「目的」の無い人はいない、ただそれが「意識」か「無意識」か、「短期」か「長期」かかが違う

人は誰しも、常に何かの「目的」を持って行動しています。
朝早く起きるのも、メールを返すのも、会議で発言するのも、「何らかの目的」があるからこそです。
ただし、その目的が明確か、無意識か、という違いがあります。


そしてもう一つ、見落としがちで、しかし極めて重要な違いがあります。それは、「目的の方向性」です。
その目的が、自分が本当に望む未来に向かっているのか、それとも目先の欲求や一時的な反応にすぎないのか。
この違いは、長期的に見て、人生の質や成果に大きな差を生むことになります。

目的の方向性を誤るリスク

本来目指すべき未来のビジョンや価値観から外れた行動を、短期的な目的に任せて選択してしまうと、こんなことが起こります。
・あとで「本当はこうしたかった」と後悔する
・その場しのぎの繰り返しで、成長の実感が持てない
・周囲との信頼関係が築けない(行動に一貫性がないため)
・自分自身が「何のために働いているのか」分からなくなる


例えば、ある管理職が「上司の指示を優先しておけば波風が立たない」という判断で、部下の声を無視したとします。
結果として、上司には良い顔ができても、チームの信頼は失われ、成果も低下する。
これは、「目先の安心感」が目的になってしまったことで、長期的な信頼や成果という、本来の目的を見失った典型です。

目先の欲求や問題対応も「目的」であると自覚するメリット

ここで重要な視点があります。
たとえ目先の行動であっても、それもまた「目的」からの行動だと認識することには、大きな価値があるということです。


なぜなら、自分の選択に「意図」と「責任」が生まれるからです。
■ 意図を持つことで衝動を「選択」に変えられる
「なんとなく疲れたから休もう」と「体力を回復するために今日は休む」とでは、まったく同じ行動でも、意味合いが変わります。
後者は、自らの目的に基づいた行動であり、自責の感覚と方向性を保つことができます。


■ 目先の目的を言語化することで、優先順位が明確になる
「この仕事を急いで終わらせたい」と思ったとき、その背景にある目的を考える──「なぜ急ぐ必要があるのか?」
これにより、ただ焦るだけでなく、全体の中でその仕事の意味や役割を冷静に判断できるようになります。


■ 欲求や不安の“奥”にある本当の価値観に気づける
「承認されたい」「失敗を恐れている」などの感情の裏には、もっと根源的な価値観(安全、貢献、誠実さ など)が隠れています。
目先の欲求も目的として認識すれば、自分の行動原理を見つめ直すチャンスにもなります。

長期と短期の目的を「対立させない」ことの重要性

多くの人が、「目先の目的」と「将来のビジョン」は相反するものだと捉えがちです。
しかし実際には、この2つを対立させず、両立させることが大切だと考えます。


長期的な目標(たとえば「信頼されるリーダーになる」)のためには、目の前の行動(「無理なお願いにも誠意を持って対応する」)が必要なこともあります。


重要なのは、「いまの行動が未来にどうつながるか」を意識すること。
目の前の目的にしっかりと意味づけをして、長期的な軸と結びつけられれば、行動の質が格段に上がります。

目的を自覚することが、自分の人生の主導権を取り戻す

人は無意識でいると、外部の圧力や感情に流されやすくなります。
しかし、行動のたびに「自分は何のためにこれをしているのか?」と問いかける習慣を持てば、自分の人生を主体的に生きる力が養われます。


行動の目的を認識するとは、
「自分で選び、自分で進む」という意思表明であり、
その繰り返しが、やがて大きな成果と後悔しない未来につながっていきます。

まとめ:目先も未来も「目的」からすべてが始まる

行動の一つひとつには、必ず何らかの「目的」があります。
その目的が目先の欲求であっても、それを自覚することに価値があり、長期的なビジョンと整合させる力にもなります。


「ただ何となく」「とりあえず」ではなく、
「いま自分は、何のために、どんな未来に向かって、この行動をしているのか?」


──この問いを持ち続けることが、ビジネスパーソンとしても、一人の人間としても、誇りある人生を築く第一歩になるのではないでしょうか。

なぜ、挑戦を避けるのか?~今のままで良いとは思わないけれど~

「別に安定を望んでいるわけではない」「できることをやってるだけ」「現実的に考えているだけだよ」
高い目標や新しい挑戦について話すと、こうした言葉を返してくる人がいます。

自分が挑戦しない理由を「現実的」という言葉で正当化しているように見えますが、その裏側にどんな心理があるのでしょうか。


実は、こうした人ほど「変わらないこと」に強くしがみついていることが少なくありません。表面的には「合理的な判断」のように見えても、深層では“リスクを避けたい“失敗したくない”“今の自分を壊したくない”という無意識の防衛本能が働いているのです。


今回は、「変化は必要なことだ、安定を望んではない」と言いながら、高い目標を避け、現実的な目標に向かい行動している人に向けて記事を書きたいと思います。
あなたは、変化を避けているのではありませんか?

安定は、安心ではなく「選ばない理由」の仮面

まず明確にしておきたいのは、「安定」そのものが悪いわけではありません。誰もが人生の中で、安定を求める局面があるのは自然なことです。家族を支えるため、生活を守るため、自分の心身を保つため、一定の安定を求めるのは当然です。


しかし問題は、「安定だから」という理由で、選択の余地を自ら狭めてしまっている場合です。
たとえば本当は、もっと違う働き方をしてみたい、新しい役割にチャレンジしてみたいという気持ちがあるにもかかわらず、「それは今の自分には無理だ」と現状を固定してしまう。

そうすると、「できることしかやらない」「現実的な判断しかできない」自分が出来上がっていきます。
この時、「現実的」という言葉はとても便利です。自分の可能性にフタをしてしまうことを、堂々と正当化してくれるからです。

「現実的」という言葉に隠れた真の課題

では、「現実的に考えているだけ」という人の心の中に、どんな課題が隠れているのでしょうか?よく見られるのは、以下のような心理的パターンです。


① 失敗への恐れ
「できることだけをやる」の裏には、「失敗したくない」「恥をかきたくない」という感情が隠れています。自分の価値や評価が下がるのが怖いのです。


② 自己効力感の低さ
「どうせ自分には無理だ」という思い込みから、可能性を最初から切り捨ててしまうケースもあります。これは過去の経験や環境によって、自信が育まれてこなかった人に多く見られます。


③ 安心できる領域にとどまりたい欲求
人は習慣化された場所、関係性、思考に安心を感じます。たとえそれが不満のある状況であっても、未知よりも“知っている苦労”を選んでしまう傾向があります。


④ 周囲との比較・評価の恐れ
高い目標を掲げると、他人と比べられる機会も増えます。それを避けるために、「目立たず」「波風立てず」生きる道を選びます。
つまり、「現実的にやっている」というのは、「本当はやってみたいけど、怖くて動けない」ことを認めたくない自分への言い訳でもあるのです。

見えない損失に気づけるか

「無理をしないでできる範囲でやっている」――それ自体は悪いことではありません。しかし、そこに“本当は挑戦したい気持ち”が眠っているなら、大切なのは、見えない損失に気づくことです。


たとえば、あるAさんの事例があります。Aさんは大学の4年間スキー競技部のエースとして活躍していました。しかし、優勝という目標を掲げることは無く、8位以内の入賞を目標にしていました。

そして、優勝を目指し、結果としてAさんよりも下位の結果になる選手をバカにしていました。そしてAさんは社会人になっても、決して高い目標を掲げることは無く、確実に達成できる目標しか考えていませんでした。


ところが、社会人になり、久々にスキー競技部の同窓会に出席した時、高い目標を掲げながら、自分よりも下位の戦績しか出せなかった選手が、社会人になり、Aさんをはるかに超える役割につき、確実に成果を出しているという結果を見せつけられることになる。


このように、チャレンジしなかったことが、いつの間にか、他の人に追い越されてしまっている。これが、チャレンジを避けることによる「見えないコスト」なのです。つまりは、「未来にツケを残す」とうことです。

不安を「課題」に変える思考

では、どうすれば恐れや不安に向き合い、行動に踏み出すことができるのでしょうか?
答えはシンプルです。不安を言語化し、課題に変換することです。


たとえば、
• 「失敗したらどうしよう」→ どんな失敗があり得るのか?誰にどんな影響が出るのか?
• 「迷惑がかかるかも」→ その迷惑はどのレベルで、どう対応すれば最小限に抑えられるか?
• 「自信がない」→ 何に対して自信がなく、何があれば前に進めるか?


不安とは、漠然とした「感情」ですが、課題とは「対処できる対象」です。不安をそのまま放置するのではなく、“言葉”にすることで、自分の中で具体的な行動や準備につなげられるのです。

小さな一歩が現実を変える

高い目標を語ると、「そんなの理想論だ」「無理に決まってる」と感じる人がいます。でも、理想に向かう第一歩は、必ず「小さな行動」です。


「1日30分だけ勉強する」「まず1人に話してみる」「週に1度だけ新しい提案をしてみる」――そんな小さな一歩でも、自分の思考と行動が変わり始めます。


人は、変化の準備が整ったときに変わるのではありません。小さな一歩を踏み出すことで、自分が“変わる人間なんだ”という実感が得られ、その実感が自信に変わっていくのです。

自分は何を望んでいるのか?

「現実的にやっているだけ」と言う人にこそ、静かに問いかけてほしい言葉があります。
「もし、今の状況に“制限がなかった”としたら、何をやってみたいですか?」
「誰にも否定されず、自分のままで生きられるなら、どんな挑戦をしてみたいですか?」


この問いに、胸の奥で少しでも“ワクワク”が芽生えるなら、あなたはもうすでに、次のステージに向かう準備ができています。

まとめ:変わることは、怖い。でも…

変わることは、怖いです。特に、「変わってもし成果が出なかったら?」という不安は、誰の中にもあります。でも、それでも動ける人は、「変わらなかったら、もっと後悔する」と気づいた人です。


大きな一歩でなくても構いません。今日、この文章を読んだあとに、何かをひとつだけ変えてみる。その積み重ねが、未来のあなたの可能性を拓きます。


「本当は変わりたい」と思っている自分を、どうか置き去りにしないでください。未来のあなたが、きっと今日のあなたに感謝する日が来ます。

「無理」という言葉は、行動を止める魔法の言葉

なぜ私たちは「無理」と言ってしまうのか

「それ、無理です」
ビジネスの現場で、こんな言葉を耳にすることは少なくありません。売上の目標、納期の短縮、新規市場への進出……プレッシャーの強い環境では、やる前から「無理」と思ってしまうこともあるでしょう。

むしろ、それが合理的で現実的な判断だと感じることさえあります。
しかし、「無理」という言葉には、私たちの行動を止めてしまう力があります。それは自分の手を動かす前に、思考も選択肢も閉ざしてしまうブレーキのようなものです。

では、その「無理」は本当に事実なのでしょうか? それとも、自分自身の内面から湧き出した“感情”や“思い込み”なのでしょうか?
この問いを持つことこそが、変化と成長への第一歩になります。

「無理」は思考の停止であり、責任の放棄である

「無理」と言うとき、私たちはたいてい「私の責任ではない」「これは私の手には負えない」といった思考を心のどこかで抱えているのではありませんか。

たとえば、上司から新たな目標を提示されたときに、「そんなの現場を知らないから言えることだ」と返す部下がいるとします。


このとき本当に問われているのは、「それができるかどうか」ではなく、「あなたはそこに責任を持って向き合う意思があるかどうか」だとしたら。


確かに「無理」と言ってしまえば、その責任から一歩引くことができます。たとえ、上司からの命令で引き受けるにしても、上司や環境のせいにすることで、自分が動かなくても済むか、又は「自分の責任ではない」という“安心”を得られます。

けれどそれは、可能性の芽を自ら摘み取る行為でもあるように思います。

「無理」と感じる自分の内面を探ってみる

「無理だ」と感じるとき、私たちの心の中では何が起きているのでしょうか?
大切なのは、その感情の正体を見つめることです。


• 恐れ1:失敗して評価を落とすこと
「もしチャレンジして失敗したら、上司や同僚からどう思われるだろう」
これは多くのビジネスパーソンが抱く不安です。成果主義の文化では、失敗は避けたいものです。しかし失敗を恐れるあまり挑戦を避けると、長期的には成長の機会を失ってしまいます。


• 恐れ2:自分の限界を認めること
「これは自分には無理だ」と感じるとき、その奥には「できなかった自分」を直視する恐れがあることも。
人は誰でも、自分に期待していたいものです。しかし現実がその期待に届かないとき、無力感や羞恥心が生まれます。それを避けるために、「最初からやらなかった」と言える状況に逃げることもあるのです。


• 恐れ3:孤独な責任を負うこと
特にリーダーや中間管理職に多いのが、「自分だけが背負わされるのではないか」という不安です。誰にも相談できず、成果だけを求められる環境では、「無理」と言いたくなるのも当然かもしれません。
けれど、そうした感情を見つめ、「なぜ自分は無理だと思っているのか?」と内省することで、現実の打開策が見えてくることがあります。

事例を通して知る「無理」との向き合い方

川島翔太(仮名)は、30代前半の若手リーダー。中堅メーカーの営業部門で、既存顧客の売上確保と、新規市場への拡販の両方を任されていました。上司からは「来期は既存売上を落とさずに、新市場で5%の売上を作れ」との指示。

しかし、チームの人員は増員されることもなく、部下は日々のルーティン業務で手一杯です。
「無理だ……」
川島は最初、心の中でそうつぶやきました。


既存顧客の関係性は繊細で、少しでも対応が遅れれば信頼を失う。新規市場へのアプローチは時間も労力もかかる。それを両立させる人材も時間もない。上司は現場を知らず、無責任な目標を掲げている──そう思いました。


しかしある日、ふと自問します。
「これは本当に無理なのか? それとも、自分が“無理だと思いたい”だけではないのか?」
その問いが、川島の思考を変え始めました。

彼は「できない理由」を並べるのをやめ、「できること」から始めると決めました。まずは既存顧客対応を効率化するためのフォーマットを部下と共に見直し、週に2時間だけでも新規開拓に集中できる時間を捻出。


さらに、若手社員に新市場の情報収集を任せることで、巻き込みと育成を両立させました。完璧ではないにせよ、「完全に無理ではない」という実感が、行動を生み出していったのです。


結果として、新市場での売上はわずか2%増にとどまりましたが、川島は部長から「確実に道を作った」と評価され、次の期では支援体制の拡充も決定。川島自身、「“無理”と決めつけていたのは自分の心だった」と語ります。

この物語は、実際の事例からつくり上げたフィクションですが、「無理」に対してどう向き合うかを示したものです。

無理から可能へ──行動につなげる3ステップ

川島のように「無理」を乗り越えるには、内面と向き合った上で具体的な行動に移す必要があります。以下の3ステップが、その突破口となるでしょう。


ステップ1:課題を小さく分解する
「新市場での売上5%増」ではなく、「週に2件の新規訪問」「既存対応を10%効率化」など、行動に落とし込める単位にまで分けて考える。


ステップ2:感情と事実を分ける
「怖い」「責任が重い」という感情と、「本当に時間が足りない」「リソースが不足している」という事実を区別して整理する。


ステップ3:巻き込み・相談のアクションを起こす
一人で抱え込まず、部下・同僚・他部署の知恵を借りる。協力を求めることは、弱さではなくリーダーシップの一部である。

まとめ:「無理」の正体に気づいた先にあるもの

「無理」という言葉は、ときに正しい判断を助けることもあります。しかし、その言葉を使う前に、自分が何を恐れ、どこで責任から距離を取ろうとしているのかに気づくことは、とても重要です。


行動を止めるのではなく、内面を探り、「では何ができるか?」を問い直す。
その小さな一歩が、ビジネスの未来を変えていきます。あなたが「無理」と思っているその課題も、ほんの少し見方を変えるだけで、動き出す可能性を秘めています。


「無理」と思うことを、100%無くそうという事ではありません。「無理」と考える前に、できる前提を持って、方法を考えてみる。
特に、自分たちの未来に向かって進む過程での、困難には、できる前提で進みたいと思います。

モチベーションを意識するから、部下のモチベーションは上がらない

リーダーシップに関する理論やノウハウは数多く存在します。しかし、実際にチームを率いる立場になったとき、多くのリーダーが直面するのは、「人は思った通りには動かない」という現実です。


丁寧に説明しても納得されない、指示した通りにやってくれない、本人は頑張っているつもりでも成果が出ない……。そんな悩みにぶつかるたび、リーダーは自分のやり方に自信を失ったり、部下との距離感に悩んだりします。


そんなときこそ、リーダーが立ち返るべき問いがあります。
「リーダーは何を果たすべき存在なのか?」
リーダーの「役割」と「責任」を明確にし、どこに視点を置くべきかを見直すことで、ブレない行動が取れるようになります。人の内面からくる様々な反応に、揺れ動く視点をあるべき所に戻し、成果を出すことができるようになると思います。

リーダーの「役割」とは何か

リーダーの役割は、大きく2つに集約できます。


1つ目は、部下の成長を促進することです。部下一人ひとりの可能性を引き出し、主体的な行動が生まれる環境をつくる。教えるだけでなく、考えさせ、任せ、失敗を糧にさせる。成長のきっかけを提供することが、リーダーに求められる役割です。


2つ目は、他のチームや部署と連携し、組織全体の成果を最大化することです。自分のチームだけの視点に偏らず、全体を俯瞰しながら、部門間の連携をスムーズに進めていく。その橋渡し役になるのも、リーダーの大事な仕事です。


どちらも「人を動かす」ことが求められる場面ではありますが、重要なのは「どう動かすか」ではなく、「動きたくなる土壌をどう整えるか」又は「動かなくてはならないと思う環境をどう整えるか」という視点です。

リーダーの「責任」とは何か

一方で、リーダーに課される最も重い責任は、「成果を継続的に出すこと」にあります。
過程がどれほど丁寧でも、部下との関係がどれほど良好でも、最終的に組織の成果が出なければ、リーダーの評価は上がりません。


このとき、リーダーは避けがたい選択に直面します。
それは、「部下の感情」と「成果」のどちらを優先するか、という問いです。


本音を言えば、部下の気持ちに寄り添いたい。納得してもらってから動いてほしい。無理をさせたくない――。そう思うのが自然です。


しかし、リーダーが担っているのは「感情の調整」ではなく「成果の達成」です。
たとえ部下が不満を口にしようとも、成果につながる行動を推進し、それが結果に結びつけば、それでよいのです。


ここに、リーダーとしての覚悟が求められます。
感情に振り回されず、成果という「責任」に立脚して意思決定を行う。
リーダーとは、その重さを引き受ける立場だと考えます。

人はブラックボックスである

では、なぜ部下の感情や思考に深入りしてはいけないのでしょうか?
それは、人の内面は他者からは見えない=ブラックボックスだからです。


動機づけやモチベーション、性格や価値観といったものは、リーダーが直接触れることはできません。推測することはできても、確実な理解や操作はできない。


それどころか、無理に見ようとしたり、変えようとしたりすると、信頼関係が壊れたり、反発が生まれたりする危険すらあります。


だからこそ、リーダーは「人はブラックボックスである」という前提に立つ必要があるのです。
内面に介入するのではなく、その外側で起こる反応=行動と成果に注目する視点が重要になります。

リーダーが見るべきは「インプット」と「アウトプット」

では、ブラックボックスと適切に向き合うために、リーダーは何を見ればよいのでしょうか?
答えはシンプルです。
「インプット」と「アウトプット」を見ること。


インプットとは、リーダー自身の言動や関わり方のことです。
具体的には、どんな指示を出したのか、どんな声かけをしたのか、何を期待として伝えたのか、といったことです。


アウトプットは、部下の行動や成果、反応です。指示にどう応えたか、実際に何を行動したか、成果として何が出たか。


人の内面は見えませんが、「何を与えて、何が返ってきたか」は観察できます。
この因果関係に注目することで、リーダーは自分のインプットを変化させながら、より良いアウトプットを引き出していけるのです。


そして、その因果を冷静に把握するために欠かせないのが「インディケーター(指標)」です。
感情や印象に頼らず、行動と成果の実態を測る“ものさし”を持つこと。これが、リーダーの視点を曇らせない鍵になります。

成果を重視することは冷たいことではない

ここまで読んで、「感情より成果を重視するなんて、冷たい」と感じた方もいるかもしれません。
ですが、よく考えてみてください。


組織として成果が出せなければ、その組織の存在意義が問われます。最悪なケースでは解散やリストラも起こります。


それ以上に、いまできることだけを許し、成果を生み出す行動が止まれば、部下の成長も止まります。
部下が「上司は自分たちの事を、わかってくれた」と満足しても、何も変わらなければ成果は出ません。


むしろ、成果に向けた行動を促すことこそが、部下の成長を後押しすることにつながるのです。
その先にこそ、部下自身の充実感や自信、成長の実感があります。
リーダーが成果にこだわるのは、冷たさではなく、「真の意味での優しさ」であると、私は考えます。

見える指標でマネジメントする

成果を出すリーダーにとって、インディケーター(見える指標)は唯一の「管理可能な情報源」です。
人の感情やモチベーションは測れませんが、行動や成果は測れます。リーダーはそれを見ずして、マネジメントすることはできません。


たとえば、以下のような指標が事例としてあげられます。
・行動指標:日報の提出率、報告頻度、会議での発言数、改善提案の件数、訪問数、顧客への提案数
・成果指標:案件の進捗率、売上実績、納期遵守率、エラー件数、顧客満足度スコア
・姿勢指標:フィードバックに対する反応速度、自主的な学び・申告内容、振り返り回数
重要なのは、「何を測るかを意図的に選び、測り続けること」です。


インディケーターの選択は、リーダーの価値観と視点そのものを映し出します。
逆に言えば、どんな指標を持つかで、チームの行動が変わるのです。


そして、リーダーはインディケーターをもとにインプットを調整します。
たとえば「会議で発言が少ない」という指標に着目したなら、「誰が発言しやすい空気を作れていないか?」「問いかけの質はどうか?」といった改善ができるでしょう。


こうした修正は、感覚ではなくデータにもとづいて冷静に判断できる点がポイントです。


結論として言い切ります。

リーダーは、インディケーターを選び、使いこなすことでしか成果を出すことはできません。
経験や直感は大切ですが、それは指標で裏付けられてこそ意味を持ちます。
インディケーターは、リーダーにとって“見るべき現実”を定める羅針盤なのです。

まとめ

リーダーの役割は、部下の成長を促進し、チームを横断して成果を最大化すること。
リーダーの責任は、成果を出し続けることにある。


人はブラックボックス。だからこそ、内面を変えようとせず、インプットとアウトプットに目を向ける必要がある。


感情に共感することは大切だが、優先すべきは「成果」である。
なぜなら、成果は部下の成長と充実をもたらすものだから。


見えるインプットとアウトプット、そしてインディケーターによる計測と判断。
この3つの視点を軸にすれば、人の内面に深入りせずとも、チームは動き、成果は上がります。


成果とは、偶然ではなく「見えるものを見て、変えられるものを変える」ことの積み重ねです。
リーダーが見るべきものは、感情の奥ではなく、数字と行動の変化です。


リーダーとは、人の中身を変えるのではなく、成果につながる行動を引き出す関わり方を探り続ける存在である。
この視点を持つことで、あなたのリーダーシップは、より揺るぎないものになると考えます。

行動を変えたいのなら「視点」を変える

「問題が発生したのと同じ次元では、その問題を解決することはできない。」
これは、物理学者アルベルト・アインシュタインの有名な言葉です。問題の本質は、多くの場合、出来事そのものにあるのではなく、「その出来事をどのように見ているか」に隠れています。


この考え方は、ビジネスやマネジメントの現場でも非常に示唆に富んでいます。特にリーダーの仕事においては、「視点」に注目することが極めて重要です。なぜなら、メンバー一人ひとりの行動や判断は、「何をどう見ているか」によって決まるからです。


行動を変えるには、視点を変える必要があります。そしてその変化を導けるのが、リーダーという存在だと考えます。


この記事では、「リーダーの仕事とは、チームの視点を変えることである」というテーマのもと、視点がどのように行動や成果に影響するのかを示していきます。

行動の選択は、どの視点で物事を捉えるかで決まる

冒頭で示したように、人の行動は「事実」そのものではなく、「その事実をどう捉えたか」で決まります。


たとえば、営業目標を達成できなかったとき、「自分の努力が足りなかった」と考える人もいれば、「商品力が低いから仕方ない」と感じる人もいます。どちらの捉え方をするかで、その後の行動は大きく変わります。


前者の視点では、「次は工夫してみよう」「お客さまの声をもっと聞こう」といった改善行動が生まれます。一方、後者の視点では、他責になり、「どうせ頑張っても無理だ」といった諦めが先に立ちやすくなります。


つまり、私たちは現実に反応しているのではなく、「現実をどう見ているか」に反応しているのです。
このように、視点が変われば行動が変わる。だからこそ、リーダーは「部下の行動を変えたい」と思ったときには、まず「その人の視点」に注目する必要があります。

目的を達成するための行動の選択は、現状の捉え方で決まる

「なぜ、この行動を選んだのか」という問いに対し、人はたいてい「今の状況ではこれしかない」と答えます。


これは裏を返せば、「現状の捉え方」によって、選べる行動の幅が決まってしまっているということです。


たとえば、ある部下がなかなか相談に来ない、報告が遅れる、といった行動を取っていたとします。リーダーが「やる気がないのだろう」「主体性が足りない」と決めつけると、その部下への関わりは叱責や注意中心になりがちです。


しかし、ここで視点を変えて、「この部下は、もしかすると自分に対して話しかけにくさを感じているのではないか」「過去のやり取りで委縮させてしまったのではないか」と捉え直してみると、まったく違う現実が見えてきます。


実際に振り返ってみると、以前の会話で無意識に強い口調で返していたり、否定的な反応をしていたことに気づくかもしれません。そこで、リーダーの方から歩み寄ることで、部下の行動は徐々に変わっていきます。


このように、リーダー自身が視点を切り替えることで、部下の行動の“意味”を理解できるようになり、関係性の改善や信頼構築につながります。


このように、目的を達成するためには、現状の捉え方=視点が重要なカギになります。視点が固定されたままだと、行動はいつも同じになり、成果も変わらないのです。


リーダーは、チームが「現状をどう捉えているか」を常に観察し、必要に応じて視点の転換を促すことが求められます。

同じ視点で捉えていて、問題が解決しないなら視点を変える

問題が長期間にわたって解決しないとき、多くの人は「もっと努力すべきだ」「やり方がまずかった」と考えます。


もちろん努力や方法論の見直しも重要ですが、それ以前に考えるべきなのは「そもそも私たちはこの問題をどう見ているのか」という視点の部分です。


心理学では「認知の枠組み(フレーム)」という考え方があります。これは、私たちが物事を理解し、意味づける際の“ものさし”のようなものです。


たとえば、「売上が下がっている」という事実があったとして、「チームのやる気が低いからだ」と捉えるのか、「市場が変化しているのに対応できていないからだ」と捉えるのかで、打つべき施策は大きく異なります。


同じ枠組みのままで、何度も同じ問題にぶつかっているなら、それは「行動の限界」ではなく、「視点の限界」かもしれません。


リーダーが持つべき問いは、「もっと頑張るにはどうすればいいか」ではなく、「この問題を別の角度から見たら、何が見えるか」です。

対立は、各々の視点のぶつかり合いである

職場で起こる対立の多くは、価値観や性格の違いというより、「物事の見え方の違い」から起こります。


たとえば、部下Aは「スピード重視」、部下Bは「丁寧さ重視」。この二人が一緒にプロジェクトを進めると、「なぜそんなに急ぐの?」「なぜそんなに時間をかけるの?」という不満がぶつかり合います。


これは、どちらが正しい・間違っているという話ではありません。あくまで「見ている景色」が違うだけなのです。


リーダーがやるべきことは、この対立を解消するために「共通の目的」を再確認させること。そして、各々の視点に意味があることを認めながら、視点の“重なり”を探すことです。


この作業には時間がかかるかもしれません。しかし、それを怠ると、根本的な誤解が解けないまま、表面的な折衷案だけで物事を進めてしまうリスクがあります。

葛藤も自分、または組織固有の視点のぶつかり合い

「やりたいけど、できない」「進めたいけど、不安がある」――こうした“葛藤”もまた、視点の衝突によって生まれます。


たとえば、ある社員が「新しい提案をしたい」と思っているのに、なかなか行動に移せないとします。その内面では、「自分のアイデアには価値がある」という視点と、「失敗したら評価が下がる」という別の視点がぶつかっているのです。


組織全体でも同じことが起きます。「変革すべきだ」と感じながらも、「今の仕組みを壊すのは怖い」といった葛藤は、視点の複数性から生じています。


リーダーは、このような葛藤の背景にある「対立する視点」を丁寧に言語化し、バランスのとれた捉え方に導く必要があります。


具体的には、「失敗しても挑戦が評価される風土」をつくったり、「どんな視点も一度は受け止める対話の場」を設けたりすることで、葛藤を前向きな力に変えることができます。

おわりに:視点を変えることで、チームは変わる

リーダーは、チームを先導すると同時に、チームの“見方”を変える存在でもあります。
視点を変えることは、価値観を揺るがす行為でもあるため、決して簡単ではありません。抵抗があるのも当然です。

しかし、視点を変えることでしか、乗り越えられない壁があるのもまた事実です。
行動を変えるには、まず視点を変える。


チームを変えたいなら、チームが世界をどう見ているかに寄り添い、その見方を少しずつ拡張していくこと。それこそが、リーダーに求められる最も繊細で重要な仕事です。

責任とは能力を示すもの            ~責任を楽しむ~

「責任」という言葉を聞くと、多くの人が「責任を取らされる」というネガティブなイメージを抱きがちです。特に、何か問題が起こったときに責任を問われる場面が多いため、責任を避けたいと考える人も少なくありません。

しかし、責任とは単に負担を強いられるものではなく、「責任を取る能力がある」ということを示すものです。

責任のない仕事は存在しない

責任を伴う仕事を嫌がる人もいますが、実は責任のない仕事というものは存在しません。唯一、あるとすれば、それは全てを他人や環境のせいにすることです。

しかし、それでは主体性を失い、自らの成長の機会を放棄することになります。


例えば、ある企業の新入社員Aさんは、「自分はまだ新人だから責任のある仕事はしたくない」と考えていました。しかし、先輩社員の指示通りに動いていたある日、ライバル製品を使用しているクライアントに、自社の新製品のサンプルの送付を依頼されました。

ところが、新製品ではなく、ライバル社製品に性能として劣る、既存製品を送付してしまいました。結果は、自社の契約は取れませんでした。


Aさんは「先輩が最終確認をしてくれなかったから」と言い訳をしましたが、クライアントにとっては「誰のミスか」は関係ありません。結果として、契約は取れませんでした。


契約が取れなかった責任は、先輩社員が負いましたが、Aさんも、発注ミスの責任を上司から指摘されることになりました。


ここで、Aさんがその責任を自分事として捉えられれば、良いのですが、他責にしていれば、恐らく、仕事は減っていくと考えられます。


責任を取らない人には、仕事を任せられないからです。

最低限の責任とロボットのような働き方

それでも、責任の範囲を最小限にしようと考えた場合、指示に従うだけの仕事が想定されます。そこからさらに責任を減らそうとすれば、もはやロボットと変わりありません。

ロボットであれば、何か間違いが起これば、それは指示を出した側のミス、部品の不具合、またはメンテナンスの問題として処理されます。

つまり、自らの判断が必要ない仕事には、本来の意味での責任が伴わないのです。そして、そのような仕事はロボットに任せる方が、効率も良くなります。

責任が重い仕事は敬遠すべきか?

このように説明すると、「責任を取りたくないのではなく、重い責任のある仕事はしたくない」と考える人もいるでしょう。

それは確かに一理あります。しかし、責任が重くなるほど、権限も大きくなり、それに伴い収入も増えるのが現実です。会社においても、責任の大きいポジションほど、決定権があり、報酬も高くなります。


また、企業のリーダー職にある人は、部下の育成や経営戦略の立案など、大きな責任を担います。しかし、その分、自分の裁量で仕事を進めることができるだけではなく、仕事を通して学ぶ機会が増えます。

そして成果を出せば評価も高まり、収入も増えます。責任を負うことは、自己成長の機会であり、より良いキャリアを築くための重要なステップなのです。

責任を受け入れ、自らの可能性を広げる

ここで問いかけたいのは、「あなたはどれだけの権限を得て、どれだけの収入を得たいですか?」ということです。責任、役割、収入は切り離して考えることはできません。

どんな仕事をしたいのかを真剣に考えたとき、責任を「能力を発揮する力」だと捉え、積極的に責任に向き合う姿勢が求められるのではないでしょうか。


昨今は、起業が進められています。起業家は全ての責任を自分で負う覚悟がなければ起業そのものが上手くいきません。そして、経営がうまくいけば成功の果実を手にできますが、失敗すれば全てのリスクを自分が背負うことになります。

しかし、起業家たちは「自分の責任で自由にビジネスを進められる」ということに魅力を感じ、それに挑戦するのです。


さらに、それだけではなく、責任を自分で負うという姿勢が、起業のプロセスの中で、ビジネスを学ぶだけでなく、人としての成長も得られます。


責任を避けるのではなく、それを自らの力の証明と考え、前向きに取り組むことで、より充実したキャリアと人生を築くことができるはずです。責任とは負担ではなく、自己成長のチャンスだと考えてはいかがでしょうか。

困難に立ち向かう時だけがリーダーではない      ~日々の何気ない判断・決断こそが大きな違いを生み出す~

判断の難しい場面での決断力が重要なのは誰でも分かっています。しかし、普段の何気ないリーダーの決断の良し悪しの積み重ねが、後日大きな変化につながることを、多くのリーダーは気づいていません。


そして、この普段の何気ない判断の良し悪しが、難しい問題を生むことに繋がっていることも多くのリーダーは気づいていないのかもしれません。


普段からの決断力・判断力を磨くことが実は大切であるということを意識していますか?
本記事では、決断力・判断力を磨くための具体的な方法やフレームワークを紹介します。難しくはありません。読者の皆さんは既に知っている内容がほとんどかもしれません。
しかし、その実践を日常的に実行しているかが重要なことだと考えます。

効果的な意思決定のためのフレームワーク

まず、効果的な意思決定をサポートするために役立つフレームワークをいくつかご紹介します。
1-1. 3C分析
3C分析は、ビジネスの現状を整理するために「顧客(Customer)」「競合(Competitor)」「自社(Company)」の3つの観点から状況を把握します。日常でも、これを応用することで効果的な判断が可能です。


実践例:
• 問題: 新しいプロジェクトの優先順位を決める。
• アプローチ: 顧客のニーズを調査(Customer)、競合の状況を確認(Competitor)、自社のリソースを評価(Company)。
• 結果: 顧客満足度が高く、競争力を強化するプロジェクトに注力。


この実践例の他にも、ビジネスの世界では、自分(自社)と顧客とライバル(競合)しかいないと考えれば、あらゆるビジネスシーンでこの3Cを使うことができます。

自分の事だけを考えて商談を進めて、顧客のことを忘れていたり、目の前にライバルの存在が見えないからと言って、ライバルの事を考えなかったりせずに、モレなくダブリなしで情報を分析することが可能になります。

1-2. SWOT分析
SWOT分析は、物事を「強み(Strength)」「弱み(Weakness)」「機会(Opportunity)」「脅威(Threat)」の4つの要素に分けて整理する手法です。


実践例:
• 問題: 部署の年間計画を立てる。
• アプローチ: 部署の強みと弱みをリスト化し、外部環境の機会と脅威を整理。
• 結果: 強みを活かしてチャンスを最大化し、弱みを補う計画を立案。


このSWOT分析も日常的に是非、使いたいフレームワークとして取り上げました。その背景には、世の中のどんなことにも、裏と表があります。ヨコがあればタテがあります。


つまり、強みがあれば、必ず弱みがあるということです。機会があれば必ず脅威もあるということです。もちろん、この逆もあります。


ところが、普段の何気ない決断や判断では、これらのどれかが抜け落ちてしまっていることがあります。強みと弱み、機会と脅威をセットで情報を捉える習慣を持っても良いのではいでしょうか

1-3. 重要度と緊急度のマトリックス(Eisenhower Matrix)
重要度と緊急度のマトリックスは、タスクを「重要度」と「緊急度」の2軸で分類し、優先順位を明確にする手法です。


実践例:
• 問題: 日々の業務が多忙で、どれに集中すべきか分からない。
• アプローチ: タスクを「重要かつ緊急」「重要だが緊急でない」「緊急だが重要でない」「緊急でも重要でもない」に分類。
• 結果: 「重要かつ緊急」なタスクを最優先で取り組み、重要だが緊急でないタスクの計画を立てる。


多くの人は、目の前の事を最重要に捉えてしまいます。これは本能的なものです。それゆえに、ほっとくと目の前のことを重要で直ぐに対応すべきこととして捉え、日々忙しく働くことになります。


しかし、本当に、目の前のことが重要かつ緊急度の高いことなのでしょうか?それは、このマトリックスで整理しなければ分かりません。


そして、最も重要なのは、あなたが望むゴールの達成にあると思います。そのゴールの達成に向けての、重要度と緊急度のマトリックスのなかで、活動の優先順位をつけていくことが、大切であるように考えます。

1-4. PDCAサイクル(Plan, Do, Check, Act)
PDCAサイクルは、継続的な改善を促すフレームワークとして知られています。一度の決断で完璧を目指すのではなく、改善を前提にした行動がポイントです。


実践例:
• 問題: チームのミーティング効率を向上させる。
• アプローチ: ミーティング時間を短縮するプランを作成(Plan)、試行実施(Do)、参加者からフィードバックを収集(Check)、次回に反映(Act)。
• 結果: 効果的でスムーズなミーティング運営を実現。


変化の激しい現代において、完璧を求めることは不可能であると思います。また多様性の時代においても、様々な判断が考えられます。


そんな時代であるからこそ、行動が重要になります。行動を通して、最善の道を見つけるアプローチの基本的な姿勢が、PDCAの考え方にあります。


そもそも完璧な計画や行動は無い。望む結果が出たとしても、それが継続するとは限らないとして、日々改善する姿勢が今の時代は求められます。


世のなかに失敗は無い、全てが途中経過である。すべてはテストだという姿勢がPDCAにはあると思います。

判断力を養うためのトレーニング方法

判断力は生まれ持った才能だけでなく、これまで紹介したフレームワークを使いながらのトレーニングによって鍛えることができます。
以下には、フレームワークを使うことを前提としたトレーニング方法を示したいと思います。


2-1. シナリオ分析
想定されるリスクやチャンスを事前に分析する練習を行いましょう。例えば、重要なプロジェクトに対して「最悪のシナリオ」と「ベストなシナリオ」を書き出し、それに基づいて意思決定を進めます。


SWOT分析の項でも触れましたが、全ての事には、良いケースがあれば、悪いケースもあります。そして、未来に起きることは、分からないのが真実です。完璧な想定は不可能ですが、あらかじめシナリオ描くことを練習することは、反応的で衝動的な判断・決断からゴールに向かって進むことを可能にする行動を導いてくれます。


2-2. ロールプレイング
チームメンバーとともにロールプレイングを実施することで、多角的な視点からの意思決定を体験できます。


実践例:
• 想定課題: クレーム処理の方法。
• アプローチ: メンバーが顧客役、リーダー役に分かれて対応方法を議論。
• 結果: 顧客満足度向上のための具体策が浮き彫りに。

シナリオ分析と同時に、ロールプレイングをすることで、起きうることをリアルに描き出す効果があります。


2-3. リフレクション(内省)
過去の判断を振り返り、どこが良かったか、どこを改善できたかを分析する習慣をつけます。成功事例だけでなく、失敗事例も学びの材料になります。


要は、PDCAを習慣化することで、当たり前のように自然に振り返ることが可能になります。その中で、日誌は日々の行動を振り返る効果的なツールと言えます。

判断力を高めるリーダーの習慣

3-1. 情報収集力を鍛える
常に新しい情報を取り入れることは、適切な判断を下す基盤となります。業界関連の読書やポッドキャスト、セミナーへの参加を習慣化しましょう。


3-2. 異なる意見に触れる
賛同ばかりの意見では視野が狭くなりがちです。意見が対立する場面こそ、自分の視点を広げるチャンスと捉えましょう。


3-3. 短時間で情報を整理する練習
「10分メモ法」を活用して、情報を簡潔に整理し、速やかに結論を出すスキルを磨きます。

結論

今回紹介したフレームワークやトレーニングは、難しい判断や問題解決のためだけでなく、普段の何気ない判断力や決断力を養うために活用することができます。その積み重ねが、組織全体の成長を促し、大きな成功へとつながるのです。


日々の小さな選択を大切にし、その一つひとつを成長の機会として捉えてください。あなた自身の判断力が磨かれることで、組織全体がより強固な基盤を持つようになります。


明日からできる3つのアクションプラン:

  1. 意思決定フレームワークを一つ選び、日常の小さな課題で試してみる。
  2. チームで日常的な判断を振り返るミーティングを設ける。
  3. 過去の些細な判断を振り返り、その積み重ねがどのような結果をもたらしたかを考える。
    日常にこそ成長の鍵があります。今日から一歩踏み出してみませんか?あなたの決断力が、未来の大きな変化を生み出します。

脆弱な「土台」では、             人生もビジネスも上手くいくはずがない

土台(基礎)とは何か?人生やビジネスにおける重要性を考える

私たちはよく「土台が大事だ」と言われます。しかし、人生やビジネスの土台とは具体的に何を指しているのでしょうか?家を建てる際の基礎のように、目に見えない部分にこそ時間と労力をかける必要があるといわれますが、それは人や事業にも当てはまるのでしょうか。


この記事では、人生やビジネスにおける「土台」とは何かを問いかけながら、その本質について考えていきます。

人生の土台とは何か?

人生において、土台とはどのようなものを指すのでしょうか?それは、おそらく以下のようなものではないかと考えます。


存在目的:自分がなぜ生きているのか、どんな人生を送りたいのかという問い。
ビジョン:人生を通じてどのような影響を与えたいのか、何を目指しているのか。
価値観や信念:自分の行動や選択を方向づける基準となるもの。


これらがしっかりと確立されていれば、人生における選択や行動に一貫性が生まれます。一方で、これらが欠けていると、目先の成功や失敗に一喜一憂し、本当に大切なことを見失ってしまうように思います。


例えば、就職で会社を選ぶ場合に、規模や収入、そして知名度を基準にして決断すると、入社してから、こんなはずではないかったと後悔する可能性があります。逆に、自分の価値観やビジョンに基づいて選んだ仕事や会社は、たとえ困難があっても納得感を持って取り組むことができます。

ビジネスの土台とは何か?

ビジネスの世界でも、土台が重要です。多くの成功企業がその基礎において大切にしているのは、以下の要素です:
存在目的(ミッション):なぜこの事業を行うのか。
ビジョン:将来どのような世界を作りたいのか。
理念や価値観:社員や顧客との関係性をどう築くか、何を重視するか。


例えば、ある企業が短期的な利益だけを追求してしまうと、顧客や社員の信頼を損ね、結果として持続的な成長が難しくなります。一方で、明確なミッションや価値観を持ち、それに基づいた意思決定を行う企業は、多少の困難があっても長期的には成功を収めやすいということが分かっています。

土台は、新たに築き上げないと出来ないものか

私たち一人ひとりには、人生やビジネスにおける土台となるものが備わっています。それは、価値観、ビジョン、信念、そして存在目的といった深い部分に根ざしたものです。

しかし、多くの場合、この土台が無意識に存在し、しかも短期的な視点でしか考えられていないために、次のような課題が生じます。


短期的な視野に陥る:目先の成果や課題に追われ、本質的な目的を見失う。
可能性を広げられない:柔軟性や長期的な視点が欠如し、新たなアイデアや成長のチャンスを逃す。
一貫性の欠如:行動や意思決定が目前の出来事によって変化するので、長期的な視点からは一貫性を欠くことになる。

最も大きな問題点は、短期的視点から出れない事

そして、最も大きな問題は、短期的な視野で捉えることが、直ぐに成果につながりやすいことです。
短期的な視野で物事を捉えることは、人生やビジネスにおいて一見魅力的に見えます。目に見える成果が早く得られるため、モチベーションを高める効果があります。


この成功体験がすべての人にはあると考えて良いでしょう。それ故に、多くの人は、人生やビジネスの成功には、長期的視点にたった「土台」の必要性を理解しますが、その土台ではなく、短期的で無意識な「土台」の中で、行動しようとします。


人生においても、会社においても、存在目的やビジョンを描いても、それが絵に描いた餅になる理由がここにあります。

土台を築くために必要なこと:真の自分を見つける方法

人生やビジネスにおける土台を築くことの重要性は、すでに多くの人が理解しています。しかし、それを明確にするのは簡単なことではありません。

そして、安直に他人や他社の成功例を真似してしまい、自分自身や自社の独自性を知らないうちに見失うことは少なくありません。

真似では得られない、真の土台
他の成功例を参考にすることは悪いことではありません。しかし、それが行き過ぎると次のような弊害が生まれます:
• 独自性の欠如:他者の方法をそのまま取り入れると、自分自身や自社の強みが埋もれてしまう。
• 違和感:本来の価値観や信念に合わない行動を取ることで、成果が出にくくなる。
• 依存的な思考:他者の成功に頼るばかりで、自分自身の道を切り拓く力が育たない。


真の土台は外から借りてくるものではなく、自分自身や自社の内側から引き出すものです。そのためには、潜在意識の中に眠る自分だけの答えを見つける必要があります。

結論

人生やビジネスにおける「土台」とは、「存在目的」「ビジョン」そして「理念・価値観」といった根本的な指針と言えます。


これらが明確に腹に落ちていることで、目先の短期的な出来事や目標に振り回されることなく、真に望む人生に向かって本当に大切なことを最優先に据えることができます。


知識や技術は目に見えるので、分かりやすく、比較的短期間で身につけることが可能です。しかし、「土台」がしっかりしていなければ、そもそもどんな知識や技術が必要なのかも、その場しのぎになり、本当に必要なものが身につかない事も起こり得ます。


仮に、身につけられたとしても、真に望む方向ではない使い方をしてしまうことも多くの事例で明らかです。


逆に、しっかりとした「土台」のもとで、知識や技術を学べば、確実に自分のものにでき、人生やビジネスも真に望む成果を得ることができます。


「急がば回れ」ということわざにあるように、薄っぺらな「土台」に家を建てるよりは、しっかりとした「土台」に家を建て、真に望む幸せを手に入れましょう。

読書はAI時代に必須の習慣です

最近、本を読まない人が増えているように思います。若者だけでなく、若年層から高齢者に至る、全ての年代で広がっているようです。


それも仕方がないことなんかもしれません。本の少し前までは、活字から得る情がほとんどで、それをテレビやラジオが補っているという時代がありました。昭和の時代ですね。


ところが、今、インターネットやスマートフォンの普及により私たちは日々、圧倒的な量の情報に触れています。そんな状況では、すぐ手に入る本以外のところから情報を得るのは自然なのかもしれません。


しかし、読書は他のメディアとは異なる特別な効用を持っています。特に、創造力や思考力を養うために読書は非常に有効な手段であると言えるでしょう。今回の記事では、読書の持つ効用について考察し、具体的な事例を交えてその価値を深掘りします。

文字から自由なイメージを生み出す力

読書の最大の特徴は、文字を通じて読者が自由にイメージを膨らませられる点です。文章に描かれる風景や人物、出来事は、読む人の心の中で形を作り、独自の世界を構築します。

これに対して映像メディアは、具体的で膨大な情報を視覚的に与えるため、視聴者がそのまま受け取ることが多く、創造の余地が限定されがちです。


例えば、ハリー・ポッターシリーズを読んだ読者は、それぞれ異なるホグワーツのイメージを持っているかもしれません。魔法の学校や登場人物の容姿、雰囲気は、読者一人ひとりが自身の経験や感性を基にして形作るためです。

一方で映画版を観ると、視覚的に与えられる情報が強力である分、その余地は減少します。このように、読書は読者の想像力を刺激し、言葉の背景にある情景や感情を自ら作り上げる訓練を与えてくれます。

行間を読む力

文章は単なる文字の羅列ではなく、行間に隠された意図や感情を含んでいます。読書を通じて私たちは、書かれていない部分に想像を巡らせる力を養うことができます。

この力は単に物語を楽しむだけでなく、日常生活や仕事の中で、相手の真意を読み取るスキルにもつながります。


たとえば、推理小説を読む際には、登場人物の会話や行動の裏に隠された動機を考えたり、伏線を見抜いたりする必要があります。

アガサ・クリスティの作品に触れると、あえて曖昧にされた表現や小さなディテールから真相を見抜くという知的な挑戦が楽しめます。

このような体験は、文章を深く読み解く能力だけでなく、他者の言葉や行動を理解する洞察力をも育てるのです。

読書と共感力

さらに、読書は他者の視点に立つ力を育むのにも役立ちます。例えば、戦争体験記や異文化についてのエッセイを読むことで、異なる時代や社会の価値観を体験できます。

アンネ・フランクの『アンネの日記』は、ナチス占領下でのユダヤ人少女の視点から、戦争の恐怖と希望の力を伝えています。このような本を読むことで、直接体験することが難しい状況に対しても共感を持つことができるのです。

AI時代における読書の価値

現代はAIが多くの分野で活躍し、私たちの生活を支えています。しかし、AIは基本的に与えられたデータを処理する能力に特化しており、人間のような創造力や感性を持つわけではありません。

これからの時代、AIには代替できない人間の能力として、思考力、想像力、そして創造力がますます重要になります。


たとえば、AIは膨大なデータを分析して最適解を提示することは得意ですが、ゼロから物語を創作したり、行間を読んで感情的なニュアンスを理解することは苦手です。

読書はこうしたAIには真似できない能力を伸ばすための最適な手段です。創造力を鍛えるだけでなく、AI時代において差別化を図るための重要なスキルを身につけることができます。

このように読書から自分自身を高めてきたのは、歴史上の偉人からAI時代の真っただ中の現在まで多くの成功者が名を連ねています。

たとえば、アメリカのリンカーン大統領は独学で法律を学びましたが、その基盤には膨大な読書がありました。彼は本を通じて知識を得ただけでなく、論理的思考力や他者を説得する力を磨きました。


また、現代のビジネスリーダーの中にも、読書を習慣としている人が少なくありません。マイクロソフトの創業者ビル・ゲイツは、年間50冊以上の本を読み、それを自身のブログで紹介しています。彼は読書を通じて新しい視点を得ることで、革新的なアイデアを生み出してきました。

結論

読書は単なる情報の取得手段ではなく、人間の本質的な能力を鍛えるツールです。自由なイメージを描く力、行間を読む力、そして他者への共感力を通じて、私たちの思考力や創造力を深めてくれます。

また、歴史上の偉人や現代の成功者たちの事例からもわかるように、読書は自己を成長させるための強力な手段です。

AI時代だからこそ、読書を通じて自分自身を磨き、他にはない価値を発揮することが重要です。一冊の本を手に取ることが、あなたの未来を豊かにする第一歩になると考えます。

今日は、昨日の自分を超える

皆さんは、ワクワクするような目標を設定し、「今回は、必ずこの目標を達成するぞ!」と思いながら、いつの間にか、その目標を忘れてしまっているということがありませんか?

または、達成に向けて行動を開始したのは良いですが、思うような結果が出せず、挫折することもあると思います。

このようなことはどうして起こるのでしょうか?

その原因の一つは、「目標に囚われてしまった事」にあります。例えば、減量を目指してダイエットを始めた人が、体重計の数字が思うように減らない事で、諦めてしまうようなことはありませんか。

ビジネスで例えるのなら、年初かかげた、高い営業目標に向かって進み始めても、思うようには数字が伸びてこないと、この市場環境では無理なんだと、言い訳を交えて、諦めてしまう。

では、どうすればこのような挫折を避け、目標を達成できるのか?その答えは、「今日は、昨日の自分を超える」という考え方にあります。

今日は、昨日の自分を超えるとは?

「今日は、昨日の自分を超える」という目標設定は、シンプルでありながら強力なアプローチです。 これは、大きな目標に向かって一歩前進するための方法です。 日々、自分と自分自身を見据えて、昨日の自分よりとりあえずでも前進することを目指します。

昨日は、営業の為の顧客のアポイントを、リストをもとにひたすら電話をかけまくった。でも今日は、電話をかけた相手に、警戒心を持たせないように工夫した。というように、日々の行動に意識を向ける。

この方法の利点は、結果に対するプレッシャーから解放されることです。私たちは、自分自身と比べて、自分にしかコントロールできない目標を設定することができます。

目に見えなくても、昨日より今日、少しでも成長している自分を認識することができるため、モチベーションも維持しやすくなります。

目標よりも行動に焦点を当てる

多くの人が大きな目標を立て、それを達成することを夢見ます。 新しいスキルを習得する、昇進する、体重を減らすなど、目標自体はとてもポジティブなものです。

しかし、目標が高く、直ぐに成果が望めないような場合には、日々の行動をむなしく思えてくることもあります。

そうではなく、「自分を超える」という目標を掲げて、日々の行動に意識を向けることができるようになることで、目標に向かう途中のプロセスを楽しむことができるようになります。

成功への近道:「目標を忘れ、行動に集中する」

「昨日の自分を超える」ことを目標にするという考え方は、一見遠回りに感じられるかもしれません。 しかし、実際にはこれが成功への最も近い道となります。

その理由は、当たり前の話ですが、行動しなければ目標は達成できません。しかも、目標が達成できる行動でなければ、目標は達成できません。

結果だけに囚われ、結果を出す行動が出来ているか、出来ていないかに意識が向かず、行動から生み出される結果に意識が向き、行動の改善ができない。

日々の行動を変えていくことに集中することで、目標に縛られすぎず、柔軟に対応する力を育むことができます。

例えば、ビジネス面でも同じことが言えます。 大きな収益目標を立てたとしても、日々の営業活動や顧客対応に力を入れることが結果を生む鍵です。

もし目標達成にこだわりすぎると、数字に一喜一憂するだけで、いわゆるPDCAがおろそかになる。

しかし、「昨日の自分を上回る」ことに集中すれば、常に小さな改善を繰り返しながら、結果的に大きな成功を手にできることができます。

終わり

成功への道のりは決して平たんな道のりではありません。目標を設定して、それに向かって前進する中で、思い通りにいかないことも多々あるでしょう。

でも、思い通りにいかないことを、ほんの少し改善させる行動そのものを楽しむことで、日々の充実感とともに、確実に前進することができます。

大きな目標を目指しながらも、今日の自分が昨日の自分よりも少しだけ成長しているかどうかを見つめながら進む。その積み重ねこそが、戦略設定した目標を超えるような成果をもたらします。

目標を忘れるわけではなく、それに縛られない自由な心で、日々の行動を大切にすることが成功への近道となるのです。

この方法を実践することで、あなたもきっと目標を超える成果を手に入れることができるでしょう。 そして、その時には、目標を達成する喜び以上に、自分自身が成長したことへの達成感を感じる、それこそが、人生における真の成功と言えると思います。