低成長から会社をふたたび成長路線にのせる90日

市場が変化し、多くの企業が成熟市場の中にいる。日本のGDPの成長率2%以下をみれば明らかである。衰退市場の中にいる企業も多くいる。そんな中でも「会社の成長を止めるわけにはいかない」というのが社長の思いではないだろうか。

 

世間で、よく聞かれる対応方法はというと、“よけいな経費を削減して、経営基盤を固めましょう。新規ビジネスをみつけて、もう一つのビジネスの基盤をつくりましょう。”ということになるのだろう。

 

あるいは、“戦略が重要なので、明確な“戦略”をつくりましょう。“ということになる。

 

どれも正しい。

しかし、どれほどの企業が上手くいっているのだろう。経営基盤を固めて、その次はどうするのか?

 

既存ビジネスに肩を並べるぐらいに上手くいった新規ビジネスはどれほどあるのか?戦略の実践は進んでいるのか?

 

正しいことを社長がすれば、成果が出る時代は終わっている。正しいことを社員を巻き込んで成果が出せる方法でしなければ、取り残される時代に入っている。

 

社員が主体的に動くボトムアップによって、低成長市場から会社を成長路線にのせるには90日あれば可能になる。

 

今回の記事は、その90日の方法を示していきたいと思う。

戦略作成から社員を巻き込んでいく最初の30日

戦略が絵に描いた餅になってしまう要因として、戦略そのものが、抽象的で、美しすぎて、現実離れして見えることがある。それに、社員がついていけず、現場に変化が起きない。

 

戦術は現場での動き方を示しているので具体的で分かりやすい。ところが戦略は抽象的に描かれることが多いので、頭で分かっても、行動に移しづらい。

 

そこで、戦略づくりから現場の社員をまきこんでいき、しかも、具体的で明日から戦術に生かせるものに仕上げていく。

戦略とは戦う“土俵”を決めること

戦略ということを話すときには、それぞれの専門や思いによって表現などが違ってくる。そのためか、戦略を表現した時には抽象的であいまいなものになってしまっている。そこで、まず初めに戦略の定義を明確にしてからすすめる。

 

この定義として分かりやすく、具体的で使いやすいのが、「戦略とは戦う“土俵”を決めること」というものである。

 

つまり、どこで戦うかを決めることで、自社が最も有利な土俵を決めれば、後は、戦術として、その土俵にどのように顧客をつれてくるかを考えればよいことになる。

 

そして、戦略と戦術を区別すると。戦略とは戦う土俵を決めること。戦術とは、その土俵にいかにして顧客を連れてくるかの方法。というようになる。

 

2つのポジショニングで土俵が決まる

土俵を決めるときには、自社に有利なポジショニング(立ち位置)を2つ決めます。2つになるのは、それが掛け算になるからです。

 

一つのポジショニングで他社と差がつけづらかったとしても、それが2つあれば他社との違いが明確になる。そんな2つを見つけます。必ず存在します。

 

例えば、有名なところで、ライザップを例にすると。一つのポジショニングが“パーソナルトレーニング”です。このポジショニングだけだと、大手のフィットネスジムにもあり、それほど目立ちません。

 

それに、“美しいボディーの成果保証”というポジションを入一つ加えます。このポジションはよくエステサロンやダイエット関連サービスでよく見かけます。

 

そして、“パーソナルトレーニング”と“美しいボディーの成果保証”が掛け算で組み合わさったときには、明らかに他社と違う土俵が出来上がります。

 

その後、トレーニング内容、食事制限やコマーシャルなどを戦術的に実施していき大きく成功していると考えます。

 

ポジショニングを決めるには現場の意見、事実が必要

自社に有利なポジショニングを決めるには、会議室でいくら考えても限界があります。現場に出て、顧客の声を聴く、取引先の声を聴く、ライバルの声を聴く、そして現場の社員の声を聴くことが大切です。

 

長年、続いてきた会社に必ず、ごひいきのお客様がいる。そんなお客様から過去(創業時など)の話から現在にいたるまでの、顧客から見ての自社の良いところ、悪いところを社員が実際に話を聴く。

 

「そんな顧客はいない」なんて言わないでください。長年つづいている会社には、必ずいます。一人でもかまいません。そんな顧客にインタビューしましょう。社員と一緒にです。

 

30日間、インタビューと仮説検証を実践する

顧客、取引先、社員のインタビューを通して、自社に有利なポジショニングを決めていきます。

 

同時に、創業時の思いやお客様に接する心なども思い起こしながら、これらのインタビューを検証することで、社長も社員もしぜんと次に来る新たな戦う土俵を自分ごととして捉える素地が出来上がってきます。

 

この実際に戦略をつくっていくプロセスが社員を巻き込んでいくことになります。なので、30日の多くをこのインタビューと検証に使うことになります。

 

“戦略の共有”が大切だとよく言われる。しかし、この共有がなかなかできない。それは、“話せばわかる”“聞けばわかる”と思っているからだ。

 

話すだけ、聞くだけでは、頭で分かったとしても、身体に沁みてこない。戦略のもとになるプロセスの体験が戦略の共有を促進させる方法だと考える。

戦略実践の実行計画の作成と定着の30日

戦略ができれば、次はそれをどのように実行していくかということになる。つまり戦術の段階に入っていく。

 

未来志向の実行計画を作成する

実行計画を作成するときの第一のポイントは、ゴールから逆算して活動と時期を決めていくことである。

 

現在の状況から見て、できることを計画するのではなくて、ゴールからの逆算ですべきことを計画する。

 

ゴールから逆算しての活動は、現状と比較して難しいこともあるかもしれない、だからといって、現状できることに終始していればゴールには到達しない。

 

人の特長でもあるが、ほっとくと、いつのまにか未来志向で始まったのに、現状に戻されて、一歩も出ていないとうことがおきる。

 

これを避けるためにも、客観的に実行計画をみることが必要になる。他のチームメンバーなどに評価をお願いするなど、客観性を維持する工夫が必要になる

 

指標には定量指標(数字で評価できる)と定性指標(数字で評価しずらい)をおく

実行計画には、目標への到達度をはかる為に指標をおく。その指標として一般的には定量指標をおくように言われているようだ。

 

誰もが、直ぐにわかる指標として、定量指標は有効に使える。何をしたか、しなかったか。その結果として得られた売上などは分かりわかりやすい。

 

ところが、活動のプロセスが見えづらい。

例えば、営業活動で、顧客との面談による反応などは、定量指標では表せない。しかし、その面談が上手くいったか、悪かったかを早く知るには、顧客の反応は重要な指標になる。

 

必ずしも、完璧に計れなくてもよい、一定の基準を作っておいて、その基準に照らして、点数や何パーセントというような評価でも良い。この定性指標が日々の活動の指針として働いてくれる

 

定性指標を使ったレビューを30日で定着させる

定性指標はふだん、何気なく使っていたりする。思いだして欲しい、今日は充実していた。今日の仕事は上手くいった、うまくいかなかった・・・などはどのように知るのだろう。

 

もちろん、顧客からの実際の売上が分かる時もあれば、顧客の反応や、他の社員の反応、などから、自分自身が判断していることも多いのではないだろうか。

 

この何気ない判断指標を明確において、一定の基準のもとに、日々の業務のレビューをしていく、大変そうに思うかもしれないが、多くの社員が何気なく行っている事を、システム化しようというだけである。

 

上手くいったのなら、何が良かったか、うまくいかなかったのなら、次は何に気をつけるかを自分自身が分かることが、次の成果につながっていく。

 

ただ、普通に実行していることも、システム化されると、やりにくさなども感じてしまうのも人としての特長なので、このレビューに慣れていくのにも時間が必要になる。そこで30日という時間を使ってこれを行う

戦略とその実践を会社の文化にする為の30日

戦略ができ、それを実践する。実践の過程でレビューも出来るようになってきた。さあ、会社も成長路線にのれるぞ、と思っても、人はすぐにもとの状態に戻ろうとする。

 

新しい思考や行動が、以前の思考と行動に置き換わるのにはまだ時間が必要だ。

 

そんな状況の中で、会社のなかの様々なことが、戦略と違い、いままでの慣れ親しんだものであったら、人は慣れ親しんだものにもどろうとする。

 

会社の環境や仕組みなどさまざまなことを、戦略のもとに一貫性を保つ必要がある。

 

役割と成果責任を明確にする

会社の環境の中で、最初に検討したいのが組織である。組織を戦略をすすめる上で最適にしなければならない。ここで、万が一、戦略の実践と組織の不一致があれば戦略はすすまない、直ぐに修正しなければならない。

 

その時に検討するのが、役割とその成果責任である。

 

戦略をすすめる上で、社長はどんな役割をになうのか、そしてその役割が成し遂げる成果とはどんなものなのかを明らかにしていく。

 

社長、専務、部長、課長、営業社員、経理、総部などなど、最前線にいる社員も含めて、全ての役職、社員の戦略を実践していくうえでの役割とその役割に求める成果を明らかにしていく。

 

モレなく、ダブりなしで役割のつながりを持たせる

戦略を実践していく上で、役割のモレがあってはならないし、ダブりも不要だ。モレがあれば、そこの部分が実践されなくなるか、スピードや内容に問題が生じる可能性がある。

 

ダブリの場合は、責任お所在があいまいになって、ここでも行動がにぶる可能性もでてくる。なにより、役職が違うのに、役割が同じということは矛盾がある組織ということになるので、早めに無くしておきたい。

 

役割と成果責任の推進で30日

実行計画お推進で、どんな役割が必要になるか、その役割をになっていく上での必要な経験や能力はどんなものが必要になるかを決めていく。

 

戦略によっては、その役割をになえる人材が社内に不足している場合もある。そんな場合には、人材を育成するか、外から新たに採用しなければならないことも起きる。

 

これらを、検証も含めて進めていくのに30日をかけて行う。

 

他にもっと良い成長戦略があるのだろうか

これらが、90日の使い方になる。これを見て、90日で足りるのなだろうかと思われる人もいる。90日もかからないと思う人もいる。

 

一つ一つは決して、真新しい方法ではないかもしれない。しかし、3つのアプローチに一貫性を持たせ、社員をはじめから巻き込んでいく方法はあまり見かけない。いずれにせよ、一度、真正面から取り組む価値がある内容だと考える。

 

ビジネスに奇策など存在しない。“運”と言えば、全ての人にそれは降り注いでいる。その“運”を掴むか、見逃すかの違いである。

 

外からは奇策とみえるものも、“運”を掴んだと思えることも、中では、地道に王道を進んでいることの方が多い。

 

一点、違うとすれば、この王道を一貫性を持たせずに、実施し、期待する成果を出せてない場合があることではないだろうか。

 

90日という期間、集中し一貫性のある戦略の実践という道を歩くことを勧める。未来を創り出す為の時間と思えば、有効な時間の使い方だと確信する

開催セミナー情報

https://www.hricoaching.com/

 

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