SDGsは平成の黒船来航、ここから令和維新がはじまる

最近よく耳にするSDGsをご存知でしょうか?

SDGsはSustainable Development Goals の略で、日本語では持続可能な開発目標と訳され2015年に国連サミットで採択されたものです。日本も合意しているのですが、これはどういうものかを簡単に説明します。

SDGsでは2030年までに達成する17の貢献目標で構成されています。この主要な貢献目標に続き、169のターゲットも示され、さらには232の指標も示されています。

ただの目標ではなく、必ず達成すると言う意図が感じられるものになっています。2030年までに達成しなければ地球の未来は無いという意気込みが込められているのです。

こんなSDGsをここで詳しく説明しようとするのが今回の目的ではありません。ただ、これまでもやってきた社会貢献活動の一環ではないかという捉え方は間違っていることは伝えたい。

SDGsが江戸末期にペリー提督がもたらした黒船来航に例えられるほどに、これからのビジネスに大きなインパクトがあることを伝えるのが目的です。

SDGsは来るべくしてやってきた

ビジネスの観点からSDGsを捉えていきたいと思います。そうすると時代を20世紀末まで戻ります。

マネジメントの父と呼ばれるピーター・ドラッカー氏、日本の若者の中では「もしも高校野球の女子マネージャーがドラッカーの『マネジメント』を読んだら(出版社-ダイヤモンド社)」の方でなじみがあるかもしれません。

そのドラッカー氏はあるグローバル企業のインタビューで「21世紀はNPOなどの営利を目的としない企業がビジネスの世界の主流派をしめる」と答えています。

そして、2011年ハーバード大学の経営大学院の教授である、マイケル・ポーター教授はCSVというビジネスの概念が今後重要になることを言っています。

CSVとは、Creating Shared Valueの略であるが、社会貢献とビジネス上の収益はバラバラではなく一体であるということを示している。これまで企業が意識してきたCSR(Corporate Social Responsibility)とは明確に違っている。

大きな違いは、CSRが企業の収益の一部を社会貢献に使いましょうという考え方に対して、CSVは社会貢献活動をビジネスの根幹にすえて、社会貢献活動によってビジネスの収益を高めるという点です。

ポーター教授は、これからの企業はCSVを基本においた経営戦略を進めなければ企業の成長は難しいと言っています。20世紀末のドラッカー氏が予言した内容と似ているのではないでしょうか。

このビジネスの変化は社会状況に影響を受けている

ビジネスは消費者があって成り立ちます。その消費者をとりまく環境、つまり我々を取り巻く環境の変化も過去に例をみない環境の変化が起きています。

まず、考えなければならないのはグローバル化です。世界がどんどん狭くなっていく。遠い中東で起きている紛争が原油高騰につながったり、アフリカ大陸で起きた内戦が難民を生み、その難民問題がヨーロッパのテロの根源になっていたり。

遠い国の出来事が別の形で身近な問題を引き起こすようになってきています。日本に住んで、小さなビジネスをしているから関係ないと言ってられないのがグローバル化です。まさに「風が吹けば桶屋がもうかる」的な連鎖反応がグローバル化によって起きてくる。

そして、次に大きな影響をもたらしているのが急速に進む技術革新です。特にデジタル化の波は止められません。あらゆる情報がどこにいても瞬時に手に入る。

世界でどんなことが起きているのか、企業がどんな活動をしているのか等が直ぐに手に入るのです。また、企業が情報を出さないことも一つの情報となり、情報開示をしないことがビジネス上のリスクになります。

そして、日本ではこれから迎える人口減少に若年労働者不足と超高齢化社会。中小企業は慢性的な労働者不足に直面することでしょう。

これらグローバル化、急速に進む技術革新そして人口減少と超高齢化社会は過去のビジネスのやり方を根本的に見直さなければならない状況に企業は置かれている。

明治維新と令和維新

そうです、変化の無い時代は終わったのです。明治維新は江戸末期にペリー提督が来航して以来、欧米列強の前に日本が独立を守るための変化を求められたと考えると。

SDGsは平成末期に来航した黒船に例えられるかもしれません。令和に入り、SDGsに向かって変化が求められている。まさに令和維新が求められているように思います。

過去からずっと続けられてきたビジネスのあり方を根本的に変革することを求められているように思います。

ひょっとすると、坂本龍馬が日本ではじめてつくったとされる会社と言う組織も、根本的に見直される時代に入ったかもしれないのです。江戸から明治に変化したように、文化もビジネスも変革していく時代と言えそうです。

SDGsが伝えるメッセージ

そのようにSDGsを捉えると、SDGsは企業に何をしろと迫ってきているのでしょうか。

そこで、SDGsが伝えるメッセージがいくつか分かってきます。

  1. 企業はこれまでのやり方を変革しなさい
  2. その変革を2030年までにやりとげなさい
  3. 大阪万博の2025年までにはメドをつけなさい
  4. それが達成されれば1200兆円の新規市場へ参入をゆるします

まずは固定観念から抜け出すことを考えよう

SDGsのメッセージが分かったところで、どのように進むのでしょうか?まして資本力も組織力もない中小企業はどう進むのかが分からないかもしれません。

そんな方がまずは取り組むのが、思考の変革です。これまでのビジネスのやり方、文化が変わってきているのに、これまでと同じ思考では変化は期待できません。

全ての人は独自の固定観念を持って生きています。ビジネスに関しても固定観念が存在しています。それが、変化を止めている原因でもあります。

その固定観念から抜け出す方法を紹介しましょう。

それは、固定観念を持っているのは、“あなた”です。なので、“あなた”から抜け出せば固定観念からも抜け出せます。

それは無理!自分から抜け出すなんて無茶な話だというでしょう。でもそんなに難しいことではありません。

同じ業界でビジネスをしている他社を見て、「そんなやり方ではダメ、こうした方が良い」なんてできるかどうかは無視して、客観的に他社、他人のことを評価出来たりしませんか。

自分のことは、客観的になれなくても、他人の事ならなれる。自分のことは可能か不可能かの判断をもとに見てしまうのに。他人の事ならそんなことは無視してあるべき理想の姿を言うことができる。

固定観念から抜け出す方法は、できる、できないの可能性をまずは無視すること、そして他人になりきることから始まります。そしてその他人は、あなたが尊敬する天才、偉人にするとよいでしょう。例えば、坂本龍馬とかです。

そうして、あなたの会社を客観的に分析し、未来のヴィジョンを描くのです。きっと天才的な偉人ならば、あなたが考えもしなかったアイディアを出してくれるでしょう。

そしてそのアイディアの実現だけを考えれば良いのです。ただ、時間を長くとりましょう。出てきたアイディアを明日達成しようと思うならば、「そんなのできるはずがない」と思うのが当たりまえです。

時間を長くとり、現在足りない能力、足りないリソースをどのように追加して実現するかを考えれば良いのです。

その意味では、SDGsに取り組む経営戦略は短期戦略ではなく、長期戦略に組み込む内容と言えます。これまでにやったことないことにチャレンジするのですから、焦らず時間をかけて進む心づもりも必要です。

自社のリソースを知る

固定観念を抜け出して観察したいことの二つ目は自社のリソースです。リソースと言うと会社の設備、資本力、組織力などを思い浮かべるかもしれません。確かにこれらもリソースですが、他にもリソースはたくさんあります。

社長の人脈もリソースです。社長だけではなく社員の人脈もリソースです。他にも社員一人一人の才能、能力の見直しもリソース発見につながるでしょう。

会社の中に眠っている、あるいは実は成果を出している根本的なリソースに気づいていないかもしれません。固定観念を外してリソースを見つけていきましょう。

コラボの意識を持つ

そして固定観念を抜け出して考えたい3つ目は、コラボの意識をです。たくさん見つけられていないリソースが見つかってきたとしても、1社が持つリソースには限りがあります。自社に無いリソースを持つ他社との協働を考えましょう

ただし、ここで考えたいコラボは、パズルの補完ではありません。自社に無いパズルを補完するだけであるならばコラボではなく、仕事を依頼すればすむことです。

コラボで実現したいことは、コラボすることで自社のリソースがひときわ輝き始める。コラボ先のリソースもひときわ輝きを増すようなコラボです。だから固定観念を外してコラボを意識する必要があるのです。

SDGsは長期戦略で捉える

ここまで示してきたように、SDGsの取り組みを短期で考えても答えは出てこない。仮に出てきたとしても、これまでのやり方の上に乗っかった社会貢献活動を超えるものにはなっていないでしょう。

長期戦略であるから、まだ間に合うのです。今から目標を定めて、自社のリソースをしっかり把握して進めば間に合うのです。

ただし、進み方を間違えなければです。長期戦略でありながら直ぐに成果を求めて進めんでも上手くいきません。

まずは、思考の変革と自社のリソース探しとコラボ先の検討を始めましょう。一歩一歩進めば未来に大きなビジネスチャンスが待っています。

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