困難に立ち向かう時だけがリーダーではない      ~日々の何気ない判断・決断こそが大きな違いを生み出す~

判断の難しい場面での決断力が重要なのは誰でも分かっています。しかし、普段の何気ないリーダーの決断の良し悪しの積み重ねが、後日大きな変化につながることを、多くのリーダーは気づいていません。


そして、この普段の何気ない判断の良し悪しが、難しい問題を生むことに繋がっていることも多くのリーダーは気づいていないのかもしれません。


普段からの決断力・判断力を磨くことが実は大切であるということを意識していますか?
本記事では、決断力・判断力を磨くための具体的な方法やフレームワークを紹介します。難しくはありません。読者の皆さんは既に知っている内容がほとんどかもしれません。
しかし、その実践を日常的に実行しているかが重要なことだと考えます。

目次

効果的な意思決定のためのフレームワーク

まず、効果的な意思決定をサポートするために役立つフレームワークをいくつかご紹介します。
1-1. 3C分析
3C分析は、ビジネスの現状を整理するために「顧客(Customer)」「競合(Competitor)」「自社(Company)」の3つの観点から状況を把握します。日常でも、これを応用することで効果的な判断が可能です。


実践例:
• 問題: 新しいプロジェクトの優先順位を決める。
• アプローチ: 顧客のニーズを調査(Customer)、競合の状況を確認(Competitor)、自社のリソースを評価(Company)。
• 結果: 顧客満足度が高く、競争力を強化するプロジェクトに注力。


この実践例の他にも、ビジネスの世界では、自分(自社)と顧客とライバル(競合)しかいないと考えれば、あらゆるビジネスシーンでこの3Cを使うことができます。

自分の事だけを考えて商談を進めて、顧客のことを忘れていたり、目の前にライバルの存在が見えないからと言って、ライバルの事を考えなかったりせずに、モレなくダブリなしで情報を分析することが可能になります。

1-2. SWOT分析
SWOT分析は、物事を「強み(Strength)」「弱み(Weakness)」「機会(Opportunity)」「脅威(Threat)」の4つの要素に分けて整理する手法です。


実践例:
• 問題: 部署の年間計画を立てる。
• アプローチ: 部署の強みと弱みをリスト化し、外部環境の機会と脅威を整理。
• 結果: 強みを活かしてチャンスを最大化し、弱みを補う計画を立案。


このSWOT分析も日常的に是非、使いたいフレームワークとして取り上げました。その背景には、世の中のどんなことにも、裏と表があります。ヨコがあればタテがあります。


つまり、強みがあれば、必ず弱みがあるということです。機会があれば必ず脅威もあるということです。もちろん、この逆もあります。


ところが、普段の何気ない決断や判断では、これらのどれかが抜け落ちてしまっていることがあります。強みと弱み、機会と脅威をセットで情報を捉える習慣を持っても良いのではいでしょうか

1-3. 重要度と緊急度のマトリックス(Eisenhower Matrix)
重要度と緊急度のマトリックスは、タスクを「重要度」と「緊急度」の2軸で分類し、優先順位を明確にする手法です。


実践例:
• 問題: 日々の業務が多忙で、どれに集中すべきか分からない。
• アプローチ: タスクを「重要かつ緊急」「重要だが緊急でない」「緊急だが重要でない」「緊急でも重要でもない」に分類。
• 結果: 「重要かつ緊急」なタスクを最優先で取り組み、重要だが緊急でないタスクの計画を立てる。


多くの人は、目の前の事を最重要に捉えてしまいます。これは本能的なものです。それゆえに、ほっとくと目の前のことを重要で直ぐに対応すべきこととして捉え、日々忙しく働くことになります。


しかし、本当に、目の前のことが重要かつ緊急度の高いことなのでしょうか?それは、このマトリックスで整理しなければ分かりません。


そして、最も重要なのは、あなたが望むゴールの達成にあると思います。そのゴールの達成に向けての、重要度と緊急度のマトリックスのなかで、活動の優先順位をつけていくことが、大切であるように考えます。

1-4. PDCAサイクル(Plan, Do, Check, Act)
PDCAサイクルは、継続的な改善を促すフレームワークとして知られています。一度の決断で完璧を目指すのではなく、改善を前提にした行動がポイントです。


実践例:
• 問題: チームのミーティング効率を向上させる。
• アプローチ: ミーティング時間を短縮するプランを作成(Plan)、試行実施(Do)、参加者からフィードバックを収集(Check)、次回に反映(Act)。
• 結果: 効果的でスムーズなミーティング運営を実現。


変化の激しい現代において、完璧を求めることは不可能であると思います。また多様性の時代においても、様々な判断が考えられます。


そんな時代であるからこそ、行動が重要になります。行動を通して、最善の道を見つけるアプローチの基本的な姿勢が、PDCAの考え方にあります。


そもそも完璧な計画や行動は無い。望む結果が出たとしても、それが継続するとは限らないとして、日々改善する姿勢が今の時代は求められます。


世のなかに失敗は無い、全てが途中経過である。すべてはテストだという姿勢がPDCAにはあると思います。

判断力を養うためのトレーニング方法

判断力は生まれ持った才能だけでなく、これまで紹介したフレームワークを使いながらのトレーニングによって鍛えることができます。
以下には、フレームワークを使うことを前提としたトレーニング方法を示したいと思います。


2-1. シナリオ分析
想定されるリスクやチャンスを事前に分析する練習を行いましょう。例えば、重要なプロジェクトに対して「最悪のシナリオ」と「ベストなシナリオ」を書き出し、それに基づいて意思決定を進めます。


SWOT分析の項でも触れましたが、全ての事には、良いケースがあれば、悪いケースもあります。そして、未来に起きることは、分からないのが真実です。完璧な想定は不可能ですが、あらかじめシナリオ描くことを練習することは、反応的で衝動的な判断・決断からゴールに向かって進むことを可能にする行動を導いてくれます。


2-2. ロールプレイング
チームメンバーとともにロールプレイングを実施することで、多角的な視点からの意思決定を体験できます。


実践例:
• 想定課題: クレーム処理の方法。
• アプローチ: メンバーが顧客役、リーダー役に分かれて対応方法を議論。
• 結果: 顧客満足度向上のための具体策が浮き彫りに。

シナリオ分析と同時に、ロールプレイングをすることで、起きうることをリアルに描き出す効果があります。


2-3. リフレクション(内省)
過去の判断を振り返り、どこが良かったか、どこを改善できたかを分析する習慣をつけます。成功事例だけでなく、失敗事例も学びの材料になります。


要は、PDCAを習慣化することで、当たり前のように自然に振り返ることが可能になります。その中で、日誌は日々の行動を振り返る効果的なツールと言えます。

判断力を高めるリーダーの習慣

3-1. 情報収集力を鍛える
常に新しい情報を取り入れることは、適切な判断を下す基盤となります。業界関連の読書やポッドキャスト、セミナーへの参加を習慣化しましょう。


3-2. 異なる意見に触れる
賛同ばかりの意見では視野が狭くなりがちです。意見が対立する場面こそ、自分の視点を広げるチャンスと捉えましょう。


3-3. 短時間で情報を整理する練習
「10分メモ法」を活用して、情報を簡潔に整理し、速やかに結論を出すスキルを磨きます。

結論

今回紹介したフレームワークやトレーニングは、難しい判断や問題解決のためだけでなく、普段の何気ない判断力や決断力を養うために活用することができます。その積み重ねが、組織全体の成長を促し、大きな成功へとつながるのです。


日々の小さな選択を大切にし、その一つひとつを成長の機会として捉えてください。あなた自身の判断力が磨かれることで、組織全体がより強固な基盤を持つようになります。


明日からできる3つのアクションプラン:

  1. 意思決定フレームワークを一つ選び、日常の小さな課題で試してみる。
  2. チームで日常的な判断を振り返るミーティングを設ける。
  3. 過去の些細な判断を振り返り、その積み重ねがどのような結果をもたらしたかを考える。
    日常にこそ成長の鍵があります。今日から一歩踏み出してみませんか?あなたの決断力が、未来の大きな変化を生み出します。

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