低成長から会社をふたたび成長路線にのせる90日

市場が変化し、多くの企業が成熟市場の中にいる。日本のGDPの成長率2%以下をみれば明らかである。衰退市場の中にいる企業も多くいる。そんな中でも「会社の成長を止めるわけにはいかない」というのが社長の思いではないだろうか。

 

世間で、よく聞かれる対応方法はというと、“よけいな経費を削減して、経営基盤を固めましょう。新規ビジネスをみつけて、もう一つのビジネスの基盤をつくりましょう。”ということになるのだろう。

 

あるいは、“戦略が重要なので、明確な“戦略”をつくりましょう。“ということになる。

 

どれも正しい。

しかし、どれほどの企業が上手くいっているのだろう。経営基盤を固めて、その次はどうするのか?

 

既存ビジネスに肩を並べるぐらいに上手くいった新規ビジネスはどれほどあるのか?戦略の実践は進んでいるのか?

 

正しいことを社長がすれば、成果が出る時代は終わっている。正しいことを社員を巻き込んで成果が出せる方法でしなければ、取り残される時代に入っている。

 

社員が主体的に動くボトムアップによって、低成長市場から会社を成長路線にのせるには90日あれば可能になる。

 

今回の記事は、その90日の方法を示していきたいと思う。

戦略作成から社員を巻き込んでいく最初の30日

戦略が絵に描いた餅になってしまう要因として、戦略そのものが、抽象的で、美しすぎて、現実離れして見えることがある。それに、社員がついていけず、現場に変化が起きない。

 

戦術は現場での動き方を示しているので具体的で分かりやすい。ところが戦略は抽象的に描かれることが多いので、頭で分かっても、行動に移しづらい。

 

そこで、戦略づくりから現場の社員をまきこんでいき、しかも、具体的で明日から戦術に生かせるものに仕上げていく。

戦略とは戦う“土俵”を決めること

戦略ということを話すときには、それぞれの専門や思いによって表現などが違ってくる。そのためか、戦略を表現した時には抽象的であいまいなものになってしまっている。そこで、まず初めに戦略の定義を明確にしてからすすめる。

 

この定義として分かりやすく、具体的で使いやすいのが、「戦略とは戦う“土俵”を決めること」というものである。

 

つまり、どこで戦うかを決めることで、自社が最も有利な土俵を決めれば、後は、戦術として、その土俵にどのように顧客をつれてくるかを考えればよいことになる。

 

そして、戦略と戦術を区別すると。戦略とは戦う土俵を決めること。戦術とは、その土俵にいかにして顧客を連れてくるかの方法。というようになる。

 

2つのポジショニングで土俵が決まる

土俵を決めるときには、自社に有利なポジショニング(立ち位置)を2つ決めます。2つになるのは、それが掛け算になるからです。

 

一つのポジショニングで他社と差がつけづらかったとしても、それが2つあれば他社との違いが明確になる。そんな2つを見つけます。必ず存在します。

 

例えば、有名なところで、ライザップを例にすると。一つのポジショニングが“パーソナルトレーニング”です。このポジショニングだけだと、大手のフィットネスジムにもあり、それほど目立ちません。

 

それに、“美しいボディーの成果保証”というポジションを入一つ加えます。このポジションはよくエステサロンやダイエット関連サービスでよく見かけます。

 

そして、“パーソナルトレーニング”と“美しいボディーの成果保証”が掛け算で組み合わさったときには、明らかに他社と違う土俵が出来上がります。

 

その後、トレーニング内容、食事制限やコマーシャルなどを戦術的に実施していき大きく成功していると考えます。

 

ポジショニングを決めるには現場の意見、事実が必要

自社に有利なポジショニングを決めるには、会議室でいくら考えても限界があります。現場に出て、顧客の声を聴く、取引先の声を聴く、ライバルの声を聴く、そして現場の社員の声を聴くことが大切です。

 

長年、続いてきた会社に必ず、ごひいきのお客様がいる。そんなお客様から過去(創業時など)の話から現在にいたるまでの、顧客から見ての自社の良いところ、悪いところを社員が実際に話を聴く。

 

「そんな顧客はいない」なんて言わないでください。長年つづいている会社には、必ずいます。一人でもかまいません。そんな顧客にインタビューしましょう。社員と一緒にです。

 

30日間、インタビューと仮説検証を実践する

顧客、取引先、社員のインタビューを通して、自社に有利なポジショニングを決めていきます。

 

同時に、創業時の思いやお客様に接する心なども思い起こしながら、これらのインタビューを検証することで、社長も社員もしぜんと次に来る新たな戦う土俵を自分ごととして捉える素地が出来上がってきます。

 

この実際に戦略をつくっていくプロセスが社員を巻き込んでいくことになります。なので、30日の多くをこのインタビューと検証に使うことになります。

 

“戦略の共有”が大切だとよく言われる。しかし、この共有がなかなかできない。それは、“話せばわかる”“聞けばわかる”と思っているからだ。

 

話すだけ、聞くだけでは、頭で分かったとしても、身体に沁みてこない。戦略のもとになるプロセスの体験が戦略の共有を促進させる方法だと考える。

戦略実践の実行計画の作成と定着の30日

戦略ができれば、次はそれをどのように実行していくかということになる。つまり戦術の段階に入っていく。

 

未来志向の実行計画を作成する

実行計画を作成するときの第一のポイントは、ゴールから逆算して活動と時期を決めていくことである。

 

現在の状況から見て、できることを計画するのではなくて、ゴールからの逆算ですべきことを計画する。

 

ゴールから逆算しての活動は、現状と比較して難しいこともあるかもしれない、だからといって、現状できることに終始していればゴールには到達しない。

 

人の特長でもあるが、ほっとくと、いつのまにか未来志向で始まったのに、現状に戻されて、一歩も出ていないとうことがおきる。

 

これを避けるためにも、客観的に実行計画をみることが必要になる。他のチームメンバーなどに評価をお願いするなど、客観性を維持する工夫が必要になる

 

指標には定量指標(数字で評価できる)と定性指標(数字で評価しずらい)をおく

実行計画には、目標への到達度をはかる為に指標をおく。その指標として一般的には定量指標をおくように言われているようだ。

 

誰もが、直ぐにわかる指標として、定量指標は有効に使える。何をしたか、しなかったか。その結果として得られた売上などは分かりわかりやすい。

 

ところが、活動のプロセスが見えづらい。

例えば、営業活動で、顧客との面談による反応などは、定量指標では表せない。しかし、その面談が上手くいったか、悪かったかを早く知るには、顧客の反応は重要な指標になる。

 

必ずしも、完璧に計れなくてもよい、一定の基準を作っておいて、その基準に照らして、点数や何パーセントというような評価でも良い。この定性指標が日々の活動の指針として働いてくれる

 

定性指標を使ったレビューを30日で定着させる

定性指標はふだん、何気なく使っていたりする。思いだして欲しい、今日は充実していた。今日の仕事は上手くいった、うまくいかなかった・・・などはどのように知るのだろう。

 

もちろん、顧客からの実際の売上が分かる時もあれば、顧客の反応や、他の社員の反応、などから、自分自身が判断していることも多いのではないだろうか。

 

この何気ない判断指標を明確において、一定の基準のもとに、日々の業務のレビューをしていく、大変そうに思うかもしれないが、多くの社員が何気なく行っている事を、システム化しようというだけである。

 

上手くいったのなら、何が良かったか、うまくいかなかったのなら、次は何に気をつけるかを自分自身が分かることが、次の成果につながっていく。

 

ただ、普通に実行していることも、システム化されると、やりにくさなども感じてしまうのも人としての特長なので、このレビューに慣れていくのにも時間が必要になる。そこで30日という時間を使ってこれを行う

戦略とその実践を会社の文化にする為の30日

戦略ができ、それを実践する。実践の過程でレビューも出来るようになってきた。さあ、会社も成長路線にのれるぞ、と思っても、人はすぐにもとの状態に戻ろうとする。

 

新しい思考や行動が、以前の思考と行動に置き換わるのにはまだ時間が必要だ。

 

そんな状況の中で、会社のなかの様々なことが、戦略と違い、いままでの慣れ親しんだものであったら、人は慣れ親しんだものにもどろうとする。

 

会社の環境や仕組みなどさまざまなことを、戦略のもとに一貫性を保つ必要がある。

 

役割と成果責任を明確にする

会社の環境の中で、最初に検討したいのが組織である。組織を戦略をすすめる上で最適にしなければならない。ここで、万が一、戦略の実践と組織の不一致があれば戦略はすすまない、直ぐに修正しなければならない。

 

その時に検討するのが、役割とその成果責任である。

 

戦略をすすめる上で、社長はどんな役割をになうのか、そしてその役割が成し遂げる成果とはどんなものなのかを明らかにしていく。

 

社長、専務、部長、課長、営業社員、経理、総部などなど、最前線にいる社員も含めて、全ての役職、社員の戦略を実践していくうえでの役割とその役割に求める成果を明らかにしていく。

 

モレなく、ダブりなしで役割のつながりを持たせる

戦略を実践していく上で、役割のモレがあってはならないし、ダブりも不要だ。モレがあれば、そこの部分が実践されなくなるか、スピードや内容に問題が生じる可能性がある。

 

ダブリの場合は、責任お所在があいまいになって、ここでも行動がにぶる可能性もでてくる。なにより、役職が違うのに、役割が同じということは矛盾がある組織ということになるので、早めに無くしておきたい。

 

役割と成果責任の推進で30日

実行計画お推進で、どんな役割が必要になるか、その役割をになっていく上での必要な経験や能力はどんなものが必要になるかを決めていく。

 

戦略によっては、その役割をになえる人材が社内に不足している場合もある。そんな場合には、人材を育成するか、外から新たに採用しなければならないことも起きる。

 

これらを、検証も含めて進めていくのに30日をかけて行う。

 

他にもっと良い成長戦略があるのだろうか

これらが、90日の使い方になる。これを見て、90日で足りるのなだろうかと思われる人もいる。90日もかからないと思う人もいる。

 

一つ一つは決して、真新しい方法ではないかもしれない。しかし、3つのアプローチに一貫性を持たせ、社員をはじめから巻き込んでいく方法はあまり見かけない。いずれにせよ、一度、真正面から取り組む価値がある内容だと考える。

 

ビジネスに奇策など存在しない。“運”と言えば、全ての人にそれは降り注いでいる。その“運”を掴むか、見逃すかの違いである。

 

外からは奇策とみえるものも、“運”を掴んだと思えることも、中では、地道に王道を進んでいることの方が多い。

 

一点、違うとすれば、この王道を一貫性を持たせずに、実施し、期待する成果を出せてない場合があることではないだろうか。

 

90日という期間、集中し一貫性のある戦略の実践という道を歩くことを勧める。未来を創り出す為の時間と思えば、有効な時間の使い方だと確信する

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必ず成果をだすPDCAのやりかた

戦略ができた。実行計画もつくり、その活動を推進する為の役割や成果責任の所在も明確になった。

 

「さあ、行動して成果をだしていくぞ!」

 

といっても、直ぐに成果がでることは稀です。そう簡単には望むような成果は出ない。今までには無かった、ポジショニング(戦う土俵)を設定し、そこに顧客を連れてくればいいだけだ、といっても直ぐには顧客は反応してくれない。

 

実行計画の行動を通して、各個人の能力を高めていき、組織力を高めていって、成果が出てくる。

 

つまり、検証が必須になる。仮に望むような結果が出たとしても、それで喜んで終わっていては、望む未来はやってこない。

 

上手くいかないことが続いたとしても、その検証をしっかり行って、自分たちの力を高めていけば、必ず望む未来はやってくる。

 

そんなわけで、PDCAが重要になってくる。ところが、このPDCAが上手くできずに、いつまでたっても同じところをぐるぐる回っている会社がる。

  

今回の記事は、必ず成果がでるPDCAのやりかたについてまとめてみようと思う。

 

その前に、PDCAとは何ぞや?という方もおられると思うので、PDCAについて示していこうと思います。

 

ウイキィペディア(Wikipedia)によると、第二次世界大戦後、品質管理を構築したウォルター・シューハート、エドワーズ・デミングらが提唱したということです。

 

そして、PDCAサイクルという名称は、サイクルを構成する次の4段階の頭文字をつなげたということです。

  1. Plan(計画):実行計画です。
  2. Do(実行):計画に沿って行動する
  3. Check(評価):行動が計画にそっているかどうかを評価する
  4. Act:(改善):行動が計画に沿っていない部分を調べて評価する

この4段階を順次行って1周したら、最後のActを次のPDCAサイクルにつなげ、らせんを描くように1周ごとに各段階のレベルを向上(スパイラルアップ)させて、継続的に行動の質を改善していく。

 

このような説明がウイキペディアにあります。この説明どおりに進めば、業務水準はどんどん良くなっていく。

 

ところが、一歩も前進せず、おなじところをぐるぐる回ってしまうのはどうしてでしょうか?

行動が目的ではなく、目標とする成果が目的であることを忘れている

計画をつくる時に、できることを計画する。それは正しいことだと思いますが、そのできることをすべて実現したときに、目標とする成果がでていなければならない。

 

ところが、この検証がなく、単にできることを計画していることがある。ひどい組織では、そもそもの目標を引き下げて、できる行動を目標にしてしまう。

 

製造部門で例えるならば、品質不良を10%以内にするという目標があった場合に、その10%を目標にせず、「品質チェック回数を1日に3回実施する」とか「業務引き継ぎ時のミーティングを行う」とかが行動でありその回数が目標となってしまう。

 

結果が品質不良10%を超えていたとしても、チェックを3回、引き継ぎミーティングを実施しているので、オッケーでそれ以上の検証が進まない。

 

客観的に見ていると、そんなばかなこと思うことが、実際に起きていたりする。そうでなくても、日々の行動がチェック回数やミーティング回数を目安にしていて、1か月後や3か月、半年後に品質不良10%ができたかどうかを検証しても、活動はできているのに結果がでないと悩むだけで進まない

 

営業の現場でも似たようなことがおきる。目標対前年売上110%とうたっていても、日頃の営業活動の目標が、1日訪問件数5件。という感じで、その5件がほぼ達成していても、売上目標に到達しない。理由は「市場が悪化したから」と、わけのわからない言い訳をする。市場の悪化は前から分かっていたことでしょう!

 

目的や成果と比較して検証しなければならない

そもそも実行計画は戦略目標つまり成果をだすために計画するものです。なのでPDCAのC(チェック)は、その戦略目標や成果と比べて、どこまで進んでいるか、どんな行動が上手くいって、それはどうしてか?どんな行動が上手くいかず、それはどうしてか?どのようにその行動を改善するかといった検証がなされなければならない。

 

ところが、「そのような成果がだせるのは、短くて6か月後、いやいや3年後ですよ。そんな先の目標と日々の活動は比べられないですよ」という反論がでてくる。

 

それで、先行指標を置くことになる。日々の行動が最終成果に向かって進んでいるかの指標をおく。

 

先行指標をめんどうくさがらずに置く

先行指標を置くのは、なれないと結構むずかしい。先ほどの例の、チェック回数やミーティング回数。営業の場合の訪問件数も先行指標と考えればよいが、これだけでは、その行動が最終目標に近づいているかが分かりづらい。

 

そこで、先行指標として定性指標をおく。定量的に計りづらいもの、社員の体調、笑顔の数、雰囲気、顧客の笑顔、顧客からの質問の数など、業務の質、内容に関する指標をおく。

 

多くの会社で、指標は誰でも分かる定量指標をおくことがすすめられているようだけれど、これだけだと行動が目的になってしまうことが多くなる。

 

定性指標を使い、自分たちの理想とする行動と比較する。十分な体調で業務に従事できているか、今日の訪問で顧客にどれくらい話させたか、一緒に働くメンバーの笑顔をどれく引き出せたか・・・

 

なので、戦略がたてられた時点で、その戦略が実現している時の理想の状態、社員の活動、上司の活動、顧客の状態などを描いておくと定性指標もたてやすい。

未来のすがたをしっかりとイメージする

行動があって結果が出る。今から未来に向かって行動をはじめて、その目指す行動が出来上がったときに、望む成果がだせる。

 

実は、実行計画作成時点でこの未来のあるべき姿をイメージしているはずである。そn未来から今を見て、行動計画を作成した。(未来志向)

なので、この未来のあるべき姿と比較して、今の行動を改善してく。定量的なことに加えて、能力の向上も含めた、質、内容の比較を行う。そうすることで、一歩一歩社員、組織の力があがっていく。

 

PDCAサイクルの間隔を短くする

さらに、定性指標の感覚がわかれば、PDCAサイクルの間隔を短くする。時代は急速に変化している。今日は成功したやり方が、明日には通用しなくなることもあるかもしれない。日々状況が変化する

 

現状は、1か月に1回の検証を行っている会社が多いように見られるが、サイクルをもっと短くしてもかまはない。その場合には、実行計画に関係する社員の全員が集まらなくてもよいかもしれない。

 

とくに関係する数人、二人、1人でもかまはない。現状の状態をいち早く確認し、未来との比較から次の行動を決めて動く。そして検証する。

 

早くサイクルを回せば、良いというものでもないけれど、定性指標を理解し、自分で判断する習慣ができれば可能なことであり、より早くゴールに向かう可能性がひろがる。

 

これに関しては、会社によって難しさもあるけれど、日々、1人以上の小グループでPDCAサイクルを回せる組織はこれからのあるべき一つの姿のように思う

組織は戦略実践の為にある

戦略もできた、実行計画も作成し、定性指標ももりこんだ。後は実践し、検証する。

PDCAを回して、戦略を実践しながら、会社の社員全員が成長しながら、会社も成長する。低成長市場にいることをチャンスにかえることができる。

 

というように進みたいところです。しかし、この実行計画の実践を進めていく為には、まだやらなければならないことが残っています。

 

組織です。戦略実践の為に、組織がこれを推進させていくことを考えておかなければなりません。この記事では、戦略実践の為の組織がどうあるべきかについてまとめていきたいと思います。

 

組織の現状の捉え方

戦略実践の組織について示す前に、現状、多くの会社が捉えている組織について独断と偏見に満ちているかもしれませんが、示していきたいと思います。

 

戦略よりも戦術をベースにしてきた会社が多いからかもしれませんが、現場の状況に合わせて組織をつくってきたように見えます。

 

顧客が増えたから営業を増やす、スタッフを増やす。スタッフが増えたから、管理職が必要なので、職歴や成績で管理職に抜擢する。

 

中には、職歴も長くなり、そろそろ給料を上げなければならないから、役職をつけるというようなことも行われているようです。

 

これまでは、これで良かったかもしれませんが、戦略をベースに会社を運営していこうとすると、この組織の現状も変えていきたいところです。

 

先に人がいて、役職が決まるのではなく。先に役割がある

組織を表すのに、組織図がある。これは、誰がどんな役職についているかを表している

がその前に、どんな役割があり、その役割の責任範囲を表している。

 

役割があって、その役割を担う人の名前が示されている。順番を間違えてはいけない。役割が初めに存在するのです。

 

話が少しそれるかもしれないですが、名刺交換した時に、肩書が○○会社の営業部長と書いてある。そこで、少し意地悪をするときがあります。「営業部長ってどんな役割ですか?と聞くのです。

 

たいていの人は、ちょっととまどって、「営業のとりまとめですかね」なんて答えます。たしかに、営業のとりまとめに間違いはないですが、そのとりまとめをどのようにすることが求められるかが重要なことです。

 

このような会社はたいてい、先に人がいて、この人を営業部長にしよう、この人は課長だな、というように先に人がいて、その人に役職を付けていく。

 

戦略実践の為の組織は、実践の為に必要な役割がきまる。その役割に名前をつけると、例えば、営業部長のように名前がつけられる。

 

役割とその役割が担う成果責任が先にあってそこに人が入る

戦略を実践する為に、実行計画をたて実践していくわけですが、実践して成果を確実に達成していくには役割が必要になる。

 

営業という役割、営業事務という役割や、経理、人事、総務といった役割が組織として成果を最大限にしていく為には、役割を分担していく。

 

そして、個々の役割を発揮させ、個々の社員の能力を高めてさらに成果を出していく役割も必要になる。

 

組織が大きくなればなるほどに、1人の人間が面倒見れる数が限られているので、組織は階層化していく。そうして組織図ができあがるのです。

 

それゆえに、課長の面倒をみる部長の役割は当然、課長とは違う。そしてその求めれる成果も違ってくる。部長が課長の面倒をみるということは、課長が求められる成果がだせるように、支援していくことになる。

 

時には指示を出し、時にはコーチングで課長の能力を引き出し、時にはメンターとして精神的な支えにもなる。

 

課長が成果を出すということは、課長以下の社員の成果が出ているということになり、部長はその部門の成果全体の責任を担うことになる。

そして、部長という役割に求められる成果責任が決まってくる。役割とその成果責任はセットで明確に示されることが必要になる。

 

その役割をにない、責任をはたすことで、確実に戦略が実践され、組織の目的達成へとむかうことができる。

 

このように戦略実践の為の役割と成果責任が先に決まり、その役割を担える存在を会社の中から探す。あるいは、担える可能性がある人材を探すことになる。

 

もし、いなければその役割は欠員となる。

 

役割を担える、担う可能性がある人材がいなければ欠員とする

役割を担える人材が現状社内にいなければ欠員とする。欠員として、一刻も早くその欠員がなくなるように人材を育成しなければならない。

 

その人材育成を考えずに、人がいないから、できないのは分かっているけれど、誰かにその役割をまかせたとする。戦略は実践されるはずはない。人をいれても、欠員でおいておいても戦略は実践されない。

 

ならば、欠員にして、その役割が不在だということを社員全員が認識して戦略にのぞむことのほうが課題が明確になりゴールに近づく。

 

外から人材を採用するにしても、どのような経験と能力が必要になるかが明確になり、適材を採用する確率があがる。

 

役割と成果責任が明確な組織が戦略実践を加速させ、会社を成長させる

あなたの仕事は何ですかと聞いた時に、役職名ではなく、役割を言える社員で組織されている会社は、それぞれが自分の役割とどんな成果をだすかを認識している

 

そんな組織が市場が成長している、成長していないにかかわらず、未来をみすえて会社を成長へと向かわせる。

 

戦略だけでは会社は成長しない、その実践の為の実行計画がないと、方向は分かっても、そこにたどりつくすべが分からない。

 

そして、実行計画があっても、それを推進する為の役割と成果責任が分からなければ、推進力は弱くなる。

 

この戦略、実行計画、組織の一貫性が取れていれば、低成長市場はむしろチャンスになる。なぜならば、他にこの3つの一貫性がとれている企業は少ないからである。

 

急いで、この3つの一貫性がとれる会社をつくりましょう。

実行計画で絶対必要な指標「定性指標」

戦略を実践していこうとする場合に不可欠なのが実行計画です。

 

皆さんの会社にも、実行計画、活動計画など名前はいろいろあると思いますが、何らかの行動計画があると思います。

 

その計画には、何を(What)、いつ(When)、どこで(Where)の項目に、それらの目標が示されていると思います。

 

そして、成果をはかる指標などが示されて計画が出来ているのではないでしょうか。

 

ところが、多くの実行計画に抜けている、ある重要な指標があります。

それは、「定性指標」です。

 

この記事では、「定性指標」の大切さを伝えていこうと思います。

成果は必ず定量的に測定できなければならないという定説

成果は、誰もが分かるものさしで測れるようにする。数字で測れるようにする。というのが定説のようです。

 

確かに、数字で、定量的にはかることで、その行動の進捗が分かりやすく、検証しやすくなります。何を(What)、いつ(When)、どこで(Where)が直ぐに分かって、行動したか、しなかったが明確です。

 

そして、本来の定量指標の趣旨は、あいまいさを無くすことです。あいまいにして、行動の評価が的確にできなくなることをさけたいのです。

 

定量化できないけれど重要なことがある

ところが定量化しずらいけれど大切なことってたくさんあります。

例えば、営業職ならば、顧客への訪問回数は定量化しやすいけれど、顧客との面談の質は定量化するのは難しい。

 

けれど、訪問回数も重要だけど、売上や利益に関係するのは、面談の内容、質です。そして、定量化にこだわると、この内容や質が欠落する。

 

どのように(How)行動したかが、欠落してくる。実は、このどのように(How)はその行動をとる能力に関係してくる。

定性指標は人の能力を伸ばす指標

どにように(How)を定量化する指標を置くのは難しい。しかし、何らかの目安をおいてはかる事は可能です。これを定性指標と呼びます。

 

先ほどの営業の例でいうならば、営業面談の内容をはかるものとして、面談中の顧客の言動、表情、次回のアポイントが取れたか、取れなかったか等

 

数値化ができるものもあれば、数値化がむずかしく、主観が入るものまである。しかし、一定の判断基準で測定していけば、主観が入るものも入れて、有効に指標として使える。

 

事項計画において、指標を置くのは、目標とする行動が取れたかどうかよりも、行動によって、目指す成果が得られたかが重要だからです。

 

目指す成果ならば、最終的な数値目標、売上目標や利益目標の進捗で測れるという意見もあるが、売上目標や利益目標は最終の成果であって、この数値を見てからでは、遅い。

 

最終結果を出す為には、途中の行動の見直しが必要になる。そして行動の内容や質の向上も求められる。

 

時系列で追うならば、行動→内容・質→結果という順番になるはずだ。そうならば、最終的に良い結果を出す為には、PDCAを回して、行動、内容、質を変えていかなければならない。

 

ここに定性指標をもし欠落させれば、行動にばかり目が向き、その内容や質の変化を組織として追うことはできない。個人の自覚にたよることいがいにないことになる。

 

そこでよく見える光景として、伸びる社員は伸びるが、ダメな社員はダメ。伸び悩みからなかなか抜けきれない。といった全てが本人まかせの能力開発になってしまう。上司はせいぜい研修を用意するか、励ますだけ。

 

本人が、定性指標などで、足りない能力が明確であれば、上司、部下がチームとして足りない能力の為に動くことにあり、より早く目標につくことができる。

計画通りの行動が取れているのに成果が出ない

実行計画通りに行動したのに結果がともなわない。この場合には2つの検証が必要になる。行動が違っていたのか、行動の中身がおいついていなかったのかの2点です。

 

定量指標だけで良いという前提には、行動しても思うような結果が出ない場合には、当然その行動の中身の検証を行うだろうというものである。

 

ところが、この検証が行われていないのが現状であろう。実行計画の達成意欲が高い。それゆえに、達成可能な行動計画をたてる。そして、計画通りに行動するが成果がともなわないことが続く。

 

計画通りに行動しているので、とりあえずは、行動したので、行動したという達成感は味わえる。結果が出ないのは市場の責任にする。

 

低成長市場にいる中所企業の特長といったら、お叱りをいただくことになるだろうか。低成長市場から抜け出し、成長企業になる為には、あらたな成長戦略に沿った行動に変化させなければならない。

 

行動の変化をもたらすのは、行動の後の検証である。この検証には定性指標を仮に置かなかったとしても、行動の中身の検証が不可欠です。

ゴールに向かって確実に進む為の検証と実践が重要

実行計画は何のためにあるのか?

 

それは、戦略にそった行動を推進し、必ずゴールに達するために必要なものです。それゆえに、行動の検証とその後の行動の進化が大切になる。

 

指標はそのために置く道具になる。指標を達成することがゴールではない。ここを肝に命じて、実行計画を作成し、目標や指標を設定していけば、必ずゴールに向かうことができる。

 

必要十分な時間を取って、検証し、行動を進化させていきましょう。

低成長市場にいる会社の戦略のつくり方

低成長市場にいる社長や経営幹部の方々が、よく耳にする単語に「戦略」があります。戦略が必要だ、戦略がないとこれからの時代は生きていけない・・・

 

でも、「戦略」というと何かたいそうで、それをつくるとなると何か特別な知識が必要で、そんな勉強をしていない人にはつくれないのでは?と決めつけている人もいます。

 

そんなことはありません。戦略をつくるのに特別な勉強など必要ありません。ひょっとすると、そんな特別な勉強が邪魔になることもあるかもしれないぐらいです。

 

では、どのようにして戦略をつくっていくのか?

 

その前に、戦略について知っておきたいことが2つあります。一つは戦略の定義です。そしてもう一つは戦略のありかたです。

 

一つ目の定義ですが、「戦略とは戦いを略(はぶく)こと」と定義します。つまり、いかにしてライバルとの競争をはぶくことができるかを示したものが戦略です。

 

二つ目の戦略のありかたとは、一度決めた戦略は徹底して“やり抜く”ということです。実践されなければ検証はできないですし、中途半端に実践しても検証はできません。従って、決めた戦略は、徹底して“やり抜く”姿勢で実践してください。

 

それでは、戦略のつくり方に入っていきます。

いかにライバルに勝つかという考えから、顧客からライバルを見えなくするに変える

 

戦略の定義は、ライバルとの競争をはぶくことです。それをどうすれば出来るかが考えどころなんですが、ここでライバルの事ばかり気にしているとどこかに消えてしまいがちになるのが顧客です。

 

顧客が我社の製品やサービスを購入してくれるのです。となれば、ライバルとの競争をはぶく為には、顧客からライバルの姿を見えなくするか、可能な限り小さくすればよいのです。

 

ライバルに勝つ事ばかりに焦点をあてすぎると、顧客のことへの焦点がぼやけるばかりか、ライバルとの消耗戦に入ってしまうかもしれません。

 

顧客からライバルの姿を消すには、“戦う土俵を変える”ことです。

 

つまり、皆さんの会社がどの土俵に立つかを決めるのです。その土俵にライバルがいないか、少なければ、顧客からは皆さんの会社しか見えないことになります。

強み2つでポジショニングを決める

土俵を決めるとは、あなたの会社のポジショニングを決めることです。しかも2軸でポジショニングを決める。

 

ここでまた、ポジショニングというカタカナが出てきましたが、別の言い方をすれば、「あなたの会社の強み」何ですか?ということになります。

 

2軸ということは、強みを2つ探しましょうということです。

 

縦軸に一つ目の強み(軸)そして横軸にもう一つの強み(軸)を持ってくれば、そこに「場」ができあがります。これが土俵になるわけです。

 

例えば、一つ目の強み(軸)が筋トレと栄養学を用いた体のシェイプアップのノウハウとし、もう一つの強み(軸)に成果保証、必ず顧客の目的を実現するノウハウとします。

 

ここに皆さんもよく知っているR社の土俵が出来上がります。

 

筋トレと栄養学の組み合わせは、トレーニングを実践している人にとっては、それほど特殊なノウハウでもないようです。(ある大手フィットネスジムのトレーナーの証言です)

 

そして成果保証に関しても、研修教材などで「成果が出なければ全額返金します」というようなことをうたっています。

 

しかし、フィットネスジムの業界で、この2軸のポジショニングは新鮮で、顧客は、何度も失敗してきたダイエットに加えて、シェイプアップされた自分自身の体のイメージが手に届くところに存在する実感をえることが出来たことでしょう。

 

こうなれば、価格など問題にならない、多少高くても、それによって得られる未来を優先させたことでしょう。

思考を変えて、強みを2つ見つける

いままで示してきたことは、いわゆる差別化戦略です。いかにしてライバルと差別化していくかなのですが、差別化できないからビジネスが難しくなってきていることはようく分かっています。

 

ですから、差別化とういことに思考の焦点をあてるのではなく、強みに焦点をあてます。しかも、その強みは決して圧倒的な強みである必要はありません。

 

ちょっとした違い、強みで良いのです。それが2つ組み合わせされれば、他社が入ってこれない土俵が出来上がるのです。

 

だから、強みを2つ見つけましょう。必ずあります。なぜならば、長きにわたって、皆さんの会社は顧客に信頼され、続いてきているのです。その続いてきている要因に気づきましょう。

思考を過去に戻し、自社を他人の会社のように眺めて、強みをみつける

長く続いている会社には必ず強みがあります。思考を過去に戻してみましょう。過去はどんな思いで製品をつくり、売ってきたのか。

 

過去の会社の雰囲気はどんなだったか、過去の点と点をつなぐことで、忘れていた会社の良さ、強みが浮かび上がってきます。

 

また、会社の中にいるから見えないことがあります。第三者的に客観的に自社をみましょう。それでも見えないのであれば、顧客に聞きましょう。

 

顧客が自社のことを実は一番しているかもしれません。率直に顧客に聞きましょう。「当社の良いところはどんなことでしょう」

 

必ず、反応があるはずです。中には、「昔はよかったけれど、今はダメだな」という方もおられるかもしれません。でもそれも強みを決める大きな情報です。

 

どうしてもみつからなければ、未来に向けての強みを見つける

どうしてもみつからなければ、未来に強みになるものを設定する。2軸によって他社が入ってこないポジショニングの強みを設定する。

 

それが、本当の強みになるように、全社をあげて力をその方向に強くすればよいのです。

今、過去の行動と同じことを続けても、業績は伸び悩むだけです。今、私達が行動しなければならないのは、未来に向かって、どんな行動をとれば成長できるかです。

 

今、強みが見つかっているならば、そのポジショニングを洗練させて、顧客をその土俵に誘ってくる。

 

今、強みがみつからず、仮のポジショニングならば、それが仮ではなく、本当になるように、顧客をその土俵に誘いながら、自らの力をつけていくのです。

 

特別な才能は必要ありません。決めて動くだけです。

注)

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