることでもあります。
リーダーとして求められるのは、自分で選び、その結果に責任を持つ覚悟です。

トレードオフが、主体性を育てる

「主体性を持て」と言われても、どうすればいいかわからない。
そんな声を多く聞きます。
実は、主体性は「選択の責任を引き受ける」ことによって初めて育ちます。

リーダーとは、正解のない状況で選ぶ人です。
どちらを選んでも痛みを伴う、そんな場面に直面したときに、
どれだけ自分の価値観に照らして、軸を持って判断できるか。

たとえば、ある若手社員が、安定した本社のポジションを捨てて、赤字の地方支社に異動する決断をしたケースがあります。
周囲からは「なぜわざわざ苦労を買うのか」と言われたそうですが、本人は明確に言っていました。

「挑戦のフィールドを選びたかった。失敗しても、自分で選んだことなら納得できると思った。」

この選択は、彼にとって「安定」か「挑戦」かというトレードオフでした。
結果として、彼は現地で新しいチームをつくり、成果を上げ、数年後には本社に戻ってリーダーとして抜擢されました。

このように、「選択する責任」を引き受ける経験こそが、リーダーシップを育てるのです。

中途半端な選択が、成長を止める

逆に言えば、トレードオフを避け、すべてを少しずつ得ようとする姿勢は、
結局どこにも本気で向き合わないことにつながります。

たとえば、自己成長したいと思いながら、休日のすべてを趣味や娯楽にあててしまう人。
部下との関係性を築きたいと思いながら、常にタスク優先で関わりを後回しにしてしまう人。
そこには、「時間の使い方」という明確なトレードオフが潜んでいます。

「自分にとって何が本当に大切なのか?」という問いに答えない限り、
何かを深く得ることはできません。

深く得るためには、何かを手放す覚悟が必要です。

リーダーは、選択によって人に示す

若手リーダーの多くは、「どうすれば周囲から信頼されるか」に悩みます。
その答えの一つが、自らの選択で姿勢を示すことです。

リーダーとは、言葉よりも「どこに立つか」で評価される存在です。
苦しい状況のときに、どんな判断をするのか。
自分が損をしてでも守るべきものを守るのか。
そうした選択の積み重ねが、信頼となり、リーダーシップの土台になります。

たとえば、目先の成果を得るために短期施策を優先するか、
中長期のビジョンのために厳しい判断を下すか。
リーダーは常にトレードオフの中で決断を求められます。

そしてその判断は、「この人が選ぶ道なら、ついていこう」と思わせる力になります。

選択の軸を持つために

では、トレードオフを正しく選ぶために、私たちは何をすればいいのでしょうか。
それは、自分の中に価値観の軸を持つことです。

  • 何を大切にしたいのか
  • どんな未来を創りたいのか
  • どんな人間でありたいのか

これらの問いに向き合い、紙に書いてみるだけでも、自分の選択が変わり始めます。
迷ったときに立ち戻れる「基準」があることで、ブレない選択ができるようになります。

その積み重ねが、やがてリーダーとしての「存在感」や「信頼感」を形づくるのです。

まとめ:選ぶ勇気が、未来を変える

何かを得るには、何かを捨てなければならない。
この現実に向き合い、真剣に選び続けること。
それが、主体性を育て、リーダーシップを磨く最も確かな道です。

トレードオフは、成長の扉です。
その扉を開くには、「すべてを得よう」とする欲から一歩引いて、
「何を得るために、何を手放すか」という視点に立つこと。

選択に責任を持つあなたを、人は信頼します。
そして、その覚悟ある選択が、あなたをリーダーへと導いていくのです。

ビジョンだけでは足りない。“希望”がないと人はついてこない

希望があるから、人は歩き出せる

「もうダメだ」「これ以上は無理かもしれない」
そんなふうに感じたこと、誰にでも一度や二度はあると思います。

けれど、ふとした瞬間に見える小さな光――それが「希望」です。
その希望が、どれほど大きな力を持っているか。今日はそんなお話をしたいと思います。

希望があるから、耐えられる

第二次世界大戦中、ナチス・ドイツによって設置されたアウシュビッツ収容所。そこでは人間としての尊厳が奪われ、想像を絶する環境で多くの人が命を落としました。そんな地獄のような場所でも、生き延びた人がいます。

精神科医であり、『夜と霧』の著者としても知られるヴィクトール・フランクル氏は、そのアウシュビッツを生き延びた一人です。
彼が語ったのは、意外なほどシンプルなことでした。

「明日、妻にもう一度会えるかもしれない」
「収容所から出たら、やりたいことがある」
「この経験を伝える使命があるのではないか」

そんな未来のイメージが、彼を生かしました。
つまり、人がどれだけ過酷な状況に置かれても、“希望”さえあれば、耐えることができるのです。

希望とは、「今」を変える魔法ではありません。
でも「これから」に意味を与えてくれるものだと思います。

希望は、イメージから始まる

ビジネスの世界でも、この「希望」が大きな力を持っています。
たとえばビジョン経営や理念経営――言葉だけ聞くと、どこか堅くて、抽象的に感じるかもしれません。でも、その根底にあるのは、「未来を描く力」です。

よく、企業のホームページやパンフレットには「理念」や「ビジョン」が書かれていますよね。
でもそれが単なる「言葉」で終わってしまっていたら、残念ながら、ほとんど意味がありません。

大切なのは、それが具体的に「イメージできるかどうか」です。

「3年後には、自分たちのサービスで地域の人の暮らしが変わっている」
「10年後には、社員が誇りを持てる会社になっている」

そんなふうに、“絵”として思い浮かべられるレベルで語られてこそ、ビジョンは人の心に届きます。
つまり、言葉として存在していても、イメージされていなければ、ビジョンには力が宿らないのです。

逆に、未来をはっきりイメージできれば、目の前の困難も意味あるものに変わります。
だからこそ、「言葉」だけでなく、「映像」として思い描く力が、組織の力を決めていきます。会社の未来に希望を抱くことができているのだと思います。

希望は、自分の中に育てられる

「でも、自分にはそんな希望なんて持てない」と感じる人もいるかもしれません。
そんなときに大切なのは、「希望は、訓練できる」ということです。

人間の脳は、イメージに反応する性質があります。
明るい未来を思い描けば、脳はその可能性に向かって動き出すようにできています。

たとえば、毎朝ほんの数分でもいいので、自分の理想の一日や、叶えたい未来を具体的にイメージしてみる。
・どんな服を着て
・どんな場所で
・誰といて
・どんな気持ちで過ごしているか

そういうイメージを、心の中に“ありありと描く”ことで、希望は育っていきます。
これは、スポーツ選手が行うメンタルトレーニングと同じ原理です。

未来に対して肯定的なイメージを持つことは、「今」を力強く生きるためのトレーニングでもあるんです。

リーダー自身が希望を持つことから始まる

そして、組織においてはリーダーこそが、まず希望を持たなくてはなりません。
リーダーが自分の未来や、チームの未来を語らずして、メンバーが希望を持つことはできません。

希望とは、静かに広がっていくものです。
たとえば、あるプロジェクトで困難に直面したとき。
リーダーが、「この状況もきっと意味がある。僕たちなら、乗り越えられる」と語ったとします。

その言葉が、メンバーの中に少しずつ染み込んでいく。
やがて一人が動き出し、もう一人がそれに影響される。
そうやってチームに連鎖が生まれ、空気が変わっていくんです。

未来を語る。
自分たちは、こうなりたいと口にする。
それがリーダーの大事な役割のひとつです。

希望があるから、行動が生まれる

どんなに小さな一歩でも、希望があるから踏み出せる。
逆に、希望がなければ、どんなに周囲が「やれ」と言っても、人は動けません。

行動の背景には、いつも「こうなりたい」「こうありたい」という想いがあります。
それは誰かに強制されたものではなく、自分の中から湧いてくるもの。
そしてその想いを支えているのが、“希望”です。

だからこそ、どんな状況にあっても、
「何を望んでいるのか」
「どんな未来を見ているのか」を問い続けることが大切なのです。

最後に

希望とは、現実逃避ではありません。
むしろ、現実と向き合いながらも、「もっと良くなる」と信じること。

アウシュビッツのような極限の中で希望を失わなかった人がいたように、私たちの日常の中にも、小さな希望の種は確かにあります。

その種をどう育てるか。
それが、行動するエネルギーをつくり、未来をつくるのだと思います。

明日を信じられる人だけが、今日を生き切れる。
そしてその力は、誰の中にも眠っているのです。

「優秀なのに、組織を止めている人たち」〜リーダーが超えるべき“安心の壁”〜

このままじゃいけない」と思いながら、つい現状にとどまってしまう。そんな経験はありませんか?

人には誰しも、「今のままでいたい」と思う“安心領域”があります。それが「コンフォートゾーン」です。実はこのコンフォートゾーン、仕事ができる人ほど強く形成されていて、時として組織の成長を止める原因にもなります。

本記事では、「今を維持したい。壊したくない」という気持ちは、誰にでもある普通の感情であり、それが実は変革を止める要因であることを考えたいと思います。そして、リーダーに求められるのは、この人間の本能的な感情を理解し一歩踏み出す力にあることを、一緒に考えられたらと思います。

変化の時代を生き抜くリーダーに、ぜひ読んでいただきたい内容です。

1.コンフォートゾーンとは何か

人には誰しも、無意識に「居心地の良い範囲」をつくっています。これがいわゆるコンフォートゾーンです。そこでは、自分がある程度の成果を出せる自信があり、大きなリスクを取る必要もありません。慣れた仕事、人間関係、業務の進め方。たとえ多少の不満や物足りなさがあったとしても、ストレスが比較的少なく、ある意味で「安心して過ごせる場所」です。

このコンフォートゾーンにいるとき、人は精神的に安定します。しかし一方で、そこにとどまり続けることが、知らぬ間に自分の成長や組織の進化を妨げてしまうことがあります。

2.仕事ができる人にも、できない人にも、誰にでもある

「コンフォートゾーンは、成果を出せない人の話だ」と思ってはいけません。むしろ、高い成果を出している人ほど、無自覚に自分の成功パターンに固執しやすくなります

たとえば営業の現場では、「自分なりの営業スタイルを確立してきたベテラン社員」が、新しい営業手法やデジタルツールの導入に消極的になることがあります。「今のやり方で結果が出ているんだから、それでいい」と考えるのです。

一方で、成果を出せていない人も、「これ以上は無理だ」「自分には向いていない」と自らの限界を早々に決めつけ、挑戦をやめてしまうことがあります。これもまた、自分の「できると思える範囲=コンフォートゾーン」の外に出られない例です。

つまり、誰もがコンフォートゾーンを持っており、その中にとどまる心理的な安心感に縛られてしまうのです。

3.組織を停滞させる「できる人」のコンフォートゾーン

組織の成長を阻む最大の要因は、「能力がある人材」が変化を拒み、現状にとどまることにあります。

できる人は、今までのやり方で成果を出してきた成功体験があるからこそ、「変わる必要性」を感じづらい。周囲からも「信頼できる人」「優秀な社員」と認識されており、自ら変化を求めなくても高く評価され続けるという環境が整ってしまっているのです。

その結果、新しいチャレンジや変革が必要な場面で、最も影響力のある人が動かないという事態が生じます。こうなると、組織全体が「変わらなくていいんだ」というムードに包まれ、前に進めなくなります。

特に変化の激しい今の時代において、「変わらないこと」はリスクです。ビジネスモデルは陳腐化し、市場は急速に移り変わり、競争環境も一変します。「今までの成功体験」が、明日の失敗の原因になることすらあるのです。

4.コンフォートゾーンを超えるのが、リーダーの役割

組織に変革をもたらすには、まずリーダー自身が、自分のコンフォートゾーンから一歩踏み出すことが必要です。

リーダーが「変化は怖い」「失敗したくない」と思って足を止めてしまえば、部下たちもそれを見て「変わらないほうがいいんだ」と感じてしまいます。逆に、リーダーが「自分も未知の領域に挑戦する」という姿を見せれば、部下もそれに引き寄せられ、行動が変わっていきます。

ここで重要なのは、「すでにできること」や「確実に成功すること」ばかりに集中するのではなく、あえて不確実性の中に飛び込む勇気を持つことです。

多くの人は、「失敗したらどうしよう」「うまくいかなかったら立場がなくなる」と不安になります。それでも、リーダーは「この変化が、組織の未来に必要だ」と信じて、最初の一歩を踏み出さねばなりません。

5.ヴィジョンと志が、恐怖を乗り越える力になる

では、どうすればコンフォートゾーンを抜け出し、挑戦する力を持てるのでしょうか?

それには、「やらなければならないからやる」という義務感ではなく、「これを成し遂げたい」というヴィジョンと、「この道を歩む理由」を支える志が必要です

たとえば、ある経営者が「地域の医療をもっと身近にする」という強い志を持ち、これまでになかった訪問型サービスに取り組んだ例があります。最初は不安や反対意見も多かったものの、その志とヴィジョンが社員を巻き込み、新しい事業が形になっていきました。

志は、自分だけのためではなく、「誰かのため」「社会のため」という視点を持つことで、より大きな力を生みます。そしてヴィジョンは、変化の中でも進むべき道を見失わないための灯台となります。

リーダーが志とヴィジョンを掲げ、それに向かって一歩を踏み出すことで、周囲も「この人と一緒に挑戦したい」と感じるようになるのです。

おわりに:リーダーこそ、最初にコンフォートゾーンを出よう

成長も変革も、「快適な場所」からは生まれません。組織の未来を切り拓くリーダーには、まず自分自身が、見慣れた風景から一歩踏み出す勇気を持つことが求められています。

もちろん、それは簡単なことではありません。失敗や批判、孤独な決断に直面することもあるでしょう。けれど、その一歩こそが、あなた自身の成長を促し、チームや組織の可能性を広げるきっかけになります。

「このままでいいのか?」

そう感じたときが、まさにコンフォートゾーンを抜け出すチャンスです。そしてその先には、これまで見たことのない風景と、新たな仲間との出会いが待っています。

イメージできることしか、人は行動できない

「やる気が出ない」「何をすればいいのかわからない」「理想はあるけれど、現実には遠すぎる」――。そんな言葉を、あなたも一度は口にしたことがあるかもしれません。
実はそれ、決してあなたの意志が弱いからでも、能力が足りないからでもありません。

人は“イメージできること”しか、行動に移すことができない。
これは、心理学や脳科学の分野でも繰り返し語られている、大切な原則です。言い換えれば、どんなに立派な目標を掲げても、それを「具体的にイメージできていない」限り、私たちはその目標に向かって本気で動くことができないのです。

イメージは行動の原動力になる

私たちの脳は、現実とイメージを区別するのが得意ではありません。たとえば、レモンを思い浮かべてみてください。皮のざらざらとした手触り、切った瞬間の酸っぱい香り、口に含んだ時のキュッとすぼまる感覚…。
たった数秒の想像で、唾液がにじんでくる人も多いはずです。

これは、脳が「想像=現実」だと認識しているから起きる現象ですつまり、まだ手にしていない未来であっても、そこに「リアリティ」があるほど、脳、つまりあなたは、それが現実だと認識するということです。

その現実感によって、行動に向かうエネルギーが高まります。

理念・ビジョン・目標も「達成イメージ」がなければ動けない

多くの企業が「理念」や「ビジョン」を掲げ、個人も「目標設定」の重要性を理解しています。しかし、これらは掲げただけでは意味を持ちません。
本当に力を発揮するのは、それらが“どんな状態になっているか”を五感で感じられるほど、具体的にイメージできた時です。

たとえば、「チームで成果を出す」という目標なら…

  • オフィスの空気感はどうなっているか?
  • 仲間同士、どんな言葉を掛け合っているか?
  • 成果が出た瞬間、自分の心にどんな感情が湧いているか?
  • 上司やお客様から、どんな声が聞こえてくるか?
  • 達成後、自分はどんな表情で、どんな景色を見ているか?

ここまでイメージできて初めて、人は「その未来を自分のもの」として捉え始めます。そしてその瞬間、今、何をすればいいかが見えてくるのです。

可能性に制限をかけずにイメージする

「でも、自分にそんな未来が来るとは思えない…」

そう感じる人も多いでしょう。けれど、それは過去の経験や今の環境が、あなたの想像力に制限をかけているだけです。

未来をイメージする時には、「現実的に可能かどうか」は一旦脇に置いてください。
大切なのは、“ワクワクする未来”を、自分の内側から引き出すことです。

プロのアスリートや起業家、リーダーたちは皆、この「イメージの力」を信じ、活用しています。たとえば一流のスキーヤーは、滑り始める前にコースを頭の中で完全に再現します。風の音、体の傾き、雪の感触、タイミング…。それを何度も繰り返すことで、実際の行動がぶれなくなります。

イメージがあるから、今できることを選べる

未来を具体的にイメージすることで、私たちは「今できること」に焦点を当てられるようになります。

たとえば、「5年後に独立して自分の事業を持ちたい」とします。
その未来を鮮明に思い描いていれば、「今、どんな人と繋がるべきか」「どんな知識を身につけておくべきか」「どんな小さな実績を積んでおくべきか」が自然と見えてきます。

未来がぼんやりしていると、「何をすればいいのか」がわからず、結局何もしない日々になってしまいます。逆に、未来が鮮やかに見えている人は、今日という1日に意味を見出せるのです。

今からできる「イメージ行動」のすすめ

最後に、今日から実践できる“イメージトレーニング”を紹介します。

1.理想の1日を思い描いてみる

朝どんな気持ちで目覚め、誰と何をして、どんな成果を出して、どんな気持ちで眠りにつくか。時間を追って思い描いてみましょう。

2.五感をフル活用して描く

見える景色、聞こえる声、香り、手触り、気温、そして何より感情。「その場にいるように」臨場感を持って描いてください。

3.その未来に近づく「今日できる1つの行動」を決める

どんなに小さくても構いません。「その人に連絡する」「本を1ページ読む」「感謝を伝える。その1歩が、未来とのつながりをつくります。

おわりに:未来は、“今の思い”で決まる

「イメージできることしか、人は行動できない」

この言葉は、私たちに“希望”を与えてくれます。なぜなら、未来は、今ここで描くイメージから生まれるからです。
どんなに困難に見える状況でも、「見たい未来」を五感で思い描くことで、私たちはそこに向かう力を手にすることができる。

だからこそ、理念やビジョン、目標を掲げた時には、それがどんな情景なのか、心で、体で、感じ取ってください。
そのイメージが、あなたを今日の一歩へと導いてくれるはずです。

「過去と他人に囚われない」は、きれいごとだ!

「過去と他人は変えられない」とわかっていても

「過去と他人は変えられない」──これは、多くのビジネス書や自己啓発本に書かれている有名な言葉です。誰かに裏切られたとき。思い通りにいかない出来事が起きたとき。ついこの言葉を思い出して、「仕方がない、切り替えよう」と頭では分かっているはずなのに、感情がついてこない。

特にそれが、子どもやパートナーといった“本当に大切な人”とのことだったり、長年心血注いできたプロジェクト、会社の未来をかけた重大な決断の結果だったりすると、頭と心のギャップはさらに広がります。

なぜ、あんな選択をしてしまったのか。
なぜ、あの人はわかってくれなかったのか。
なぜ、あのとき止められなかったのか。

「変えられない」と分かっているはずなのに、何度も頭の中で過去のシーンを再生してしまう。気がつけば、前に進むエネルギーが過去に吸い取られてしまう。

けれど、私たちはいつまでもその場に留まるわけにはいきません。時間は待ってくれないし、私たちには創りたい未来があるからです。

では、どうすれば感情を手放し、次の一歩を踏み出せるのでしょうか。

①「すべての出来事は、自分の“思い”が引き寄せた」と知る

この問いに向き合うとき、大切なのは「起きた出来事の原因は、すべて自分の“思い”にある」と受け入れることです。

これは、罪悪感を背負うという話ではありません。自己否定でも他人否定でもなく、「思い」が現実を創っているという事実に気づくことです。

例えば、あなたが過去にある人を信じすぎて裏切られた経験があったとします。その裏切りの出来事自体は辛いものかもしれません。でも、そこには「信じたい」という、表面的なことの前に、「楽をしたい」「うまく相手を使っている」というようなエゴな“思い”があるかもしれません。その“思い”こそが、現実を引き寄せたと考えたらどうでしょうか。

これはスピリチュアルでもなんでもなく、リーダーとしての視点を持てば、ごく当たり前の話です。なぜなら、リーダーの“思い”は、言葉や表情、意思決定、行動、すべてに影響を及ぼすから。
その“思い”が周囲を動かし、やがて組織や社会に現実として反映されていくのです。

②「どんな“思い”であれば、望む未来を創れるのか?」

私たちはつい、「あのとき〇〇していれば…」と過去を悔やみがちですが、未来はいつだって「今の思い」から始まります。

「こんな会社を創りたい」
「こんな社会を残したい」
「こんな自分で在りたい」

そういう“思い”があるなら、過去にとらわれている時間はもったいない。大切なのは、「未来を創るのにふさわしい“思い”」に、今この瞬間の自分をチューニングすることです。

感情は、外からの刺激によって反応として湧き上がるもの。でも“思い”は、内からの意志で選び直せる。

怒りや悔しさに囚われたままでは、次のチャンスも同じように見失ってしまうかもしれません。でも、「未来を創るための思い」に切り替えれば、目の前の出来事の意味が変わってきます。エゴな“思い”から、本当に創りたい未来にふさわしい“思い”を身につけましょう。

③未来のビジョンに集中し、「今の思い」を磨く

ビジョンとは、未来の自分自身に向けたメッセージです。

誰かのせいにしたくなるとき、起きた出来事に囚われてしまうとき。そんなときこそ、自分が目指す未来の姿を思い出してください。

あなたの組織が成し遂げたいことは何ですか?
あなたの人生の終わりに、どんな自分でありたいですか?
次の世代に、どんな姿を見せたいですか?

そのビジョンにふさわしい“思い”とは何か。それを探すことに意識を集中させてください。怒りではなく、憎しみでもなく、誇りと希望に満ちた“思い”で、今を選び直していく。

そして、その思いから、行動を生み出していく。

未来を変えるには、行動が必要です。
行動は、思いから生まれます。
だからこそ、行動を変える前に、“思い”を変えることがすべての出発点です。

まとめ:偉大なリーダーは、“思い”の質で人生を創っている

偉大なリーダーたちは、失敗を経験しなかったわけではありません。むしろ、誰よりも深い痛みや後悔、怒りや喪失を経験している人たちです。

けれど、彼らはそこに留まりません。
なぜなら、彼らには未来を創るという“思い”があったから。

そこには、「自分さえよければ良い」というような“思い”はみじんも無い。
そしてその“思い”に、何度でも自分を立ち返らせる覚悟があったから。

過去と他人は変えられない。でも、“思い”は変えられる。
それが、未来を変える唯一の方法です。

あなたがもし今、何かに囚われているなら。
それは、あなたが真剣に向き合ってきた証です。
でも、次に進むなら、“思い”を選び直すときです。

リーダーであるあなたの“思い”が、チームを動かし、未来を創る。
そしてそれは、今この瞬間から始まります。

マーケティングを学ぶと利益が減る

「ターゲットを絞り込んで顧客像を明確にしましょう」

これは、マーケティングの教科書に必ず書かれている“常識”です。確かに、大企業や予算の豊富なチームが、それぞれのターゲットに最適な戦略を練るのであれば、この理論は機能します。

しかし、私たちのような個人事業主や中小企業にとっては、その「常識」が必ずしも成果に直結するとは限りません。むしろ、ターゲットを絞り込もうとすればするほど、売上が減るという現実に直面することさえあるのです。

「ターゲットを絞る」は本当に有効か?

まず冷静に考えてみてください。あなたはマーケティングの専門家でしょうか?おそらく多くの方が「いいえ」と答えるはずです。もちろん、顧客を絞ることが悪いというわけではありません。しかし、それを本当に活かすには、かなりの知識とデータ、そして精度の高い仮説が必要です。

ところが現実には、ターゲットを絞り込むためのデータもなく、消費者インサイトも不明確なまま、「30代女性向け」「子育て世代」「経営者向け」などの、表面的で曖昧なターゲット設定をしてしまいがちです。こうして、“絞ったつもり”になって、かえって売上のチャンスを狭めてしまうのです。

既に関心を持っている人は、既に他社のイメージを持っている

さらに大きな落とし穴があります。

仮に、ある商品やサービスに「既に関心を持っている層」に狙いを定めたとしても、その人たちはすでに他の企業やブランドを認知しており、頭の中にイメージが出来上がっています。

たとえば、あなたが「健康に気を使う40代男性向けにプロテインを販売しよう」と考えたとしましょう。しかしその層は、既にSAVASやDNS、マイプロテインといった大手ブランドを認知しています。そこに後発のあなたが入り込むには、価格競争か、明確で尖った差別化が必要になります。結果、広告費はかさみ、時間もかかり、成果が出る前に資金が尽きてしまうこともあるでしょう。

つまり、すでに関心を持っている人たちをターゲットにしても、「すでに何らかの選択肢を持っている」という強力な壁が待ち構えているのです。

広げることで、見えるものがある

そこで視点を変えてみましょう。

絞るのではなく、「広げる」のです。

「誰にでも売ろう」という話ではありません。そうではなく、最初から関心を持っている人ではなく、「まだ関心を持っていないが、潜在的にはニーズを持っている人」に目を向けてみましょう。

つまり、「人」ではなく「欲求」に注目するのです。

人は自分でも気づかないような根源的な欲求を持っています。
たとえば、

  • 「もっと自信を持ちたい」
  • 「人と違う自分でありたい」
  • 「頑張りを認めてほしい」
  • 「楽をしたい」
  • 「安心して暮らしたい」

こうした欲求は、年齢や性別、職業に関係なく、多くの人が持っているものです。この「欲求」に焦点を当てることで、これまで見えていなかったターゲットが見えてきます。

あなたの商品やサービスが、こうした根源的欲求をどのように満たすことができるか――。この問いに真剣に向き合ったとき、「誰に売るか」という迷いは、次第に解けていくでしょう。

商品やサービスの「役割」を再定義する

「うちの商品はただの掃除道具だし…」
「このサービスは単なる事務代行で…」
そう思っていませんか?

しかし、本当にそうでしょうか?

掃除道具は、「清潔にする」だけが目的ではなく、

  • 「家族を健康に保つ」
  • 「余計な仕事から解放される」
  • 「他人に見られても恥ずかしくない家にしたい」

というような、さまざまな欲求に応えています。

事務代行は、

  • 「経営者が本当にやるべき仕事に集中するため」
  • 「社内に信頼できる人がいないという不安を解消するため」
  • 「新規事業へのエネルギーを確保するため」

といった役割を果たしているのです。

あなたの商品・サービスが、どんな欲求に応えているのかを見つけること。それが、「ターゲットを絞る」よりも、はるかに売上に直結する道なのです。

最初は広げて、後から見えてくる「自然な絞り込み」

もちろん、最終的には「絞り込み」は必要です。しかしそれは、無理に最初から行うものではなく、「広げた結果、自然と見えてくるもの」なのです。

たとえば、広く「健康になりたい人」に向けて情報発信をしていたら、「睡眠に悩んでいる人」が反応してくれるようになった。そこで、今度は「睡眠改善」に特化した提案をしてみた――。このように、広く捉えて試行錯誤することで、自然と適切なターゲットが浮かび上がってくるのです。

まとめ:絞るのは、答えが見えてからでいい

ターゲットを絞り込むことが悪いのではありません。しかし、その前にやるべきことがあります。

  • 専門家でもないのに、精度の低い絞り込みに頼らない
  • すでに他社のイメージが出来上がっている層を追いかけない
  • 広く対象をとらえて、根源的な欲求を探る
  • その欲求に対して、自社が何を提供できるかを深掘りする

このプロセスこそが、個人事業主や中小企業にとって、限られた時間と資源を最大限に活かす、もっとも現実的で、もっとも成果につながるマーケティングの道です。

答えを急がず、焦点を急がず、まずは広く人の「欲求」に目を向けてみてください。そこからあなたにしかできない「価値」が、必ず見えてくるはずです。

リーダーの自覚──エゴとリーダーシップの分かれ道

「自分についてきてほしい」と思ったことはありますか?
あるいは「なぜ、あの人はついてこないのか」と感じたことは?

この問いにリーダーとして向き合うとき、私たちは一つの本質的な分岐点に立たされます。それが、「リーダーシップ」と「エゴ(自我)」の違いです。そして、その違いに気づけるかどうかが、「リーダーの自覚」を持っているかどうかを決定づけるのです。

1.リーダーシップとエゴの違い

リーダーシップとは、組織やチーム、あるいは社会全体の未来に向かって、人々を導く力です。それは、他者の可能性を引き出し、困難の中でも前を向いて進む「共創の力」ともいえるでしょう。

一方、エゴとは「自分の存在価値を証明したい」「自分が正しいと認めさせたい」という内的な欲求からくる行動です。自己顕示、支配欲、承認欲求に突き動かされるリーダーは、周囲の信頼を徐々に失っていきます。たとえ立場が上でも、人は「エゴに従いたい」とは思いません。

この違いを一言で表すならば、

「リーダーシップは“他者中心”、エゴは“自己中心」です。

2.その違いはどこから生まれるのか

では、なぜ「エゴに支配されるリーダー」と「本当のリーダー」に分かれるのでしょうか?

その分岐点は、自身の「存在理由」と「目的」の捉え方にあります。

■ エゴに支配されるリーダーの特徴

  • 自分の立場や評価を守ることが優先
  • 結果よりも「自分が正しいこと」に固執
  • 人の失敗よりも、自分のメンツを重視
  • チームの成果があっても「自分のおかげ」にしがち

■ リーダーシップを持つ人の特徴

  • 自分が中心ではなく、「目的」が中心にある
  • 周囲の成長を喜び、自らの成果よりも全体の前進を重視
  • 「自分の正しさ」ではなく「何が正しいか」に軸を置く
  • 評価は結果についてくると理解している

■ とても優秀なのに“もったいない”人の実例

最近、ある企業のマネジメント研修で、非常に印象に残る人に出会いました。彼は、いわゆる「スーパー社員」。仕事のスピードも正確性も申し分なく、営業でも技術でも一定の成果を出し、上司からの信頼も厚い。加えて、書籍やセミナーで学んだ知識を持ち合わせており、「成功の法則」についても語れる人です。

しかし──彼には決定的な欠点がありました。

自分にとって意味のない会議は欠席し、突然の休暇も少なくない。周囲の社員が自分と同じレベルで動けないことを「努力不足」と切り捨てる。そして、他人のミスや仕事の遅れに対しては容赦なく批判。結果、チームの空気は冷え、相談されることも減り、徐々に孤立していきました。

彼自身は「自分は正しいことを言っているだけ」と思っているのかもしれません。でも、そこには“目的”が欠けているのです。

「成果を出すために、誰とどう関わるのか」
「組織全体として前進するために、今の自分はどう在るべきか」

こうした視点がないまま、自分の能力や正しさにこだわり続ければ、どれほど優秀でも人はついてきません。リーダーとしての自覚がなければ、力は逆効果になる。まさに“もったいない人”の典型例でした。

3.リーダーの自覚を持って進む行動

「リーダーの自覚」とは、役職や肩書ではなく、「自分が他者の人生に影響を与えている存在である」という意識のことです。この自覚があるからこそ、人はエゴに流されず、「目的に生きる覚悟」を持つことができます。

では、リーダーとしての自覚を持ち、エゴに流されずに行動するには、何を意識すればいいのでしょうか?

① 自分に問いかける「目的」は何か?

日々の意思決定や行動の前に、次の問いを自分に投げかけてください。

「この判断は、自分を守るためか? それとも、目的に向かうためか?」

この一問が、あなたを「自己中心」から「目的中心」へと引き戻してくれます。

② 評価は「結果」ではなく「行動の軸」にする

自覚あるリーダーは、自分が“どういう姿勢”で日々を生きているかにこだわります。他人に認められるかどうかよりも、「自分が信じる価値観に沿って行動できているかどうか」を重視します。

③ 批判や失敗を「自覚のチャンス」に変える

リーダーは常に見られています。批判も受けます。思い通りにいかないことも多々あります。

しかし、それは「自覚を深めるチャンス」でもあります。

  • なぜ相手はそう感じたのか?
  • 自分の言動がどう映っているのか?
  • 本当に目的に沿った行動だったのか?

この内省が、自覚の深さを育てていきます。

最後に:エゴを超えて、本当のリーダーへ

リーダーの役割は、誰かに命令することではなく、誰かの「可能性を開く」ことです。そして、そのためには「自分がどう見られるか」ではなく、「自分が何に仕えているのか」を見つめる必要があります。

エゴは人を動かせても、心は動かせない。
自覚を持ったリーダーだけが、人の心と未来を動かすことができる。

あなたの影響力は、想像以上に大きい。
だからこそ、今こそ「リーダーの自覚」を持って歩み出してください。

「目的」の無い人はいない、ただそれが「意識」か「無意識」か、「短期」か「長期」かかが違う

人は誰しも、常に何かの「目的」を持って行動しています。
朝早く起きるのも、メールを返すのも、会議で発言するのも、「何らかの目的」があるからこそです。
ただし、その目的が明確か、無意識か、という違いがあります。


そしてもう一つ、見落としがちで、しかし極めて重要な違いがあります。それは、「目的の方向性」です。
その目的が、自分が本当に望む未来に向かっているのか、それとも目先の欲求や一時的な反応にすぎないのか。
この違いは、長期的に見て、人生の質や成果に大きな差を生むことになります。

目的の方向性を誤るリスク

本来目指すべき未来のビジョンや価値観から外れた行動を、短期的な目的に任せて選択してしまうと、こんなことが起こります。
・あとで「本当はこうしたかった」と後悔する
・その場しのぎの繰り返しで、成長の実感が持てない
・周囲との信頼関係が築けない(行動に一貫性がないため)
・自分自身が「何のために働いているのか」分からなくなる


例えば、ある管理職が「上司の指示を優先しておけば波風が立たない」という判断で、部下の声を無視したとします。
結果として、上司には良い顔ができても、チームの信頼は失われ、成果も低下する。
これは、「目先の安心感」が目的になってしまったことで、長期的な信頼や成果という、本来の目的を見失った典型です。

目先の欲求や問題対応も「目的」であると自覚するメリット

ここで重要な視点があります。
たとえ目先の行動であっても、それもまた「目的」からの行動だと認識することには、大きな価値があるということです。


なぜなら、自分の選択に「意図」と「責任」が生まれるからです。
■ 意図を持つことで衝動を「選択」に変えられる
「なんとなく疲れたから休もう」と「体力を回復するために今日は休む」とでは、まったく同じ行動でも、意味合いが変わります。
後者は、自らの目的に基づいた行動であり、自責の感覚と方向性を保つことができます。


■ 目先の目的を言語化することで、優先順位が明確になる
「この仕事を急いで終わらせたい」と思ったとき、その背景にある目的を考える──「なぜ急ぐ必要があるのか?」
これにより、ただ焦るだけでなく、全体の中でその仕事の意味や役割を冷静に判断できるようになります。


■ 欲求や不安の“奥”にある本当の価値観に気づける
「承認されたい」「失敗を恐れている」などの感情の裏には、もっと根源的な価値観(安全、貢献、誠実さ など)が隠れています。
目先の欲求も目的として認識すれば、自分の行動原理を見つめ直すチャンスにもなります。

長期と短期の目的を「対立させない」ことの重要性

多くの人が、「目先の目的」と「将来のビジョン」は相反するものだと捉えがちです。
しかし実際には、この2つを対立させず、両立させることが大切だと考えます。


長期的な目標(たとえば「信頼されるリーダーになる」)のためには、目の前の行動(「無理なお願いにも誠意を持って対応する」)が必要なこともあります。


重要なのは、「いまの行動が未来にどうつながるか」を意識すること。
目の前の目的にしっかりと意味づけをして、長期的な軸と結びつけられれば、行動の質が格段に上がります。

目的を自覚することが、自分の人生の主導権を取り戻す

人は無意識でいると、外部の圧力や感情に流されやすくなります。
しかし、行動のたびに「自分は何のためにこれをしているのか?」と問いかける習慣を持てば、自分の人生を主体的に生きる力が養われます。


行動の目的を認識するとは、
「自分で選び、自分で進む」という意思表明であり、
その繰り返しが、やがて大きな成果と後悔しない未来につながっていきます。

まとめ:目先も未来も「目的」からすべてが始まる

行動の一つひとつには、必ず何らかの「目的」があります。
その目的が目先の欲求であっても、それを自覚することに価値があり、長期的なビジョンと整合させる力にもなります。


「ただ何となく」「とりあえず」ではなく、
「いま自分は、何のために、どんな未来に向かって、この行動をしているのか?」


──この問いを持ち続けることが、ビジネスパーソンとしても、一人の人間としても、誇りある人生を築く第一歩になるのではないでしょうか。

なぜ、挑戦を避けるのか?~今のままで良いとは思わないけれど~

「別に安定を望んでいるわけではない」「できることをやってるだけ」「現実的に考えているだけだよ」
高い目標や新しい挑戦について話すと、こうした言葉を返してくる人がいます。

自分が挑戦しない理由を「現実的」という言葉で正当化しているように見えますが、その裏側にどんな心理があるのでしょうか。


実は、こうした人ほど「変わらないこと」に強くしがみついていることが少なくありません。表面的には「合理的な判断」のように見えても、深層では“リスクを避けたい“失敗したくない”“今の自分を壊したくない”という無意識の防衛本能が働いているのです。


今回は、「変化は必要なことだ、安定を望んではない」と言いながら、高い目標を避け、現実的な目標に向かい行動している人に向けて記事を書きたいと思います。
あなたは、変化を避けているのではありませんか?

安定は、安心ではなく「選ばない理由」の仮面

まず明確にしておきたいのは、「安定」そのものが悪いわけではありません。誰もが人生の中で、安定を求める局面があるのは自然なことです。家族を支えるため、生活を守るため、自分の心身を保つため、一定の安定を求めるのは当然です。


しかし問題は、「安定だから」という理由で、選択の余地を自ら狭めてしまっている場合です。
たとえば本当は、もっと違う働き方をしてみたい、新しい役割にチャレンジしてみたいという気持ちがあるにもかかわらず、「それは今の自分には無理だ」と現状を固定してしまう。

そうすると、「できることしかやらない」「現実的な判断しかできない」自分が出来上がっていきます。
この時、「現実的」という言葉はとても便利です。自分の可能性にフタをしてしまうことを、堂々と正当化してくれるからです。

「現実的」という言葉に隠れた真の課題

では、「現実的に考えているだけ」という人の心の中に、どんな課題が隠れているのでしょうか?よく見られるのは、以下のような心理的パターンです。


① 失敗への恐れ
「できることだけをやる」の裏には、「失敗したくない」「恥をかきたくない」という感情が隠れています。自分の価値や評価が下がるのが怖いのです。


② 自己効力感の低さ
「どうせ自分には無理だ」という思い込みから、可能性を最初から切り捨ててしまうケースもあります。これは過去の経験や環境によって、自信が育まれてこなかった人に多く見られます。


③ 安心できる領域にとどまりたい欲求
人は習慣化された場所、関係性、思考に安心を感じます。たとえそれが不満のある状況であっても、未知よりも“知っている苦労”を選んでしまう傾向があります。


④ 周囲との比較・評価の恐れ
高い目標を掲げると、他人と比べられる機会も増えます。それを避けるために、「目立たず」「波風立てず」生きる道を選びます。
つまり、「現実的にやっている」というのは、「本当はやってみたいけど、怖くて動けない」ことを認めたくない自分への言い訳でもあるのです。

見えない損失に気づけるか

「無理をしないでできる範囲でやっている」――それ自体は悪いことではありません。しかし、そこに“本当は挑戦したい気持ち”が眠っているなら、大切なのは、見えない損失に気づくことです。


たとえば、あるAさんの事例があります。Aさんは大学の4年間スキー競技部のエースとして活躍していました。しかし、優勝という目標を掲げることは無く、8位以内の入賞を目標にしていました。

そして、優勝を目指し、結果としてAさんよりも下位の結果になる選手をバカにしていました。そしてAさんは社会人になっても、決して高い目標を掲げることは無く、確実に達成できる目標しか考えていませんでした。


ところが、社会人になり、久々にスキー競技部の同窓会に出席した時、高い目標を掲げながら、自分よりも下位の戦績しか出せなかった選手が、社会人になり、Aさんをはるかに超える役割につき、確実に成果を出しているという結果を見せつけられることになる。


このように、チャレンジしなかったことが、いつの間にか、他の人に追い越されてしまっている。これが、チャレンジを避けることによる「見えないコスト」なのです。つまりは、「未来にツケを残す」とうことです。

不安を「課題」に変える思考

では、どうすれば恐れや不安に向き合い、行動に踏み出すことができるのでしょうか?
答えはシンプルです。不安を言語化し、課題に変換することです。


たとえば、
• 「失敗したらどうしよう」→ どんな失敗があり得るのか?誰にどんな影響が出るのか?
• 「迷惑がかかるかも」→ その迷惑はどのレベルで、どう対応すれば最小限に抑えられるか?
• 「自信がない」→ 何に対して自信がなく、何があれば前に進めるか?


不安とは、漠然とした「感情」ですが、課題とは「対処できる対象」です。不安をそのまま放置するのではなく、“言葉”にすることで、自分の中で具体的な行動や準備につなげられるのです。

小さな一歩が現実を変える

高い目標を語ると、「そんなの理想論だ」「無理に決まってる」と感じる人がいます。でも、理想に向かう第一歩は、必ず「小さな行動」です。


「1日30分だけ勉強する」「まず1人に話してみる」「週に1度だけ新しい提案をしてみる」――そんな小さな一歩でも、自分の思考と行動が変わり始めます。


人は、変化の準備が整ったときに変わるのではありません。小さな一歩を踏み出すことで、自分が“変わる人間なんだ”という実感が得られ、その実感が自信に変わっていくのです。

自分は何を望んでいるのか?

「現実的にやっているだけ」と言う人にこそ、静かに問いかけてほしい言葉があります。
「もし、今の状況に“制限がなかった”としたら、何をやってみたいですか?」
「誰にも否定されず、自分のままで生きられるなら、どんな挑戦をしてみたいですか?」


この問いに、胸の奥で少しでも“ワクワク”が芽生えるなら、あなたはもうすでに、次のステージに向かう準備ができています。

まとめ:変わることは、怖い。でも…

変わることは、怖いです。特に、「変わってもし成果が出なかったら?」という不安は、誰の中にもあります。でも、それでも動ける人は、「変わらなかったら、もっと後悔する」と気づいた人です。


大きな一歩でなくても構いません。今日、この文章を読んだあとに、何かをひとつだけ変えてみる。その積み重ねが、未来のあなたの可能性を拓きます。


「本当は変わりたい」と思っている自分を、どうか置き去りにしないでください。未来のあなたが、きっと今日のあなたに感謝する日が来ます。

「無理」という言葉は、行動を止める魔法の言葉

なぜ私たちは「無理」と言ってしまうのか

「それ、無理です」
ビジネスの現場で、こんな言葉を耳にすることは少なくありません。売上の目標、納期の短縮、新規市場への進出……プレッシャーの強い環境では、やる前から「無理」と思ってしまうこともあるでしょう。

むしろ、それが合理的で現実的な判断だと感じることさえあります。
しかし、「無理」という言葉には、私たちの行動を止めてしまう力があります。それは自分の手を動かす前に、思考も選択肢も閉ざしてしまうブレーキのようなものです。

では、その「無理」は本当に事実なのでしょうか? それとも、自分自身の内面から湧き出した“感情”や“思い込み”なのでしょうか?
この問いを持つことこそが、変化と成長への第一歩になります。

「無理」は思考の停止であり、責任の放棄である

「無理」と言うとき、私たちはたいてい「私の責任ではない」「これは私の手には負えない」といった思考を心のどこかで抱えているのではありませんか。

たとえば、上司から新たな目標を提示されたときに、「そんなの現場を知らないから言えることだ」と返す部下がいるとします。


このとき本当に問われているのは、「それができるかどうか」ではなく、「あなたはそこに責任を持って向き合う意思があるかどうか」だとしたら。


確かに「無理」と言ってしまえば、その責任から一歩引くことができます。たとえ、上司からの命令で引き受けるにしても、上司や環境のせいにすることで、自分が動かなくても済むか、又は「自分の責任ではない」という“安心”を得られます。

けれどそれは、可能性の芽を自ら摘み取る行為でもあるように思います。

「無理」と感じる自分の内面を探ってみる

「無理だ」と感じるとき、私たちの心の中では何が起きているのでしょうか?
大切なのは、その感情の正体を見つめることです。


• 恐れ1:失敗して評価を落とすこと
「もしチャレンジして失敗したら、上司や同僚からどう思われるだろう」
これは多くのビジネスパーソンが抱く不安です。成果主義の文化では、失敗は避けたいものです。しかし失敗を恐れるあまり挑戦を避けると、長期的には成長の機会を失ってしまいます。


• 恐れ2:自分の限界を認めること
「これは自分には無理だ」と感じるとき、その奥には「できなかった自分」を直視する恐れがあることも。
人は誰でも、自分に期待していたいものです。しかし現実がその期待に届かないとき、無力感や羞恥心が生まれます。それを避けるために、「最初からやらなかった」と言える状況に逃げることもあるのです。


• 恐れ3:孤独な責任を負うこと
特にリーダーや中間管理職に多いのが、「自分だけが背負わされるのではないか」という不安です。誰にも相談できず、成果だけを求められる環境では、「無理」と言いたくなるのも当然かもしれません。
けれど、そうした感情を見つめ、「なぜ自分は無理だと思っているのか?」と内省することで、現実の打開策が見えてくることがあります。

事例を通して知る「無理」との向き合い方

川島翔太(仮名)は、30代前半の若手リーダー。中堅メーカーの営業部門で、既存顧客の売上確保と、新規市場への拡販の両方を任されていました。上司からは「来期は既存売上を落とさずに、新市場で5%の売上を作れ」との指示。

しかし、チームの人員は増員されることもなく、部下は日々のルーティン業務で手一杯です。
「無理だ……」
川島は最初、心の中でそうつぶやきました。


既存顧客の関係性は繊細で、少しでも対応が遅れれば信頼を失う。新規市場へのアプローチは時間も労力もかかる。それを両立させる人材も時間もない。上司は現場を知らず、無責任な目標を掲げている──そう思いました。


しかしある日、ふと自問します。
「これは本当に無理なのか? それとも、自分が“無理だと思いたい”だけではないのか?」
その問いが、川島の思考を変え始めました。

彼は「できない理由」を並べるのをやめ、「できること」から始めると決めました。まずは既存顧客対応を効率化するためのフォーマットを部下と共に見直し、週に2時間だけでも新規開拓に集中できる時間を捻出。


さらに、若手社員に新市場の情報収集を任せることで、巻き込みと育成を両立させました。完璧ではないにせよ、「完全に無理ではない」という実感が、行動を生み出していったのです。


結果として、新市場での売上はわずか2%増にとどまりましたが、川島は部長から「確実に道を作った」と評価され、次の期では支援体制の拡充も決定。川島自身、「“無理”と決めつけていたのは自分の心だった」と語ります。

この物語は、実際の事例からつくり上げたフィクションですが、「無理」に対してどう向き合うかを示したものです。

無理から可能へ──行動につなげる3ステップ

川島のように「無理」を乗り越えるには、内面と向き合った上で具体的な行動に移す必要があります。以下の3ステップが、その突破口となるでしょう。


ステップ1:課題を小さく分解する
「新市場での売上5%増」ではなく、「週に2件の新規訪問」「既存対応を10%効率化」など、行動に落とし込める単位にまで分けて考える。


ステップ2:感情と事実を分ける
「怖い」「責任が重い」という感情と、「本当に時間が足りない」「リソースが不足している」という事実を区別して整理する。


ステップ3:巻き込み・相談のアクションを起こす
一人で抱え込まず、部下・同僚・他部署の知恵を借りる。協力を求めることは、弱さではなくリーダーシップの一部である。

まとめ:「無理」の正体に気づいた先にあるもの

「無理」という言葉は、ときに正しい判断を助けることもあります。しかし、その言葉を使う前に、自分が何を恐れ、どこで責任から距離を取ろうとしているのかに気づくことは、とても重要です。


行動を止めるのではなく、内面を探り、「では何ができるか?」を問い直す。
その小さな一歩が、ビジネスの未来を変えていきます。あなたが「無理」と思っているその課題も、ほんの少し見方を変えるだけで、動き出す可能性を秘めています。


「無理」と思うことを、100%無くそうという事ではありません。「無理」と考える前に、できる前提を持って、方法を考えてみる。
特に、自分たちの未来に向かって進む過程での、困難には、できる前提で進みたいと思います。