低成長市場にいる社長や経営幹部の方々が、よく耳にする単語に「戦略」があります。戦略が必要だ、戦略がないとこれからの時代は生きていけない・・・
でも、「戦略」というと何かたいそうで、それをつくるとなると何か特別な知識が必要で、そんな勉強をしていない人にはつくれないのでは?と決めつけている人もいます。
そんなことはありません。戦略をつくるのに特別な勉強など必要ありません。ひょっとすると、そんな特別な勉強が邪魔になることもあるかもしれないぐらいです。
では、どのようにして戦略をつくっていくのか?
その前に、戦略について知っておきたいことが2つあります。一つは戦略の定義です。そしてもう一つは戦略のありかたです。
一つ目の定義ですが、「戦略とは戦いを略(はぶく)こと」と定義します。つまり、いかにしてライバルとの競争をはぶくことができるかを示したものが戦略です。
二つ目の戦略のありかたとは、一度決めた戦略は徹底して“やり抜く”ということです。実践されなければ検証はできないですし、中途半端に実践しても検証はできません。従って、決めた戦略は、徹底して“やり抜く”姿勢で実践してください。
それでは、戦略のつくり方に入っていきます。
いかにライバルに勝つかという考えから、顧客からライバルを見えなくするに変える
戦略の定義は、ライバルとの競争をはぶくことです。それをどうすれば出来るかが考えどころなんですが、ここでライバルの事ばかり気にしているとどこかに消えてしまいがちになるのが顧客です。
顧客が我社の製品やサービスを購入してくれるのです。となれば、ライバルとの競争をはぶく為には、顧客からライバルの姿を見えなくするか、可能な限り小さくすればよいのです。
ライバルに勝つ事ばかりに焦点をあてすぎると、顧客のことへの焦点がぼやけるばかりか、ライバルとの消耗戦に入ってしまうかもしれません。
顧客からライバルの姿を消すには、“戦う土俵を変える”ことです。
つまり、皆さんの会社がどの土俵に立つかを決めるのです。その土俵にライバルがいないか、少なければ、顧客からは皆さんの会社しか見えないことになります。
強み2つでポジショニングを決める
土俵を決めるとは、あなたの会社のポジショニングを決めることです。しかも2軸でポジショニングを決める。
ここでまた、ポジショニングというカタカナが出てきましたが、別の言い方をすれば、「あなたの会社の強み」何ですか?ということになります。
2軸ということは、強みを2つ探しましょうということです。
縦軸に一つ目の強み(軸)そして横軸にもう一つの強み(軸)を持ってくれば、そこに「場」ができあがります。これが土俵になるわけです。
例えば、一つ目の強み(軸)が筋トレと栄養学を用いた体のシェイプアップのノウハウとし、もう一つの強み(軸)に成果保証、必ず顧客の目的を実現するノウハウとします。
ここに皆さんもよく知っているR社の土俵が出来上がります。
筋トレと栄養学の組み合わせは、トレーニングを実践している人にとっては、それほど特殊なノウハウでもないようです。(ある大手フィットネスジムのトレーナーの証言です)
そして成果保証に関しても、研修教材などで「成果が出なければ全額返金します」というようなことをうたっています。
しかし、フィットネスジムの業界で、この2軸のポジショニングは新鮮で、顧客は、何度も失敗してきたダイエットに加えて、シェイプアップされた自分自身の体のイメージが手に届くところに存在する実感をえることが出来たことでしょう。
こうなれば、価格など問題にならない、多少高くても、それによって得られる未来を優先させたことでしょう。
思考を変えて、強みを2つ見つける
いままで示してきたことは、いわゆる差別化戦略です。いかにしてライバルと差別化していくかなのですが、差別化できないからビジネスが難しくなってきていることはようく分かっています。
ですから、差別化とういことに思考の焦点をあてるのではなく、強みに焦点をあてます。しかも、その強みは決して圧倒的な強みである必要はありません。
ちょっとした違い、強みで良いのです。それが2つ組み合わせされれば、他社が入ってこれない土俵が出来上がるのです。
だから、強みを2つ見つけましょう。必ずあります。なぜならば、長きにわたって、皆さんの会社は顧客に信頼され、続いてきているのです。その続いてきている要因に気づきましょう。
思考を過去に戻し、自社を他人の会社のように眺めて、強みをみつける
長く続いている会社には必ず強みがあります。思考を過去に戻してみましょう。過去はどんな思いで製品をつくり、売ってきたのか。
過去の会社の雰囲気はどんなだったか、過去の点と点をつなぐことで、忘れていた会社の良さ、強みが浮かび上がってきます。
また、会社の中にいるから見えないことがあります。第三者的に客観的に自社をみましょう。それでも見えないのであれば、顧客に聞きましょう。
顧客が自社のことを実は一番しているかもしれません。率直に顧客に聞きましょう。「当社の良いところはどんなことでしょう」
必ず、反応があるはずです。中には、「昔はよかったけれど、今はダメだな」という方もおられるかもしれません。でもそれも強みを決める大きな情報です。
どうしてもみつからなければ、未来に向けての強みを見つける
どうしてもみつからなければ、未来に強みになるものを設定する。2軸によって他社が入ってこないポジショニングの強みを設定する。
それが、本当の強みになるように、全社をあげて力をその方向に強くすればよいのです。
今、過去の行動と同じことを続けても、業績は伸び悩むだけです。今、私達が行動しなければならないのは、未来に向かって、どんな行動をとれば成長できるかです。
今、強みが見つかっているならば、そのポジショニングを洗練させて、顧客をその土俵に誘ってくる。
今、強みがみつからず、仮のポジショニングならば、それが仮ではなく、本当になるように、顧客をその土俵に誘いながら、自らの力をつけていくのです。
特別な才能は必要ありません。決めて動くだけです。
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