その当たり前が、問題だとしたら

その「常識」、本当に正しいですか?

経営をしていると、あたり前のように語られる言葉がいくつもあります。
「売上や利益を伸ばすことが最優先だ」
「社員の主体性を引き出せ」
「リーダーは先頭に立つものだ」
「目標は明確にSMARTに設定すべきだ」

これらは、経営の世界で長らく「常識」とされてきたことです。
でも、ここで立ち止まって考えてみてください。

その常識、本当に正しいのでしょうか?
もしかすると、「常識が違っている」のかもしれません。

この記事では、4つの視点から「常識を疑う」問題提起をお届けします。

1.売上や利益 ― 数字を追うほど顧客は離れていく

経営者にとって、売上や利益は生命線。だから数字を追いかけるのは当然だと考えますよね。

でも、数字に執着するほど、逆に数字が逃げていくことはないでしょうか?

営業が「契約を取ること」を最優先にすると、顧客の声を聴くよりもクロージングが先になる。利益率を重視するあまり、サービスやサポートの質を削ってしまう。短期的には数字が立つかもしれませんが、その積み重ねで顧客の信頼は確実に失われていきます。

本来、売上や利益は「目的」ではなく「結果」です。
顧客に本当に価値を届けたからこそ、副産物として数字がついてくる。
それなのに、結果を目的化してしまった瞬間に、経営はズレ始めるのです。

「売上や利益を目的にする限り、数字は逃げていく」――これが逆説の真実です。

2.社員の主体性 ― 主体性は「引き出す」ものではない

「社員が主体的に動いてくれない」と嘆く経営者は多いでしょう。そこで研修を行い、権限を委譲し、制度を整える。これも一見正しい打ち手に見えます。

しかし実際には、社員の主体性は「育てるもの」ではありません。もっと正確に言えば、もともと人は主体性を持っているのです。

問題は、組織がそれを「奪っている」こと。
細かすぎるKPI管理、重すぎる承認フロー、チェックリスト漬けの仕組み…。
これらは表向き「効率化」「標準化」として導入されますが、裏では社員の考える力や挑戦心を奪ってしまっています。

だから本当に必要なのは、「主体性を引き出す」ことではなく、「主体性を奪っている仕組みをやめる」ことなのです。

3.リーダーシップとマネジメント ― 「何もしない勇気」

「リーダーは先頭に立て」「率先垂範せよ」――これも経営の現場でよく聞く言葉です。
けれど、その姿勢が社員の自律を止めてはいないでしょうか。

リーダーがすべてを決め、動き、導けば導くほど、社員は「待ち」の姿勢になります。
マネジメントが仕組みを細かく整備すればするほど、現場は思考をやめ、指示待ちになります。

つまり、「リーダーが動くほど、メンバーは動かなくなる」のです。

経営者に必要なのは、むしろ「何もしない勇気」。
社員に任せきる覚悟を持ち、失敗をも受け止める。そうして初めて、社員は自ら考え、力を発揮します。

マネジメントも同じです。管理を強めることは短期的な成果にはつながりますが、長期的には人の成長を奪います。
リーダーの本当の役割は、「何をするか」ではなく、「何をしないかを決めること」なのです。

4.目標の捉え方 ― 目標は「未来の仮説」

「目標はSMARTに」「高く明確に」――これもまたビジネスの常識です。

ですが、目標が数字で区切られると、人は「そこまでやればいい」と成長を止めてしまいます。
そして、未達になれば「失敗」とされ、挑戦する意欲を削がれる。

本来、目標とは「未来に向けた仮説」でしかありません。
「この道を進めば、こんな成果にたどり着くのではないか?」という仮説。だからこそ、達成できなかったら修正すればいいし、達成してもさらに更新すればいいのです。

経営者が社員に伝えるべきは、**「目標は達成するためにあるのではなく、挑戦を続けるためにある」**という考え方です。

おわりに:常識を疑う勇気が未来を切り拓く

売上や利益、社員の主体性、リーダーシップとマネジメント、そして目標。
どれも経営にとって避けては通れないテーマです。
しかし、そのテーマに隠れている「常識」に疑問を持つことで、組織は大きく変わり始めます。

数字を追うほど顧客が離れ、仕組みを増やすほど主体性が潰れ、リーダーが動くほどメンバーは動かなくなり、目標を固めるほど挑戦は止まる。

だからこそ、もう一度問い直してみましょう。
「その常識、本当に正しいのか?」

経営者の仕事は、常識に従うことではなく、常識を疑い、新しい道をつくることです。
逆説にこそ、未来を切り拓くヒントがあります。

信頼はフィードバックから生まれる:中小企業が成果を伸ばす「場の力」の方程式

目の前の仕事、見てもらえていますか?

「うちは家族的な社風だから、言わなくても伝わる」 「部下に自由にやらせるのが信頼だと思っている」

そんな風に考えていませんか?

実は、こうした“無言の信頼”が、かえって部下の不安や不満を生む原因になっていることが多いのです。 部下は「自分の仕事がどう評価されているのか」「ちゃんと見てもらえているのか」「努力は報われるのか」に敏感です。これに答えを出せるのが、上司からの一貫したフィードバックです。

企業の成果は、メンバーの能力だけではなく、信頼×能力の掛け算で決まります。 本記事では、中小企業こそ取り組むべき「信頼を生むフィードバック」の重要性と、実践法をご紹介します。

組織の成果は「信頼 × 能力」で決まる

組織における成果(Y)は、以下のようなシンプルな方程式で表せます。

成果(Y)= 信頼(T) × 能力と成長(C)

ここで見落とされがちなのが、「信頼(T)」の正体です。 それは、上司が部下の仕事を見て、的確なフィードバックを与えているかどうかに直結します。

一貫性のあるフィードバックがあることで、部下は次のように感じます。

  • 「ちゃんと見てくれている」という承認の安心感
  • 「評価基準がぶれていない」という公平さへの信頼
  • 「もっと良くするために何が必要かが明確」という成長の方向性

逆に、フィードバックが曖昧だったり、感情的にぶれたり、そもそも行われていなければ、信頼(T)が大きく低下し、能力(C)が高くても成果(Y)は上がりません。

具体事例:フィードバックが信頼をつくった組織

日本のIT企業A社:上司が「見ている」ことが信頼を育てた

ある中堅IT企業では、部下育成の一環として、「週1回5分」の短時間フィードバック面談を導入しました。 内容はシンプルで、「最近良かった点」「改善できそうな点」「来週チャレンジしてみること」の3点を確認するだけです。

これにより、若手社員からは以下のような声が上がりました。

  • 「小さな成果にも反応してもらえるので、頑張れる」
  • 「改善点もはっきり言われるけど、一貫性があるので納得できる」
  • 「次にどうしたらいいかが明確で、自信が持てる」

この仕組みによって、チームの心理的安全性が向上し、離職率が下がっただけでなく、新規プロジェクト成功率も1.5倍に増加しました。

実践:信頼を生み出すフィードバックの3ステップ

①「見ているよ」のサインを日常で出す

フィードバックは面談の時だけでなく、日常の声かけでも可能です。 「昨日のプレゼン、〇〇の工夫が良かったね」と具体的に言及することで、部下は「ちゃんと見てくれている」と感じます。

② 一貫性のある評価軸を持つ

日によって、上司の機嫌や感情で評価が変わると、信頼は一気に崩れます。 評価のポイントはあらかじめ明文化し、チーム内で共有しましょう。特に、「良い行動」「避けるべき行動」の定義づけが効果的です。

③ 改善に向けたヒントを添える

フィードバックは「ダメ出し」で終わってはいけません。 「次はこうしてみたらどう?」と、前向きな一言を添えることで、部下は安心してチャレンジできます。

まとめ:信頼は、リーダーのフィードバックから始まる

組織の成果は、個々の能力ではなく、信頼 × 能力の掛け算で決まります。 そして、その信頼を築く最も確実な方法が、「一貫性のある、前向きなフィードバック」です。

「最近の若い社員は何を考えているかわからない」 「うちの社員は指示待ちで、自分で動かない」 こうした声をよく耳にしますが、これらは相手側の問題に見えて、実は解決しないまま停滞を生む典型的な思考パターンです。

本当に組織を変えたいなら、リーダー自身が主体的にできる行動に落とし込むことが大切です。 その一歩が、まさに「正しいフィードバック」です。

✔︎ 今すぐできるアクション

  • 毎週1回、5分だけのフィードバックタイムを設ける
  • 良い点・改善点・次の目標を、具体的かつ前向きに伝える
  • 小さな成功や努力を見逃さず、「見ているよ」と示す

信頼は、待つものではなく、つくるものです。 リーダーが日々のフィードバックを通じて「見てくれている」「一貫性がある」「次に進める」と部下に感じさせることで、信頼は育ち、やがて組織全体の成果につながります。 あなたの一言が、部下の成長と組織の未来を動かす起点になります。

責任を持って選択することができていますか?~選ぶことは同時に捨てること~

あなたは、今日どんな選択をしましたか?
朝の目覚めから、何を食べるか、どの服を着るか、どの仕事を優先するか。
私たちは日々、多くの「選択」を繰り返しています。

しかし、その選択の裏には、必ず「選ばなかった何か」が存在しています。
この“何かを得るには、何かを手放さなければならない”という現実を、**トレードオフ(Trade-off)**と呼びます。

例えば、仕事に集中するためにプライベートの時間を減らす。
あるいは、成長できる部署に異動するために、気心の知れた仲間と離れる。
どちらも、「何かを得るために、何かを犠牲にする」決断です。

この当たり前のようで見落とされがちな原則こそ、リーダーとして成長するための土台になるものです。

トレードオフを避ける人は、リーダーになれない

若いビジネスパーソンと話していて感じるのは、
「できるだけ多くを手に入れたい」「バランスよく、すべてを得たい」という思考が強いということです。
もちろん、その思い自体は自然です。誰だって、仕事もプライベートも、安定も挑戦も、全部欲しい。

しかし、現実は残酷です。
「すべてを得る」ことは、基本的にできません。

だからこそ、「自分にとって本当に必要なものは何か?」を見極め、選ぶ力が必要です。

ここで問題なのは、トレードオフから目をそらし、曖昧な姿勢をとることです。
意思決定を他人に任せたり、保留にしたり、結論を先延ばしにすることで、
「選ばなかった」という責任から逃れようとする。

しかし、それは裏を返せば、自分の人生の舵を他人に預けることでもあります。
リーダーとして求められるのは、自分で選び、その結果に責任を持つ覚悟です。

トレードオフが、主体性を育てる

「主体性を持て」と言われても、どうすればいいかわからない。
そんな声を多く聞きます。
実は、主体性は「選択の責任を引き受ける」ことによって初めて育ちます。

リーダーとは、正解のない状況で選ぶ人です。
どちらを選んでも痛みを伴う、そんな場面に直面したときに、
どれだけ自分の価値観に照らして、軸を持って判断できるか。

たとえば、ある若手社員が、安定した本社のポジションを捨てて、赤字の地方支社に異動する決断をしたケースがあります。
周囲からは「なぜわざわざ苦労を買うのか」と言われたそうですが、本人は明確に言っていました。

「挑戦のフィールドを選びたかった。失敗しても、自分で選んだことなら納得できると思った。」

この選択は、彼にとって「安定」か「挑戦」かというトレードオフでした。
結果として、彼は現地で新しいチームをつくり、成果を上げ、数年後には本社に戻ってリーダーとして抜擢されました。

このように、「選択する責任」を引き受ける経験こそが、リーダーシップを育てるのです。

中途半端な選択が、成長を止める

逆に言えば、トレードオフを避け、すべてを少しずつ得ようとする姿勢は、
結局どこにも本気で向き合わないことにつながります。

たとえば、自己成長したいと思いながら、休日のすべてを趣味や娯楽にあててしまう人。
部下との関係性を築きたいと思いながら、常にタスク優先で関わりを後回しにしてしまう人。
そこには、「時間の使い方」という明確なトレードオフが潜んでいます。

「自分にとって何が本当に大切なのか?」という問いに答えない限り、
何かを深く得ることはできません。

深く得るためには、何かを手放す覚悟が必要です。

リーダーは、選択によって人に示す

若手リーダーの多くは、「どうすれば周囲から信頼されるか」に悩みます。
その答えの一つが、自らの選択で姿勢を示すことです。

リーダーとは、言葉よりも「どこに立つか」で評価される存在です。
苦しい状況のときに、どんな判断をするのか。
自分が損をしてでも守るべきものを守るのか。
そうした選択の積み重ねが、信頼となり、リーダーシップの土台になります。

たとえば、目先の成果を得るために短期施策を優先するか、
中長期のビジョンのために厳しい判断を下すか。
リーダーは常にトレードオフの中で決断を求められます。

そしてその判断は、「この人が選ぶ道なら、ついていこう」と思わせる力になります。

選択の軸を持つために

では、トレードオフを正しく選ぶために、私たちは何をすればいいのでしょうか。
それは、自分の中に価値観の軸を持つことです。

  • 何を大切にしたいのか
  • どんな未来を創りたいのか
  • どんな人間でありたいのか

これらの問いに向き合い、紙に書いてみるだけでも、自分の選択が変わり始めます。
迷ったときに立ち戻れる「基準」があることで、ブレない選択ができるようになります。

その積み重ねが、やがてリーダーとしての「存在感」や「信頼感」を形づくるのです。

まとめ:選ぶ勇気が、未来を変える

何かを得るには、何かを捨てなければならない。
この現実に向き合い、真剣に選び続けること。
それが、主体性を育て、リーダーシップを磨く最も確かな道です。

トレードオフは、成長の扉です。
その扉を開くには、「すべてを得よう」とする欲から一歩引いて、
「何を得るために、何を手放すか」という視点に立つこと。

選択に責任を持つあなたを、人は信頼します。
そして、その覚悟ある選択が、あなたをリーダーへと導いていくのです。

「優秀なのに、組織を止めている人たち」〜リーダーが超えるべき“安心の壁”〜

このままじゃいけない」と思いながら、つい現状にとどまってしまう。そんな経験はありませんか?

人には誰しも、「今のままでいたい」と思う“安心領域”があります。それが「コンフォートゾーン」です。実はこのコンフォートゾーン、仕事ができる人ほど強く形成されていて、時として組織の成長を止める原因にもなります。

本記事では、「今を維持したい。壊したくない」という気持ちは、誰にでもある普通の感情であり、それが実は変革を止める要因であることを考えたいと思います。そして、リーダーに求められるのは、この人間の本能的な感情を理解し一歩踏み出す力にあることを、一緒に考えられたらと思います。

変化の時代を生き抜くリーダーに、ぜひ読んでいただきたい内容です。

1.コンフォートゾーンとは何か

人には誰しも、無意識に「居心地の良い範囲」をつくっています。これがいわゆるコンフォートゾーンです。そこでは、自分がある程度の成果を出せる自信があり、大きなリスクを取る必要もありません。慣れた仕事、人間関係、業務の進め方。たとえ多少の不満や物足りなさがあったとしても、ストレスが比較的少なく、ある意味で「安心して過ごせる場所」です。

このコンフォートゾーンにいるとき、人は精神的に安定します。しかし一方で、そこにとどまり続けることが、知らぬ間に自分の成長や組織の進化を妨げてしまうことがあります。

2.仕事ができる人にも、できない人にも、誰にでもある

「コンフォートゾーンは、成果を出せない人の話だ」と思ってはいけません。むしろ、高い成果を出している人ほど、無自覚に自分の成功パターンに固執しやすくなります

たとえば営業の現場では、「自分なりの営業スタイルを確立してきたベテラン社員」が、新しい営業手法やデジタルツールの導入に消極的になることがあります。「今のやり方で結果が出ているんだから、それでいい」と考えるのです。

一方で、成果を出せていない人も、「これ以上は無理だ」「自分には向いていない」と自らの限界を早々に決めつけ、挑戦をやめてしまうことがあります。これもまた、自分の「できると思える範囲=コンフォートゾーン」の外に出られない例です。

つまり、誰もがコンフォートゾーンを持っており、その中にとどまる心理的な安心感に縛られてしまうのです。

3.組織を停滞させる「できる人」のコンフォートゾーン

組織の成長を阻む最大の要因は、「能力がある人材」が変化を拒み、現状にとどまることにあります。

できる人は、今までのやり方で成果を出してきた成功体験があるからこそ、「変わる必要性」を感じづらい。周囲からも「信頼できる人」「優秀な社員」と認識されており、自ら変化を求めなくても高く評価され続けるという環境が整ってしまっているのです。

その結果、新しいチャレンジや変革が必要な場面で、最も影響力のある人が動かないという事態が生じます。こうなると、組織全体が「変わらなくていいんだ」というムードに包まれ、前に進めなくなります。

特に変化の激しい今の時代において、「変わらないこと」はリスクです。ビジネスモデルは陳腐化し、市場は急速に移り変わり、競争環境も一変します。「今までの成功体験」が、明日の失敗の原因になることすらあるのです。

4.コンフォートゾーンを超えるのが、リーダーの役割

組織に変革をもたらすには、まずリーダー自身が、自分のコンフォートゾーンから一歩踏み出すことが必要です。

リーダーが「変化は怖い」「失敗したくない」と思って足を止めてしまえば、部下たちもそれを見て「変わらないほうがいいんだ」と感じてしまいます。逆に、リーダーが「自分も未知の領域に挑戦する」という姿を見せれば、部下もそれに引き寄せられ、行動が変わっていきます。

ここで重要なのは、「すでにできること」や「確実に成功すること」ばかりに集中するのではなく、あえて不確実性の中に飛び込む勇気を持つことです。

多くの人は、「失敗したらどうしよう」「うまくいかなかったら立場がなくなる」と不安になります。それでも、リーダーは「この変化が、組織の未来に必要だ」と信じて、最初の一歩を踏み出さねばなりません。

5.ヴィジョンと志が、恐怖を乗り越える力になる

では、どうすればコンフォートゾーンを抜け出し、挑戦する力を持てるのでしょうか?

それには、「やらなければならないからやる」という義務感ではなく、「これを成し遂げたい」というヴィジョンと、「この道を歩む理由」を支える志が必要です

たとえば、ある経営者が「地域の医療をもっと身近にする」という強い志を持ち、これまでになかった訪問型サービスに取り組んだ例があります。最初は不安や反対意見も多かったものの、その志とヴィジョンが社員を巻き込み、新しい事業が形になっていきました。

志は、自分だけのためではなく、「誰かのため」「社会のため」という視点を持つことで、より大きな力を生みます。そしてヴィジョンは、変化の中でも進むべき道を見失わないための灯台となります。

リーダーが志とヴィジョンを掲げ、それに向かって一歩を踏み出すことで、周囲も「この人と一緒に挑戦したい」と感じるようになるのです。

おわりに:リーダーこそ、最初にコンフォートゾーンを出よう

成長も変革も、「快適な場所」からは生まれません。組織の未来を切り拓くリーダーには、まず自分自身が、見慣れた風景から一歩踏み出す勇気を持つことが求められています。

もちろん、それは簡単なことではありません。失敗や批判、孤独な決断に直面することもあるでしょう。けれど、その一歩こそが、あなた自身の成長を促し、チームや組織の可能性を広げるきっかけになります。

「このままでいいのか?」

そう感じたときが、まさにコンフォートゾーンを抜け出すチャンスです。そしてその先には、これまで見たことのない風景と、新たな仲間との出会いが待っています。

イメージできることしか、人は行動できない

「やる気が出ない」「何をすればいいのかわからない」「理想はあるけれど、現実には遠すぎる」――。そんな言葉を、あなたも一度は口にしたことがあるかもしれません。
実はそれ、決してあなたの意志が弱いからでも、能力が足りないからでもありません。

人は“イメージできること”しか、行動に移すことができない。
これは、心理学や脳科学の分野でも繰り返し語られている、大切な原則です。言い換えれば、どんなに立派な目標を掲げても、それを「具体的にイメージできていない」限り、私たちはその目標に向かって本気で動くことができないのです。

イメージは行動の原動力になる

私たちの脳は、現実とイメージを区別するのが得意ではありません。たとえば、レモンを思い浮かべてみてください。皮のざらざらとした手触り、切った瞬間の酸っぱい香り、口に含んだ時のキュッとすぼまる感覚…。
たった数秒の想像で、唾液がにじんでくる人も多いはずです。

これは、脳が「想像=現実」だと認識しているから起きる現象ですつまり、まだ手にしていない未来であっても、そこに「リアリティ」があるほど、脳、つまりあなたは、それが現実だと認識するということです。

その現実感によって、行動に向かうエネルギーが高まります。

理念・ビジョン・目標も「達成イメージ」がなければ動けない

多くの企業が「理念」や「ビジョン」を掲げ、個人も「目標設定」の重要性を理解しています。しかし、これらは掲げただけでは意味を持ちません。
本当に力を発揮するのは、それらが“どんな状態になっているか”を五感で感じられるほど、具体的にイメージできた時です。

たとえば、「チームで成果を出す」という目標なら…

  • オフィスの空気感はどうなっているか?
  • 仲間同士、どんな言葉を掛け合っているか?
  • 成果が出た瞬間、自分の心にどんな感情が湧いているか?
  • 上司やお客様から、どんな声が聞こえてくるか?
  • 達成後、自分はどんな表情で、どんな景色を見ているか?

ここまでイメージできて初めて、人は「その未来を自分のもの」として捉え始めます。そしてその瞬間、今、何をすればいいかが見えてくるのです。

可能性に制限をかけずにイメージする

「でも、自分にそんな未来が来るとは思えない…」

そう感じる人も多いでしょう。けれど、それは過去の経験や今の環境が、あなたの想像力に制限をかけているだけです。

未来をイメージする時には、「現実的に可能かどうか」は一旦脇に置いてください。
大切なのは、“ワクワクする未来”を、自分の内側から引き出すことです。

プロのアスリートや起業家、リーダーたちは皆、この「イメージの力」を信じ、活用しています。たとえば一流のスキーヤーは、滑り始める前にコースを頭の中で完全に再現します。風の音、体の傾き、雪の感触、タイミング…。それを何度も繰り返すことで、実際の行動がぶれなくなります。

イメージがあるから、今できることを選べる

未来を具体的にイメージすることで、私たちは「今できること」に焦点を当てられるようになります。

たとえば、「5年後に独立して自分の事業を持ちたい」とします。
その未来を鮮明に思い描いていれば、「今、どんな人と繋がるべきか」「どんな知識を身につけておくべきか」「どんな小さな実績を積んでおくべきか」が自然と見えてきます。

未来がぼんやりしていると、「何をすればいいのか」がわからず、結局何もしない日々になってしまいます。逆に、未来が鮮やかに見えている人は、今日という1日に意味を見出せるのです。

今からできる「イメージ行動」のすすめ

最後に、今日から実践できる“イメージトレーニング”を紹介します。

1.理想の1日を思い描いてみる

朝どんな気持ちで目覚め、誰と何をして、どんな成果を出して、どんな気持ちで眠りにつくか。時間を追って思い描いてみましょう。

2.五感をフル活用して描く

見える景色、聞こえる声、香り、手触り、気温、そして何より感情。「その場にいるように」臨場感を持って描いてください。

3.その未来に近づく「今日できる1つの行動」を決める

どんなに小さくても構いません。「その人に連絡する」「本を1ページ読む」「感謝を伝える。その1歩が、未来とのつながりをつくります。

おわりに:未来は、“今の思い”で決まる

「イメージできることしか、人は行動できない」

この言葉は、私たちに“希望”を与えてくれます。なぜなら、未来は、今ここで描くイメージから生まれるからです。
どんなに困難に見える状況でも、「見たい未来」を五感で思い描くことで、私たちはそこに向かう力を手にすることができる。

だからこそ、理念やビジョン、目標を掲げた時には、それがどんな情景なのか、心で、体で、感じ取ってください。
そのイメージが、あなたを今日の一歩へと導いてくれるはずです。

リーダーの自覚──エゴとリーダーシップの分かれ道

「自分についてきてほしい」と思ったことはありますか?
あるいは「なぜ、あの人はついてこないのか」と感じたことは?

この問いにリーダーとして向き合うとき、私たちは一つの本質的な分岐点に立たされます。それが、「リーダーシップ」と「エゴ(自我)」の違いです。そして、その違いに気づけるかどうかが、「リーダーの自覚」を持っているかどうかを決定づけるのです。

1.リーダーシップとエゴの違い

リーダーシップとは、組織やチーム、あるいは社会全体の未来に向かって、人々を導く力です。それは、他者の可能性を引き出し、困難の中でも前を向いて進む「共創の力」ともいえるでしょう。

一方、エゴとは「自分の存在価値を証明したい」「自分が正しいと認めさせたい」という内的な欲求からくる行動です。自己顕示、支配欲、承認欲求に突き動かされるリーダーは、周囲の信頼を徐々に失っていきます。たとえ立場が上でも、人は「エゴに従いたい」とは思いません。

この違いを一言で表すならば、

「リーダーシップは“他者中心”、エゴは“自己中心」です。

2.その違いはどこから生まれるのか

では、なぜ「エゴに支配されるリーダー」と「本当のリーダー」に分かれるのでしょうか?

その分岐点は、自身の「存在理由」と「目的」の捉え方にあります。

■ エゴに支配されるリーダーの特徴

  • 自分の立場や評価を守ることが優先
  • 結果よりも「自分が正しいこと」に固執
  • 人の失敗よりも、自分のメンツを重視
  • チームの成果があっても「自分のおかげ」にしがち

■ リーダーシップを持つ人の特徴

  • 自分が中心ではなく、「目的」が中心にある
  • 周囲の成長を喜び、自らの成果よりも全体の前進を重視
  • 「自分の正しさ」ではなく「何が正しいか」に軸を置く
  • 評価は結果についてくると理解している

■ とても優秀なのに“もったいない”人の実例

最近、ある企業のマネジメント研修で、非常に印象に残る人に出会いました。彼は、いわゆる「スーパー社員」。仕事のスピードも正確性も申し分なく、営業でも技術でも一定の成果を出し、上司からの信頼も厚い。加えて、書籍やセミナーで学んだ知識を持ち合わせており、「成功の法則」についても語れる人です。

しかし──彼には決定的な欠点がありました。

自分にとって意味のない会議は欠席し、突然の休暇も少なくない。周囲の社員が自分と同じレベルで動けないことを「努力不足」と切り捨てる。そして、他人のミスや仕事の遅れに対しては容赦なく批判。結果、チームの空気は冷え、相談されることも減り、徐々に孤立していきました。

彼自身は「自分は正しいことを言っているだけ」と思っているのかもしれません。でも、そこには“目的”が欠けているのです。

「成果を出すために、誰とどう関わるのか」
「組織全体として前進するために、今の自分はどう在るべきか」

こうした視点がないまま、自分の能力や正しさにこだわり続ければ、どれほど優秀でも人はついてきません。リーダーとしての自覚がなければ、力は逆効果になる。まさに“もったいない人”の典型例でした。

3.リーダーの自覚を持って進む行動

「リーダーの自覚」とは、役職や肩書ではなく、「自分が他者の人生に影響を与えている存在である」という意識のことです。この自覚があるからこそ、人はエゴに流されず、「目的に生きる覚悟」を持つことができます。

では、リーダーとしての自覚を持ち、エゴに流されずに行動するには、何を意識すればいいのでしょうか?

① 自分に問いかける「目的」は何か?

日々の意思決定や行動の前に、次の問いを自分に投げかけてください。

「この判断は、自分を守るためか? それとも、目的に向かうためか?」

この一問が、あなたを「自己中心」から「目的中心」へと引き戻してくれます。

② 評価は「結果」ではなく「行動の軸」にする

自覚あるリーダーは、自分が“どういう姿勢”で日々を生きているかにこだわります。他人に認められるかどうかよりも、「自分が信じる価値観に沿って行動できているかどうか」を重視します。

③ 批判や失敗を「自覚のチャンス」に変える

リーダーは常に見られています。批判も受けます。思い通りにいかないことも多々あります。

しかし、それは「自覚を深めるチャンス」でもあります。

  • なぜ相手はそう感じたのか?
  • 自分の言動がどう映っているのか?
  • 本当に目的に沿った行動だったのか?

この内省が、自覚の深さを育てていきます。

最後に:エゴを超えて、本当のリーダーへ

リーダーの役割は、誰かに命令することではなく、誰かの「可能性を開く」ことです。そして、そのためには「自分がどう見られるか」ではなく、「自分が何に仕えているのか」を見つめる必要があります。

エゴは人を動かせても、心は動かせない。
自覚を持ったリーダーだけが、人の心と未来を動かすことができる。

あなたの影響力は、想像以上に大きい。
だからこそ、今こそ「リーダーの自覚」を持って歩み出してください。

行動を変えたいのなら「視点」を変える

「問題が発生したのと同じ次元では、その問題を解決することはできない。」
これは、物理学者アルベルト・アインシュタインの有名な言葉です。問題の本質は、多くの場合、出来事そのものにあるのではなく、「その出来事をどのように見ているか」に隠れています。


この考え方は、ビジネスやマネジメントの現場でも非常に示唆に富んでいます。特にリーダーの仕事においては、「視点」に注目することが極めて重要です。なぜなら、メンバー一人ひとりの行動や判断は、「何をどう見ているか」によって決まるからです。


行動を変えるには、視点を変える必要があります。そしてその変化を導けるのが、リーダーという存在だと考えます。


この記事では、「リーダーの仕事とは、チームの視点を変えることである」というテーマのもと、視点がどのように行動や成果に影響するのかを示していきます。

行動の選択は、どの視点で物事を捉えるかで決まる

冒頭で示したように、人の行動は「事実」そのものではなく、「その事実をどう捉えたか」で決まります。


たとえば、営業目標を達成できなかったとき、「自分の努力が足りなかった」と考える人もいれば、「商品力が低いから仕方ない」と感じる人もいます。どちらの捉え方をするかで、その後の行動は大きく変わります。


前者の視点では、「次は工夫してみよう」「お客さまの声をもっと聞こう」といった改善行動が生まれます。一方、後者の視点では、他責になり、「どうせ頑張っても無理だ」といった諦めが先に立ちやすくなります。


つまり、私たちは現実に反応しているのではなく、「現実をどう見ているか」に反応しているのです。
このように、視点が変われば行動が変わる。だからこそ、リーダーは「部下の行動を変えたい」と思ったときには、まず「その人の視点」に注目する必要があります。

目的を達成するための行動の選択は、現状の捉え方で決まる

「なぜ、この行動を選んだのか」という問いに対し、人はたいてい「今の状況ではこれしかない」と答えます。


これは裏を返せば、「現状の捉え方」によって、選べる行動の幅が決まってしまっているということです。


たとえば、ある部下がなかなか相談に来ない、報告が遅れる、といった行動を取っていたとします。リーダーが「やる気がないのだろう」「主体性が足りない」と決めつけると、その部下への関わりは叱責や注意中心になりがちです。


しかし、ここで視点を変えて、「この部下は、もしかすると自分に対して話しかけにくさを感じているのではないか」「過去のやり取りで委縮させてしまったのではないか」と捉え直してみると、まったく違う現実が見えてきます。


実際に振り返ってみると、以前の会話で無意識に強い口調で返していたり、否定的な反応をしていたことに気づくかもしれません。そこで、リーダーの方から歩み寄ることで、部下の行動は徐々に変わっていきます。


このように、リーダー自身が視点を切り替えることで、部下の行動の“意味”を理解できるようになり、関係性の改善や信頼構築につながります。


このように、目的を達成するためには、現状の捉え方=視点が重要なカギになります。視点が固定されたままだと、行動はいつも同じになり、成果も変わらないのです。


リーダーは、チームが「現状をどう捉えているか」を常に観察し、必要に応じて視点の転換を促すことが求められます。

同じ視点で捉えていて、問題が解決しないなら視点を変える

問題が長期間にわたって解決しないとき、多くの人は「もっと努力すべきだ」「やり方がまずかった」と考えます。


もちろん努力や方法論の見直しも重要ですが、それ以前に考えるべきなのは「そもそも私たちはこの問題をどう見ているのか」という視点の部分です。


心理学では「認知の枠組み(フレーム)」という考え方があります。これは、私たちが物事を理解し、意味づける際の“ものさし”のようなものです。


たとえば、「売上が下がっている」という事実があったとして、「チームのやる気が低いからだ」と捉えるのか、「市場が変化しているのに対応できていないからだ」と捉えるのかで、打つべき施策は大きく異なります。


同じ枠組みのままで、何度も同じ問題にぶつかっているなら、それは「行動の限界」ではなく、「視点の限界」かもしれません。


リーダーが持つべき問いは、「もっと頑張るにはどうすればいいか」ではなく、「この問題を別の角度から見たら、何が見えるか」です。

対立は、各々の視点のぶつかり合いである

職場で起こる対立の多くは、価値観や性格の違いというより、「物事の見え方の違い」から起こります。


たとえば、部下Aは「スピード重視」、部下Bは「丁寧さ重視」。この二人が一緒にプロジェクトを進めると、「なぜそんなに急ぐの?」「なぜそんなに時間をかけるの?」という不満がぶつかり合います。


これは、どちらが正しい・間違っているという話ではありません。あくまで「見ている景色」が違うだけなのです。


リーダーがやるべきことは、この対立を解消するために「共通の目的」を再確認させること。そして、各々の視点に意味があることを認めながら、視点の“重なり”を探すことです。


この作業には時間がかかるかもしれません。しかし、それを怠ると、根本的な誤解が解けないまま、表面的な折衷案だけで物事を進めてしまうリスクがあります。

葛藤も自分、または組織固有の視点のぶつかり合い

「やりたいけど、できない」「進めたいけど、不安がある」――こうした“葛藤”もまた、視点の衝突によって生まれます。


たとえば、ある社員が「新しい提案をしたい」と思っているのに、なかなか行動に移せないとします。その内面では、「自分のアイデアには価値がある」という視点と、「失敗したら評価が下がる」という別の視点がぶつかっているのです。


組織全体でも同じことが起きます。「変革すべきだ」と感じながらも、「今の仕組みを壊すのは怖い」といった葛藤は、視点の複数性から生じています。


リーダーは、このような葛藤の背景にある「対立する視点」を丁寧に言語化し、バランスのとれた捉え方に導く必要があります。


具体的には、「失敗しても挑戦が評価される風土」をつくったり、「どんな視点も一度は受け止める対話の場」を設けたりすることで、葛藤を前向きな力に変えることができます。

おわりに:視点を変えることで、チームは変わる

リーダーは、チームを先導すると同時に、チームの“見方”を変える存在でもあります。
視点を変えることは、価値観を揺るがす行為でもあるため、決して簡単ではありません。抵抗があるのも当然です。

しかし、視点を変えることでしか、乗り越えられない壁があるのもまた事実です。
行動を変えるには、まず視点を変える。


チームを変えたいなら、チームが世界をどう見ているかに寄り添い、その見方を少しずつ拡張していくこと。それこそが、リーダーに求められる最も繊細で重要な仕事です。

困難に立ち向かう時だけがリーダーではない      ~日々の何気ない判断・決断こそが大きな違いを生み出す~

判断の難しい場面での決断力が重要なのは誰でも分かっています。しかし、普段の何気ないリーダーの決断の良し悪しの積み重ねが、後日大きな変化につながることを、多くのリーダーは気づいていません。


そして、この普段の何気ない判断の良し悪しが、難しい問題を生むことに繋がっていることも多くのリーダーは気づいていないのかもしれません。


普段からの決断力・判断力を磨くことが実は大切であるということを意識していますか?
本記事では、決断力・判断力を磨くための具体的な方法やフレームワークを紹介します。難しくはありません。読者の皆さんは既に知っている内容がほとんどかもしれません。
しかし、その実践を日常的に実行しているかが重要なことだと考えます。

効果的な意思決定のためのフレームワーク

まず、効果的な意思決定をサポートするために役立つフレームワークをいくつかご紹介します。
1-1. 3C分析
3C分析は、ビジネスの現状を整理するために「顧客(Customer)」「競合(Competitor)」「自社(Company)」の3つの観点から状況を把握します。日常でも、これを応用することで効果的な判断が可能です。


実践例:
• 問題: 新しいプロジェクトの優先順位を決める。
• アプローチ: 顧客のニーズを調査(Customer)、競合の状況を確認(Competitor)、自社のリソースを評価(Company)。
• 結果: 顧客満足度が高く、競争力を強化するプロジェクトに注力。


この実践例の他にも、ビジネスの世界では、自分(自社)と顧客とライバル(競合)しかいないと考えれば、あらゆるビジネスシーンでこの3Cを使うことができます。

自分の事だけを考えて商談を進めて、顧客のことを忘れていたり、目の前にライバルの存在が見えないからと言って、ライバルの事を考えなかったりせずに、モレなくダブリなしで情報を分析することが可能になります。

1-2. SWOT分析
SWOT分析は、物事を「強み(Strength)」「弱み(Weakness)」「機会(Opportunity)」「脅威(Threat)」の4つの要素に分けて整理する手法です。


実践例:
• 問題: 部署の年間計画を立てる。
• アプローチ: 部署の強みと弱みをリスト化し、外部環境の機会と脅威を整理。
• 結果: 強みを活かしてチャンスを最大化し、弱みを補う計画を立案。


このSWOT分析も日常的に是非、使いたいフレームワークとして取り上げました。その背景には、世の中のどんなことにも、裏と表があります。ヨコがあればタテがあります。


つまり、強みがあれば、必ず弱みがあるということです。機会があれば必ず脅威もあるということです。もちろん、この逆もあります。


ところが、普段の何気ない決断や判断では、これらのどれかが抜け落ちてしまっていることがあります。強みと弱み、機会と脅威をセットで情報を捉える習慣を持っても良いのではいでしょうか

1-3. 重要度と緊急度のマトリックス(Eisenhower Matrix)
重要度と緊急度のマトリックスは、タスクを「重要度」と「緊急度」の2軸で分類し、優先順位を明確にする手法です。


実践例:
• 問題: 日々の業務が多忙で、どれに集中すべきか分からない。
• アプローチ: タスクを「重要かつ緊急」「重要だが緊急でない」「緊急だが重要でない」「緊急でも重要でもない」に分類。
• 結果: 「重要かつ緊急」なタスクを最優先で取り組み、重要だが緊急でないタスクの計画を立てる。


多くの人は、目の前の事を最重要に捉えてしまいます。これは本能的なものです。それゆえに、ほっとくと目の前のことを重要で直ぐに対応すべきこととして捉え、日々忙しく働くことになります。


しかし、本当に、目の前のことが重要かつ緊急度の高いことなのでしょうか?それは、このマトリックスで整理しなければ分かりません。


そして、最も重要なのは、あなたが望むゴールの達成にあると思います。そのゴールの達成に向けての、重要度と緊急度のマトリックスのなかで、活動の優先順位をつけていくことが、大切であるように考えます。

1-4. PDCAサイクル(Plan, Do, Check, Act)
PDCAサイクルは、継続的な改善を促すフレームワークとして知られています。一度の決断で完璧を目指すのではなく、改善を前提にした行動がポイントです。


実践例:
• 問題: チームのミーティング効率を向上させる。
• アプローチ: ミーティング時間を短縮するプランを作成(Plan)、試行実施(Do)、参加者からフィードバックを収集(Check)、次回に反映(Act)。
• 結果: 効果的でスムーズなミーティング運営を実現。


変化の激しい現代において、完璧を求めることは不可能であると思います。また多様性の時代においても、様々な判断が考えられます。


そんな時代であるからこそ、行動が重要になります。行動を通して、最善の道を見つけるアプローチの基本的な姿勢が、PDCAの考え方にあります。


そもそも完璧な計画や行動は無い。望む結果が出たとしても、それが継続するとは限らないとして、日々改善する姿勢が今の時代は求められます。


世のなかに失敗は無い、全てが途中経過である。すべてはテストだという姿勢がPDCAにはあると思います。

判断力を養うためのトレーニング方法

判断力は生まれ持った才能だけでなく、これまで紹介したフレームワークを使いながらのトレーニングによって鍛えることができます。
以下には、フレームワークを使うことを前提としたトレーニング方法を示したいと思います。


2-1. シナリオ分析
想定されるリスクやチャンスを事前に分析する練習を行いましょう。例えば、重要なプロジェクトに対して「最悪のシナリオ」と「ベストなシナリオ」を書き出し、それに基づいて意思決定を進めます。


SWOT分析の項でも触れましたが、全ての事には、良いケースがあれば、悪いケースもあります。そして、未来に起きることは、分からないのが真実です。完璧な想定は不可能ですが、あらかじめシナリオ描くことを練習することは、反応的で衝動的な判断・決断からゴールに向かって進むことを可能にする行動を導いてくれます。


2-2. ロールプレイング
チームメンバーとともにロールプレイングを実施することで、多角的な視点からの意思決定を体験できます。


実践例:
• 想定課題: クレーム処理の方法。
• アプローチ: メンバーが顧客役、リーダー役に分かれて対応方法を議論。
• 結果: 顧客満足度向上のための具体策が浮き彫りに。

シナリオ分析と同時に、ロールプレイングをすることで、起きうることをリアルに描き出す効果があります。


2-3. リフレクション(内省)
過去の判断を振り返り、どこが良かったか、どこを改善できたかを分析する習慣をつけます。成功事例だけでなく、失敗事例も学びの材料になります。


要は、PDCAを習慣化することで、当たり前のように自然に振り返ることが可能になります。その中で、日誌は日々の行動を振り返る効果的なツールと言えます。

判断力を高めるリーダーの習慣

3-1. 情報収集力を鍛える
常に新しい情報を取り入れることは、適切な判断を下す基盤となります。業界関連の読書やポッドキャスト、セミナーへの参加を習慣化しましょう。


3-2. 異なる意見に触れる
賛同ばかりの意見では視野が狭くなりがちです。意見が対立する場面こそ、自分の視点を広げるチャンスと捉えましょう。


3-3. 短時間で情報を整理する練習
「10分メモ法」を活用して、情報を簡潔に整理し、速やかに結論を出すスキルを磨きます。

結論

今回紹介したフレームワークやトレーニングは、難しい判断や問題解決のためだけでなく、普段の何気ない判断力や決断力を養うために活用することができます。その積み重ねが、組織全体の成長を促し、大きな成功へとつながるのです。


日々の小さな選択を大切にし、その一つひとつを成長の機会として捉えてください。あなた自身の判断力が磨かれることで、組織全体がより強固な基盤を持つようになります。


明日からできる3つのアクションプラン:

  1. 意思決定フレームワークを一つ選び、日常の小さな課題で試してみる。
  2. チームで日常的な判断を振り返るミーティングを設ける。
  3. 過去の些細な判断を振り返り、その積み重ねがどのような結果をもたらしたかを考える。
    日常にこそ成長の鍵があります。今日から一歩踏み出してみませんか?あなたの決断力が、未来の大きな変化を生み出します。

読書はAI時代に必須の習慣です

最近、本を読まない人が増えているように思います。若者だけでなく、若年層から高齢者に至る、全ての年代で広がっているようです。


それも仕方がないことなんかもしれません。本の少し前までは、活字から得る情がほとんどで、それをテレビやラジオが補っているという時代がありました。昭和の時代ですね。


ところが、今、インターネットやスマートフォンの普及により私たちは日々、圧倒的な量の情報に触れています。そんな状況では、すぐ手に入る本以外のところから情報を得るのは自然なのかもしれません。


しかし、読書は他のメディアとは異なる特別な効用を持っています。特に、創造力や思考力を養うために読書は非常に有効な手段であると言えるでしょう。今回の記事では、読書の持つ効用について考察し、具体的な事例を交えてその価値を深掘りします。

文字から自由なイメージを生み出す力

読書の最大の特徴は、文字を通じて読者が自由にイメージを膨らませられる点です。文章に描かれる風景や人物、出来事は、読む人の心の中で形を作り、独自の世界を構築します。

これに対して映像メディアは、具体的で膨大な情報を視覚的に与えるため、視聴者がそのまま受け取ることが多く、創造の余地が限定されがちです。


例えば、ハリー・ポッターシリーズを読んだ読者は、それぞれ異なるホグワーツのイメージを持っているかもしれません。魔法の学校や登場人物の容姿、雰囲気は、読者一人ひとりが自身の経験や感性を基にして形作るためです。

一方で映画版を観ると、視覚的に与えられる情報が強力である分、その余地は減少します。このように、読書は読者の想像力を刺激し、言葉の背景にある情景や感情を自ら作り上げる訓練を与えてくれます。

行間を読む力

文章は単なる文字の羅列ではなく、行間に隠された意図や感情を含んでいます。読書を通じて私たちは、書かれていない部分に想像を巡らせる力を養うことができます。

この力は単に物語を楽しむだけでなく、日常生活や仕事の中で、相手の真意を読み取るスキルにもつながります。


たとえば、推理小説を読む際には、登場人物の会話や行動の裏に隠された動機を考えたり、伏線を見抜いたりする必要があります。

アガサ・クリスティの作品に触れると、あえて曖昧にされた表現や小さなディテールから真相を見抜くという知的な挑戦が楽しめます。

このような体験は、文章を深く読み解く能力だけでなく、他者の言葉や行動を理解する洞察力をも育てるのです。

読書と共感力

さらに、読書は他者の視点に立つ力を育むのにも役立ちます。例えば、戦争体験記や異文化についてのエッセイを読むことで、異なる時代や社会の価値観を体験できます。

アンネ・フランクの『アンネの日記』は、ナチス占領下でのユダヤ人少女の視点から、戦争の恐怖と希望の力を伝えています。このような本を読むことで、直接体験することが難しい状況に対しても共感を持つことができるのです。

AI時代における読書の価値

現代はAIが多くの分野で活躍し、私たちの生活を支えています。しかし、AIは基本的に与えられたデータを処理する能力に特化しており、人間のような創造力や感性を持つわけではありません。

これからの時代、AIには代替できない人間の能力として、思考力、想像力、そして創造力がますます重要になります。


たとえば、AIは膨大なデータを分析して最適解を提示することは得意ですが、ゼロから物語を創作したり、行間を読んで感情的なニュアンスを理解することは苦手です。

読書はこうしたAIには真似できない能力を伸ばすための最適な手段です。創造力を鍛えるだけでなく、AI時代において差別化を図るための重要なスキルを身につけることができます。

このように読書から自分自身を高めてきたのは、歴史上の偉人からAI時代の真っただ中の現在まで多くの成功者が名を連ねています。

たとえば、アメリカのリンカーン大統領は独学で法律を学びましたが、その基盤には膨大な読書がありました。彼は本を通じて知識を得ただけでなく、論理的思考力や他者を説得する力を磨きました。


また、現代のビジネスリーダーの中にも、読書を習慣としている人が少なくありません。マイクロソフトの創業者ビル・ゲイツは、年間50冊以上の本を読み、それを自身のブログで紹介しています。彼は読書を通じて新しい視点を得ることで、革新的なアイデアを生み出してきました。

結論

読書は単なる情報の取得手段ではなく、人間の本質的な能力を鍛えるツールです。自由なイメージを描く力、行間を読む力、そして他者への共感力を通じて、私たちの思考力や創造力を深めてくれます。

また、歴史上の偉人や現代の成功者たちの事例からもわかるように、読書は自己を成長させるための強力な手段です。

AI時代だからこそ、読書を通じて自分自身を磨き、他にはない価値を発揮することが重要です。一冊の本を手に取ることが、あなたの未来を豊かにする第一歩になると考えます。

今日は、昨日の自分を超える

皆さんは、ワクワクするような目標を設定し、「今回は、必ずこの目標を達成するぞ!」と思いながら、いつの間にか、その目標を忘れてしまっているということがありませんか?

または、達成に向けて行動を開始したのは良いですが、思うような結果が出せず、挫折することもあると思います。

このようなことはどうして起こるのでしょうか?

その原因の一つは、「目標に囚われてしまった事」にあります。例えば、減量を目指してダイエットを始めた人が、体重計の数字が思うように減らない事で、諦めてしまうようなことはありませんか。

ビジネスで例えるのなら、年初かかげた、高い営業目標に向かって進み始めても、思うようには数字が伸びてこないと、この市場環境では無理なんだと、言い訳を交えて、諦めてしまう。

では、どうすればこのような挫折を避け、目標を達成できるのか?その答えは、「今日は、昨日の自分を超える」という考え方にあります。

今日は、昨日の自分を超えるとは?

「今日は、昨日の自分を超える」という目標設定は、シンプルでありながら強力なアプローチです。 これは、大きな目標に向かって一歩前進するための方法です。 日々、自分と自分自身を見据えて、昨日の自分よりとりあえずでも前進することを目指します。

昨日は、営業の為の顧客のアポイントを、リストをもとにひたすら電話をかけまくった。でも今日は、電話をかけた相手に、警戒心を持たせないように工夫した。というように、日々の行動に意識を向ける。

この方法の利点は、結果に対するプレッシャーから解放されることです。私たちは、自分自身と比べて、自分にしかコントロールできない目標を設定することができます。

目に見えなくても、昨日より今日、少しでも成長している自分を認識することができるため、モチベーションも維持しやすくなります。

目標よりも行動に焦点を当てる

多くの人が大きな目標を立て、それを達成することを夢見ます。 新しいスキルを習得する、昇進する、体重を減らすなど、目標自体はとてもポジティブなものです。

しかし、目標が高く、直ぐに成果が望めないような場合には、日々の行動をむなしく思えてくることもあります。

そうではなく、「自分を超える」という目標を掲げて、日々の行動に意識を向けることができるようになることで、目標に向かう途中のプロセスを楽しむことができるようになります。

成功への近道:「目標を忘れ、行動に集中する」

「昨日の自分を超える」ことを目標にするという考え方は、一見遠回りに感じられるかもしれません。 しかし、実際にはこれが成功への最も近い道となります。

その理由は、当たり前の話ですが、行動しなければ目標は達成できません。しかも、目標が達成できる行動でなければ、目標は達成できません。

結果だけに囚われ、結果を出す行動が出来ているか、出来ていないかに意識が向かず、行動から生み出される結果に意識が向き、行動の改善ができない。

日々の行動を変えていくことに集中することで、目標に縛られすぎず、柔軟に対応する力を育むことができます。

例えば、ビジネス面でも同じことが言えます。 大きな収益目標を立てたとしても、日々の営業活動や顧客対応に力を入れることが結果を生む鍵です。

もし目標達成にこだわりすぎると、数字に一喜一憂するだけで、いわゆるPDCAがおろそかになる。

しかし、「昨日の自分を上回る」ことに集中すれば、常に小さな改善を繰り返しながら、結果的に大きな成功を手にできることができます。

終わり

成功への道のりは決して平たんな道のりではありません。目標を設定して、それに向かって前進する中で、思い通りにいかないことも多々あるでしょう。

でも、思い通りにいかないことを、ほんの少し改善させる行動そのものを楽しむことで、日々の充実感とともに、確実に前進することができます。

大きな目標を目指しながらも、今日の自分が昨日の自分よりも少しだけ成長しているかどうかを見つめながら進む。その積み重ねこそが、戦略設定した目標を超えるような成果をもたらします。

目標を忘れるわけではなく、それに縛られない自由な心で、日々の行動を大切にすることが成功への近道となるのです。

この方法を実践することで、あなたもきっと目標を超える成果を手に入れることができるでしょう。 そして、その時には、目標を達成する喜び以上に、自分自身が成長したことへの達成感を感じる、それこそが、人生における真の成功と言えると思います。