社員のパフォーマンスを最大化させる為のメンタルの持ち方

経営者の皆さんのほとんどは、社員のパフォーマンスを最大化したいと考えてると思います。そして、それが上手く進んでいるところと、思うように進んでいないところもあると思います。

上手く進まないのはなぜなんでしょうか?

社員にやる気が無いからでしょうか?

その原因が、経営者である皆さんの考え方や感情の持ち方にあるとしたら、これから先が明るくなってこないですか。

なぜなら、過去と他人は変えられないけれど、自分自身はあなたの力で変えることが可能なのですから。

そこで、今回のテーマは社員のパフォーマンスを最大化する為の、経営者が持つべき考え方や感情、つまりメンタルの持ち方について示していきます。

本題に入る前に、皆さんに聞きたいことがあります。

皆さんは社員に求めていることは、あなたの指示通りに動く忠実なロボットですか?

それとも、目標に向かって主体的に動く人ですか?

 このどちらが正しいということを議論したいわけではありません。皆さんが社員に求めているのはどちらかなのかを、皆さん自身が知っておく必要があることを伝えたいのです。

 なぜならば、実は忠実なロボットを求めているのに、表面的には主体性を求めているとしたら何が会社の中で起こるでしょうか?

 おそらく、普段は社員に対して、「主体的に自分で考えて行動することが大切だ」という事を様々な機会に言っていると思います。

 ところが、現場で社員が主体性を発揮すると、「何で指示を待たなかったのか」「勝手に動くんじゃない」などと注意するということが起きているかもしれません。

 この逆もあります。実は主体性を求めているのに、社員に考える時間を与えずに、具体的な指示を社員が考える前に出してしまう。

 いずれにしても、言動不一致になり、社員も経営者である皆さんもストレスを抱えることになります。

 社員に、皆さんの言うことを忠実に実行するロボットを求めてはいけないと言っているのではありません。

 社員に求めていることを、皆さん自身が自覚しているということが大切なんです。それがパフォーマンスを最大化する第一歩になるかもしれません。

 そして、本題に入っていきます。まず意識しなければならないことは、社員は人だということです。「当たり前のことを言うな」とお𠮟りを受けそうですが、ここのところ忘れている方が多いのも事実です。

 人であるということは、感情があるということです。ところが仕事だから感情は持ち込んではいけないと考えている方がいるということなんです。

 もちろん、経営者である皆さん自身も仕事に感情は持ち込んではいけないと考え、社員にもそれを求めているかもしれません。

 ところが、人であるということは感情をどんな時でも、切り離すことはできないということです。感情を出してはいけないと思っても出てしまうのが感情です。

 モチベーションのようなポジティブな感情は出したいが、怒り、悲しみ、不安などは出したくないと思っても無理だということです。

 なので、パフォーマンスを最高に持っていくためには、人の感情を意識することが必須になります。

上の図は、人が外界(自分自身の外側)から情報を受け取り、それを認識して行動に移し結果にいたるプロセスを示しています。

 まず、人は外界からの情報を脳で認識します。外界の情報には様々なものが含まれます。出来事はもちろんのこと、今置かれている環境や他人の言動もすべて外界の情報です。

 脳での認識によって、ひとは意味づけを行います。例えば、売上データを見て(認識)売上が落ちている、上がっている。5%落ちている、5%上がっているなどの意味づけが行われることになります。

 そしてその意味づけは続き、「このままではまずいぞ」とか「よく頑張った」とかと続き、感情が動かされることになります。不安、恐怖、感動、喜びといった感情が沸き上がります。この感情は行動の質に影響します。

 感情が行動の質に影響を与えるので、モチベーションが大事だとか、ネガティブな感情を持ってはダメだとかという発想になるわけです。

 一方で、認識から意味づけに至った後は、行動の内容や量の選択が始まります。5%売上がダウンしている。このままではまずい、顧客への訪問頻度をこれまでの倍に増やそう。という具合に行動の内容と量を決めていくわけです。

 そして、この行動が結果を生みます。この結果はまた外界の情報の一つになるというプロセスが常に回っていることになります。

 言い方を変えると、結果は過去の行動により生まれた情報の一つだと言えます。その結果を最高の結果にする為には、結果に至る行動を最高にすることが必要条件になることがこの図を見れば分かると思います。

 つまり、最高の結果を求めるのであれば、最高の行動をすることが必要になります。結果に意識を向けるのではなく、行動に意識を向けて、日々最高の行動を実践することが求められることになります。

 ところが、人は結果に一喜一憂してしまいます。良い結果が出れば喜び、悪ければ怒りや落胆した感情が沸き上がる。この感情は自然であり人らしい感情として必要だと思います。問題はこれが長引き次の行動に悪い影響を与える場合です。

 結果によって感情が動かされ、それが悪い影響を及ぼす場合の要因として、人の価値と結果を同じと考えてしまうことがあります。

 「お金持ちは偉い人だ」「社長は偉い人だ」「売上を上げられる人は偉い人だ」逆に「お金が無いのはダメ人間だ」「平社員は社長よりレベルが低い」「売上が低い社員は無能だ」

などと考えてしまうということです。

 すこし冷静に考えれば分かると思いますが、結果と人の価値が同じと考えるのは間違いです。人の価値は結果に関わらず、平等に大切で価値があるものです。

 なので大切なのは、「結果と人の価値は一緒にはならない」と意識することです。分かっていても、つい結果と人の価値を一緒にして、目標数字が達成できないと落ち込んでしまったり、目標が達成すると必要以上に自信を持って。いわゆる天狗になってしまうことはあると思います。

 一度できた思い込みは簡単には変えられません。しかし、「結果と人の価値は一緒にはならない」ということを日ごろから意識することが、単に理解から実践へと移行させていきます。

そして次に意識したいことは「過去と他人は変えられない。未来は分からない」ということです。

 結果と人の価値を一緒だと思う人は、過去を変えようともがいているかもしれません。他人を自分の思い通りに動かそうとしてもがいているかもしれません。

 過去は変えられません。但し過去から学ぶことはできます。未来のことは誰も分かりません。但し、望む未来に向かって、今の行動に集中することはできます。

 ここまでのことをまとめると、社員のパフォーマンスを最高にするためのメンタルの持ち方としては2つです。

 「結果と人の価値は一緒ではない」ということを意識する

 「過去と他人は変えられない。未来は分からない」ということを意識する

この2つの意識を日頃からもつことがメンタルトレーニングになります。

 このメンタルトレーニングを続けることで得られることは、間違った思い込みや変えられないものに感情を奪われることが無くなることです。

 そして、大切なことに集中できるようになることです。その大切なこととは「行動」です。行動しなければ結果は得られない。

 この行動に集中し、行動の変化に注目することです。とくに社員のパフォーマンスを最大化させるためには、社員の行動の変化に注目することが必要です。

 結果を出すための行動ができたか、できなかったかは、これも一つの結果です。そしてこの結果はその時点での社員の経験や能力によるところが大きいです。

 つまり、過去の経験に視点を当て、これからの未来の為に結果を生む行動に視点を当ててていないことになります。今を基準にして、行動の変化を見て、求める行動に向かう行動が促進されるよう応援していくことが大切になります。

 行動しなければ結果は出ないことを腹に落として、行動のパフォーマンスが最大化さえることを経営者である皆さんには目指して欲しいと思います。

お問い合わせ先

エイチアールアイ合同会社 t.hatani@hricoaching.com

問題とは?売上の低迷を問題と捉えると解決は遠のきます

デジタル変革の時代にはり社会環境の変化に続き、皆さんの会社の市場環境も大きく変化していると思います。

 そして、その変化に対応することの難しさを感じているのではないかと推察します。なぜなら、日本のGDPはずっと横ばいだからです。その中で、日本のサラリーマンの平均給与も横ばいで伸びていないという状況が続きすぎて、当たり前の感覚を持っている人も多数派になっているかもしれません。

 これらは、実は社会の変化のような皆さんの周りの環境変化に問題があると思っていませんか?もしそう思っているとしたら、この問題の捉え方が現状を変えられない一番の理由かもしれません。

 例えば、皆さんはどんな問題を抱えていますか?よく聞こえてくる問題は、
1. 売上と利益の問題
2. 人材の問題
大きくこの2つです。

 そして、この2つを問題だと認識して、解決しようと思っても、解決できていないという現実に悩むことが多いと思います。

 なぜなら、これらは取り組むべき「問題」ではないからです。では、何が問題なのか、何を問題として取り組む必要があるかがポイントになります。ここが今回のテーマになるわけですが、ここの理解の為に、次の図を見ていただきたいと思います。

これは、人が外界(自分の外)から情報を受け取り、行動し、何らかの結果に至るプロセスを表した図になります。

 人は外界から情報を認識し意味づけするところから始まります。その意味づけによって思考が開始されます。例えば、今月の売り上げデータの金額や前月比5%ダウンという情報を認識したとします。その認識から売り上げが落ちているという意味づけをするというプロセスです。

 そして、その意味づけによって、思考が働き行動の選択を行うのと、一方では感情が動きます。例えば、売上が落ちているという認識から売り上げ増の対策を思考し、営業にハッパをかけるという行動の選択をする、一方では「このまま落ちていったらどうしよう」というような不安という感情が拡がっているかもしれなせん。

 そして次は、思考が行動の内容や量を決め、感情は行動の質に影響を与えながら、結果が生まれる。さらにその結果は外界の情報として新たな認識情報になるというプロセスが回っていきます。

 先ほどから用いている例で表現すると。営業にハッパをかけるという行動の内容の選択が起こり、営業会議で全員にハッパをかけ、営業部長には個別に対応策を指示するというような内容と量になるかもしれません。

 一方では、不安という感情が動いているので、営業部長には激しくプレッシャーをかけているかもしれません。

 そして、その行動の結果が生まれます。望む結果なのか、望んでいない結果なのかは別として、行動による結果が生まれるのです。そうして、この結果は新たな外界の情報として認識されることになります。

 いかがですか、このプロセスが全ての人の中で動いています。そして、このプロセスをもとに問題を捉えていくと、どこを問題として捉えて解決していくのがよりハッキリと見えてきます。

 そこで、先ほどの2つの問題をこのプロセスのどこに問題があるかを見ていくと、これまで問題だと思っていた事とは違う捉え方が出来ると思います。

 まずは、売上や利益についてですが、このプロセスに当てはめると、売上や利益は「結果」になります。

 ここで意識したいことは、結果は良いも悪いも過去の行動によって生まれたものです。過去と他人は変えられないという表現があるように変えることはできません。つまり、問題として認識しなければならないのは、変えられないものではなく、これからの「行動」にあるということです。

 例えば、結果として売上が先月対比5%ダウンということならば、その結果を生んだ「行動」の内容や量そして質に意識を向けていく必要があります。

 そこに意識を向けていくと、
 昔からずっと行動に変化が無い
 同じことをやっていてはダメだと分かっているけれど、何をしてよいか分からない
 会社として新しい戦略は組んだけど実践ができていない
というような状況が見えてくるかもしれません。

 そうすると、問題は「市場の変化に対応した戦略が分からない」ということであったり。「戦略はあるけれど実践する能力や経験が足りない」「やるべき行動は分かるけれど、それが成果を出すか自信が無い」などと言った、真に解決すべき問題が見えてきます。

 人材の問題にしても、良い人材が採用できない、人手が足りない、社員が指示待ちで指示が無いと動かないというような問題は「結果」という認識ができます。

 行動に意識を向けてみると、
 「良い人材が採用できない」というのは、採用活動ができていない、求める良い人材の基準が分かっていない、良い人材が集まる条件または社内文化が無い。
 「人手が足りない」というのは、人はいるけれど、能力が不足している、
 「社員が指示待ち・・」というのは、指示の出し方、指示待ちでなければ不安になるという社内文化がある
このように、結果を問題だと意識する場合と違う問題が見えてきます。

 問題を間違うと、皆さんが望む結果からは遠のいていきます。真の問題解決に取り組むと、時間はかかったとしても、必ず望む結果へと近づきます。

行動しなければ結果は出ません。その行動が違っていると皆さんが望む結果は出てきません。この真の問題を見つける為に、結果ではなく行動に焦点を当てていきましょう。

YouTubeチャンネル:羽谷朋晃のリーダーも楽じゃない

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