イメージできることしか、人は行動できない

「やる気が出ない」「何をすればいいのかわからない」「理想はあるけれど、現実には遠すぎる」――。そんな言葉を、あなたも一度は口にしたことがあるかもしれません。
実はそれ、決してあなたの意志が弱いからでも、能力が足りないからでもありません。

人は“イメージできること”しか、行動に移すことができない。
これは、心理学や脳科学の分野でも繰り返し語られている、大切な原則です。言い換えれば、どんなに立派な目標を掲げても、それを「具体的にイメージできていない」限り、私たちはその目標に向かって本気で動くことができないのです。

イメージは行動の原動力になる

私たちの脳は、現実とイメージを区別するのが得意ではありません。たとえば、レモンを思い浮かべてみてください。皮のざらざらとした手触り、切った瞬間の酸っぱい香り、口に含んだ時のキュッとすぼまる感覚…。
たった数秒の想像で、唾液がにじんでくる人も多いはずです。

これは、脳が「想像=現実」だと認識しているから起きる現象ですつまり、まだ手にしていない未来であっても、そこに「リアリティ」があるほど、脳、つまりあなたは、それが現実だと認識するということです。

その現実感によって、行動に向かうエネルギーが高まります。

理念・ビジョン・目標も「達成イメージ」がなければ動けない

多くの企業が「理念」や「ビジョン」を掲げ、個人も「目標設定」の重要性を理解しています。しかし、これらは掲げただけでは意味を持ちません。
本当に力を発揮するのは、それらが“どんな状態になっているか”を五感で感じられるほど、具体的にイメージできた時です。

たとえば、「チームで成果を出す」という目標なら…

  • オフィスの空気感はどうなっているか?
  • 仲間同士、どんな言葉を掛け合っているか?
  • 成果が出た瞬間、自分の心にどんな感情が湧いているか?
  • 上司やお客様から、どんな声が聞こえてくるか?
  • 達成後、自分はどんな表情で、どんな景色を見ているか?

ここまでイメージできて初めて、人は「その未来を自分のもの」として捉え始めます。そしてその瞬間、今、何をすればいいかが見えてくるのです。

可能性に制限をかけずにイメージする

「でも、自分にそんな未来が来るとは思えない…」

そう感じる人も多いでしょう。けれど、それは過去の経験や今の環境が、あなたの想像力に制限をかけているだけです。

未来をイメージする時には、「現実的に可能かどうか」は一旦脇に置いてください。
大切なのは、“ワクワクする未来”を、自分の内側から引き出すことです。

プロのアスリートや起業家、リーダーたちは皆、この「イメージの力」を信じ、活用しています。たとえば一流のスキーヤーは、滑り始める前にコースを頭の中で完全に再現します。風の音、体の傾き、雪の感触、タイミング…。それを何度も繰り返すことで、実際の行動がぶれなくなります。

イメージがあるから、今できることを選べる

未来を具体的にイメージすることで、私たちは「今できること」に焦点を当てられるようになります。

たとえば、「5年後に独立して自分の事業を持ちたい」とします。
その未来を鮮明に思い描いていれば、「今、どんな人と繋がるべきか」「どんな知識を身につけておくべきか」「どんな小さな実績を積んでおくべきか」が自然と見えてきます。

未来がぼんやりしていると、「何をすればいいのか」がわからず、結局何もしない日々になってしまいます。逆に、未来が鮮やかに見えている人は、今日という1日に意味を見出せるのです。

今からできる「イメージ行動」のすすめ

最後に、今日から実践できる“イメージトレーニング”を紹介します。

1.理想の1日を思い描いてみる

朝どんな気持ちで目覚め、誰と何をして、どんな成果を出して、どんな気持ちで眠りにつくか。時間を追って思い描いてみましょう。

2.五感をフル活用して描く

見える景色、聞こえる声、香り、手触り、気温、そして何より感情。「その場にいるように」臨場感を持って描いてください。

3.その未来に近づく「今日できる1つの行動」を決める

どんなに小さくても構いません。「その人に連絡する」「本を1ページ読む」「感謝を伝える。その1歩が、未来とのつながりをつくります。

おわりに:未来は、“今の思い”で決まる

「イメージできることしか、人は行動できない」

この言葉は、私たちに“希望”を与えてくれます。なぜなら、未来は、今ここで描くイメージから生まれるからです。
どんなに困難に見える状況でも、「見たい未来」を五感で思い描くことで、私たちはそこに向かう力を手にすることができる。

だからこそ、理念やビジョン、目標を掲げた時には、それがどんな情景なのか、心で、体で、感じ取ってください。
そのイメージが、あなたを今日の一歩へと導いてくれるはずです。

「過去と他人に囚われない」は、きれいごとだ!

「過去と他人は変えられない」とわかっていても

「過去と他人は変えられない」──これは、多くのビジネス書や自己啓発本に書かれている有名な言葉です。誰かに裏切られたとき。思い通りにいかない出来事が起きたとき。ついこの言葉を思い出して、「仕方がない、切り替えよう」と頭では分かっているはずなのに、感情がついてこない。

特にそれが、子どもやパートナーといった“本当に大切な人”とのことだったり、長年心血注いできたプロジェクト、会社の未来をかけた重大な決断の結果だったりすると、頭と心のギャップはさらに広がります。

なぜ、あんな選択をしてしまったのか。
なぜ、あの人はわかってくれなかったのか。
なぜ、あのとき止められなかったのか。

「変えられない」と分かっているはずなのに、何度も頭の中で過去のシーンを再生してしまう。気がつけば、前に進むエネルギーが過去に吸い取られてしまう。

けれど、私たちはいつまでもその場に留まるわけにはいきません。時間は待ってくれないし、私たちには創りたい未来があるからです。

では、どうすれば感情を手放し、次の一歩を踏み出せるのでしょうか。

①「すべての出来事は、自分の“思い”が引き寄せた」と知る

この問いに向き合うとき、大切なのは「起きた出来事の原因は、すべて自分の“思い”にある」と受け入れることです。

これは、罪悪感を背負うという話ではありません。自己否定でも他人否定でもなく、「思い」が現実を創っているという事実に気づくことです。

例えば、あなたが過去にある人を信じすぎて裏切られた経験があったとします。その裏切りの出来事自体は辛いものかもしれません。でも、そこには「信じたい」という、表面的なことの前に、「楽をしたい」「うまく相手を使っている」というようなエゴな“思い”があるかもしれません。その“思い”こそが、現実を引き寄せたと考えたらどうでしょうか。

これはスピリチュアルでもなんでもなく、リーダーとしての視点を持てば、ごく当たり前の話です。なぜなら、リーダーの“思い”は、言葉や表情、意思決定、行動、すべてに影響を及ぼすから。
その“思い”が周囲を動かし、やがて組織や社会に現実として反映されていくのです。

②「どんな“思い”であれば、望む未来を創れるのか?」

私たちはつい、「あのとき〇〇していれば…」と過去を悔やみがちですが、未来はいつだって「今の思い」から始まります。

「こんな会社を創りたい」
「こんな社会を残したい」
「こんな自分で在りたい」

そういう“思い”があるなら、過去にとらわれている時間はもったいない。大切なのは、「未来を創るのにふさわしい“思い”」に、今この瞬間の自分をチューニングすることです。

感情は、外からの刺激によって反応として湧き上がるもの。でも“思い”は、内からの意志で選び直せる。

怒りや悔しさに囚われたままでは、次のチャンスも同じように見失ってしまうかもしれません。でも、「未来を創るための思い」に切り替えれば、目の前の出来事の意味が変わってきます。エゴな“思い”から、本当に創りたい未来にふさわしい“思い”を身につけましょう。

③未来のビジョンに集中し、「今の思い」を磨く

ビジョンとは、未来の自分自身に向けたメッセージです。

誰かのせいにしたくなるとき、起きた出来事に囚われてしまうとき。そんなときこそ、自分が目指す未来の姿を思い出してください。

あなたの組織が成し遂げたいことは何ですか?
あなたの人生の終わりに、どんな自分でありたいですか?
次の世代に、どんな姿を見せたいですか?

そのビジョンにふさわしい“思い”とは何か。それを探すことに意識を集中させてください。怒りではなく、憎しみでもなく、誇りと希望に満ちた“思い”で、今を選び直していく。

そして、その思いから、行動を生み出していく。

未来を変えるには、行動が必要です。
行動は、思いから生まれます。
だからこそ、行動を変える前に、“思い”を変えることがすべての出発点です。

まとめ:偉大なリーダーは、“思い”の質で人生を創っている

偉大なリーダーたちは、失敗を経験しなかったわけではありません。むしろ、誰よりも深い痛みや後悔、怒りや喪失を経験している人たちです。

けれど、彼らはそこに留まりません。
なぜなら、彼らには未来を創るという“思い”があったから。

そこには、「自分さえよければ良い」というような“思い”はみじんも無い。
そしてその“思い”に、何度でも自分を立ち返らせる覚悟があったから。

過去と他人は変えられない。でも、“思い”は変えられる。
それが、未来を変える唯一の方法です。

あなたがもし今、何かに囚われているなら。
それは、あなたが真剣に向き合ってきた証です。
でも、次に進むなら、“思い”を選び直すときです。

リーダーであるあなたの“思い”が、チームを動かし、未来を創る。
そしてそれは、今この瞬間から始まります。